冨安健洋、“1ヶ月間”で示した自身の価値。開幕スタメン入りへ、いざ始まるセリエAでの冒険

冨安健洋、“1ヶ月間”で示した自身の価値。開幕スタメン入りへ、いざ始まるセリエAでの冒険

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  • 更新日:2019/08/25
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今夏にボローニャへ加入した日本代表DFの冨安健洋【写真:Getty Images】

開幕スタメンの可能性「大」

セリエA第1節、エラス・ヴェローナ対ボローニャが現地時間25日に行われる。今夏にボローニャへ加入した冨安健洋は、プレシーズンマッチで右サイドバックとしてテストされるなど新境地を切り拓いたが、試合の中で着実に結果を残したことで開幕スタメン入りの可能性が高いと報じられている。そんな大事なセリエA初戦の前に、ここまでのボローニャにおける冨安の歩みを振り返る。(取材・文:神尾光臣【イタリア】)

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「昨シーズンまでの(ボローニャに対する)一番の大きな不安要素は、どうやってサイドの連係を改善した上で試合に臨むかということだった。しかし夏の親善試合、そしてコッパ・イタリアのピサ戦を通し、この問題点はボローニャの優位な点の一つに変わった。昨季はミチェル・ダイクスが左サイドで潜在能力を発揮し、ニコラ・サンソーネと一緒に攻撃を作り出した。

加えて今季は、今まで知られていなかった冨安の能力を誰もが賞賛することとなった。今までボローニャが、攻守両面において強力で、サイドハーフと連係を作り出せるサイドバックを左右両方に揃えたことは近年になかったことだった」

22日のコリエレ・デッロ・スポルトのボローニャ版で紹介された一節である。7月に移籍してきた冨安健洋は、この1ヶ月の取り組みでこのような評価を勝ち取るに至った。そして地元紙各紙は、25日の開幕節エラス・ヴェローナ戦のスタメン予想に彼の名前を乗せている。ポジションは、右サイドバックとしてである。

この1ヶ月間、冨安は本職のセンターバックではなく、主に右サイドバックとして練習を積まされてきた。その結果、同ポジションで高い評価を勝ち取り主力となる勢いである。18日のコッパ・イタリア3回戦ピサ戦で話を聞いたときには「スタメンを確保したとは思ってないですし、たまたま選んでもらったというふうに僕は思ってる」と殊勝に語っていたが、開幕戦で出る可能性は高い状況であると考えて良さそうだ。

ただ冨安は、日本代表のセンターバックの新たな柱だ。同ポジションでの成長を期待した向きには残念なことに思われるかもしれない。ただ、CBとしての冨安の実力が評価されていないのかという話でもない。強化部門ならびにシニシャ・ミハイロビッチ監督を筆頭としたコーチ陣は、シント=トロイデンや日本代表でのプレーを見て、CBとしてのプレーをしてきた冨安を右サイドバックとして使う構想を立てたと理解するべきだ。

ボローニャの首脳陣が求めた冨安の長所

センターバック以外のポジションで使うかもしれないという予告は、先月23日に行われた入団会見の時になされていた。同席したクラウディオ・フェヌッチCEOは、「ディフェンスでは全てのポジションがこなせる」というふうに語っていたのである。

事実、先立って行われた20日の練習試合ビルトゥス・ボルツァーノ戦では、早速右サイドバックとして起用されていた。移籍後チームに合流して3日目だったため出場時間は20分にとどまるが、26日のケルン戦では後半の丸々45分間をプレーした。しかも内容も上々だった。

位置を高めに保ってインターセプトを狙い、オーバーラップからの攻撃も披露する。安定した両足の技術を用いて、高い位置からのプレスでボールを奪いにくる相手のチェックを器用にかわした。丁寧にパスをつないで組み立てにも貢献した。

また守備においては、1対1になったシーンでは相手を抜かせない。対面の相手が裏を狙ってきた場合は、パスの軌道に立ちふさがってインターセプトを決行。後半40分には、最終ラインからのミドルパスで得点の起点にもなった。右サイドから前線のFWディエゴ・ファルチェッリめがけフィードを供給し、落としたボールをFWリッカルド・オルソリーニが得点につなげた。

最終ラインからの正確な組み立ては、冨安がセンターバックとしてこなしていたプレーだ。ボローニャの首脳陣はそれを、位置を右に移してやって欲しかったのである。しかも単に、アウトサイドに張り付いて上下動をする役割ではない。チームがボールを保持している時は、さながら3バックのCBとして最終ラインに残り、右ウイングにパスを展開させたり、中盤に縦パスを通したりする。ボールが相手の支配下にある時には、4バックとしてラインを整えてサイドの守備に責任を持つ。センターバックとサイドバックのハイブリッド的な役割だというのは、前回ピサ戦のレビューでもお伝えした通りである。

いよいよ始まるセリエAでの冒険

昨季のボローニャに、右後方から攻撃を組み立ててくれる選手がいなかったことは、冒頭で紹介したメディア評に示されていた通りだ。レギュラーを張っていたイブラヒマ・エムバイェは身体能力が高く、右や左でも上下動のこなせる選手だが、組み立ての参与には物足りなさを見せていた。加えてプレシーズンマッチでは、守備のポジショニングでも不安定なところを晒していた。

その一方で冨安は、堅実にアピールを続けた。シャルケ戦、アウクスブルク戦でも先発出場を果たし、それぞれの試合で60分近くプレーをしていた。新しい選手が複数加わったディフェンスラインの統率はまだ不完全で、3トップで来る相手に対しては連係が不完全なところを晒した。それでも冨安個人としては終始安定したプレーを披露。そして途中出場に回った8月10日のビジャレアル戦では、セットプレーからヘディングシュートを決める。エリア内でマークを外し、オルソリーニのFKに頭で合わせた。

25日のヴェローナ戦、地元紙の予想通りに冨安が先発することになれば、試合に出ることを目標としたアピールが成功したことを意味する。もっとも、セリエA実戦でのプレッシャーはプレシーズンとは全く異なるものとなるだろう。そこでも変わらずに、冷静にボールを制御して果敢にインターセプトへ向かうプレーができるかどうかが問われることになる。

守備の国で「個人守備を学びたい」という目標を掲げた、冨安のセリエAへの挑戦が始まる。

(取材・文:神尾光臣【イタリア】)

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