TPP新協定 結実した自由貿易の精神

  • 西日本新聞
  • 更新日:2017/11/14

日本やオーストラリアなど環太平洋連携協定(TPP)の参加11カ国が、米国抜きの新たな協定に大筋合意した。

米国の離脱で瓦解(がかい)寸前まで行き、最終盤ではカナダが異論を唱えるなど足並みが乱れたものの、TPPを漂流させず合意にこぎ着けたことを歓迎したい。

大国の米国抜きのTPPにどれだけ経済効果が期待できるかは未知数で試算もない。ただ、世界各地で保護主義的な動きが広がる中、アジア太平洋地域で日本が主導して、自由貿易の精神に基づく投資・貿易のルール作りが成果を見た意義は大きい。11カ国は結束を保って署名を急ぎ、加盟国をさらに拡大してほしい。中期的には米国の復帰を促す必要もある。

日本の通商戦略は今、大別して四つの軸で動いている。主軸は、このTPP11である。これに、日中韓など16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、日米経済対話、欧州連合(EU)との日欧EPA(経済連携協定)が加わる。

日本が新協定の合意を急いできたのは、高い自由化水準と高度なルールを引き継ぐTPP11が、他の交渉でも基準となるからだ。

貿易自由化の水準に問題が指摘されるRCEP交渉では今後、今回の水準が意識されよう。日米経済対話でも、一段の市場開放圧力に対して今回の合意水準が「防波堤」の役目を果たすだろう。

大筋合意では、従来の協定のうち、工業製品や農産物の関税の削減・撤廃について大幅な変更は行わず、離脱した米国の要求で盛り込まれていた一部の項目は凍結することにした。将来的に米国が復帰すれば凍結を解除する。

今回の合意で米国は事実上、アジア太平洋で進む地域経済統合の外に置かれ、アジアの成長を取り込む手段も制限される。離脱の不利益と、アジア市場へのアクセスにはTPP復帰が最善策であることを実感することになるだろう。

新協定は2019年の発効を目指す。日本は各国と緊密に意思疎通を図り、発効を確実にしたい。

=2017/11/14付 西日本新聞朝刊=

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