「習近平独裁体制」いよいよ完成間近!歯向かう者は監獄送りに

「習近平独裁体制」いよいよ完成間近!歯向かう者は監獄送りに

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2016/10/18

習近平が勝負に出た

中国の首都・北京が、にわかに緊張感に包まれだした。それは、10月24日から27日まで、「6中全会」(中国共産党第18期中央委員会第6回全体会議)が開かれるからだ。

中国では5年に一度、共産党大会を開いていて、大会の時「1中全会」を開き、以後5年間の共産党の主要人事を決定する。次に翌年3月の全国人民代表大会(国会)前に「2中全会」を開いて、政府の主要人事を決定する。続いてその年の秋に「3中全会」を開いて、政権の主要方針を定める。

本当に重要なのはこの「3中全会」までで、以後は毎年秋に、「4中全会」「5中全会」「6中全会」を開く。特に最後の「6中全会」は、翌年秋の共産党大会に向けた「橋渡し」のような会議なので、党内で激しい権力闘争にならない文化面の改革などをテーマにして、お茶を濁すことが多かった。

具体的に、改革開放路線を始めて以降の「6中全会」のテーマを振り返ってみると、1981年が「建国以来の党の若干の歴史問題決議に関して」(文化大革命の総括)。1986年が「中国共産党中央委員会の社会主義精神文明の建設指導方針の決議」。1990年(前年に天安門事件が起こったため変則)が「中国共産党中央委員会の党と人民群衆の関係強化に関する決定」。1996年が「思想道徳に関する党内初の党内の雰囲気づくり建設」。

今世紀に入って、2001年が「党の雰囲気づくり建設の強化と改革進化の決定に関して」。2006年が「中国共産党中央委員会の社会主義和諧社会構築に関する若干の重大問題の決定」。2011年が、「中国共産党中央委員会の文化体制改革を深化させ、社会主義文化の大発展と大繁栄の推進に関する若干の重大問題の決定」である。

ところが今回、習近平総書記は、「新たな形勢下での党内の政治生活の若干の準則の制定と、中国共産党党内監督条例(試行)の修訂」を、「6中全会」のテーマに持ってきたのである。意訳すると、「習近平体制下で習近平総書記に従う準則を制定し、それを監督する条例を定める」ということだ。

つまり、これまでの「6中全会」で見られた文化面での改革などとはまったく異なり、来年秋の党大会へ向けて「習近平独裁体制」を認定させ、従わない党員は処罰していく決定を目論んでいるのだ。習近平総書記は、中国語で言う「先発制人」(先んずれば人を制す)を実践したわけで、共産党大会まであと一年となったところで、一気に勝負に出たのである。

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〔PHOTO〕gettyimages

江沢民一派を黙らせろ

そのことを傍証する一つの「事件」が、最近起こった。10月1日からの国慶節(建国記念日)7連休が明けた中国で、ネット上に1枚の写真がアップされ、中国が騒然となったのだ。

アップされたのは、B5用紙1枚のペーパーである。そこには、「劉淇同志一行の林芝視察接待の細目案」というタイトルが掲げられ、こう記されていた。

《 期間:2016年10月1日-6日
場所:(チベット自治区)巴宜区、米林県、工布江達県
首長一行名簿:劉淇党17期中央政治局委員・前北京市党委書記、汪声娟夫人、劉铮令嬢、周骋女婿、周逸安孫、周怡然孫娘、劉聴子息、李蓉子息婦人、劉竹萱孫娘、劉松萱孫、張利民北京市党委弁公庁副主任、周立農中央警護局処長、范明秘書、張天一警護、陳建立随員、秦明照北京同仁医院幹部保健科主任 》

このペーパーには、下側に「1」という数字が下に付けられているので、これが1ページ目で、後に続いていることが分かる。

そしてこれは、2012年7月に引退するまで「北京の皇帝」と畏れられた劉淇・前北京市党委書記(前北京市トップ、73歳)が、国慶節の大型連休にチベットで豪遊した日程表だった。家族一同に秘書、警備員、主治医まで引き連れて、一行16人で豪華な6日間の公費旅行接待を受けていたというのだ。

この事実を知った中国人たちは、「不況にあえぐ庶民は連休中、ろくに旅行にも行けないというのに何だ!」といった怒りの声を上げた。だがこのペーパーも、庶民の怒りの声も、ネット警察によって、瞬く間に中国のネット上から削除された。

習近平総書記は、2012年12月に「八項規定」(贅沢禁止令)を定めて以降、「三公」と呼ばれる「公費会食、公費出張、公用車使用」を厳しく戒めてきた。また昨年夏には、現役時代の権益を手放さない引退幹部たちを痛烈に批判するキャンペーンも張った。

そのため、今回の降って湧いたような「劉淇スキャンダル」は、「6中全会」を前に、習近平総書記サイドが、最大の政敵である江沢民一派を黙らせるためにブチ上げたのろしだという見方が出ている。劉淇前書記は長年、江沢民元総書記の「首都の大番頭」だったからだ。

政敵を次々と監獄送りに

習近平総書記への「援護射撃」は、他にもある。

国慶節の大型連休前日の9月30日には、最高人民検察院が、今年1月から9月までに計289回も、政治家や官僚、国有企業幹部らを収賄で摘発したニュースを報じたと発表した。これは毎日1回のペースだ。その中には、部長(大臣)、省長(県知事)クラスの大物幹部50人が含まれていたという。

特に、今年9月だけで、新たに12人の大物幹部の取り調べを始めたとしている。最高検察権のホームページによると、実際に第18回共産党大会以降、この4年間で刑が確定した大物幹部26人の罪状や刑期の詳細は、以下の通りである。この中には、すでに死去した徐才厚元中央軍事委員会副主席らは含まれていない。

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ちなみに中国は、昨年11月に贈収賄罪に関する刑法を改正した。それまでは量刑を、単純に贈収賄の額を基準にして決めていたが、昨年の刑法改正によって、「贈収賄の額+情状」によって決めることにしたのだ。

これは意味深な改正で、例えば多額の収賄で失脚した幹部が、反習近平派の幹部の収賄状況について暴露すれば、無期懲役刑が懲役10年に減刑されるといったことがありえる。いわゆる司法取引だ。

逆に、失脚した反習近平派の幹部が、あくまでも一味の収賄について口を割らなければ、収賄額がたいしたことなくても、重刑に処せられるということもありうる。つまり多分に、現政権が権力闘争に利用しやすいように刑法を改正したのだ。

そもそも最高人民検察院の曹建明・党委書記兼院長からして、2013年末にボスの周永康元党中央常務委員の失脚に絡んで拘束されかけたが、習近平総書記に絶対忠誠を誓って首がつながったという経緯がある。以後、最高人民検察院は、多くの習近平総書記の政敵たちを監獄送りにするのに大忙しだ。

一党独裁中の一人独裁体制に向けて

今年2月に、習近平総書記の意を受けた中国共産党中央弁公庁が、「全党員に向けて『党章党規を学び、習近平総書記の一連の講話を学び、党員として合格する』運動の展開について」(両学一做=二つの学習と一つの行い)という通達を発令した。要は、習近平総書記への偶像崇拝化運動である。

この運動に対して、党内では反発もあったが、最高人民検察院は推進の旗振り役となった。

4月18日に、曹建明書記兼院長が最高検党組織会議を開き、「両学一做」運動の意義と偉大さを強調。翌19日に「全国検察機関の全共産党員が「両学一做」の学習教育を展開することについて」という通達を、全国の検察機関に向けて発令した。さらに翌20日には最高人民検察院の内部に「両学一做」の学習教育部署を発足させ、幹部たちが率先して、「偉大な習近平講話」を朗読し合った。

そして21日には、「『両学一做』学習教育実践方案」を、正式に対外的に公布したのである。この「方案」を拠りどころにして、習近平総書記は4月24日から27日まで安徽省を視察し、「両学一做」運動が全国展開されるようになった。

習近平総書記にしてみれば、この「両学一做」運動と、今回の「6中全会」は、「一党独裁中の一人独裁体制作り」に向けたセットのようなものだ。

6月28日の全国組織活動会議、同日の中央政治局第33回集団学習、7月1日の中国共産党大会95周年大会、8月23日の青海省視察時など、この夏一貫して、共産党員の政治意識の統一(自分への絶対忠誠)について強調してきた。

いまや国営新華社通信や中国中央電視台(CCTV)も、「習語」(シーユイ=習近平語録)なる新語を作って、習近平主席の偶像崇拝化を連日、アピールしている。

有人宇宙飛行成功の大きな意味

習近平総書記は、「6中全会」を前に、自らの力を鼓舞するため、国民に対して「プレゼント」も用意した。有人宇宙飛行船「神舟11号」を搭載した全長58.3mの宇宙ロケット「長征2号」を発射したのである。中国にとって、これが長征ロケットの237回目の発射実験だという。

中国時間の10月17日朝7時30分、甘粛省の酒泉衛星発射センターから発射。575秒後に無事、「神舟11号」はロケットから分離し、地上から393㎞上空の衛星軌道に入った。

「神舟11号」は、宇宙飛行士の景海鵬少将(50歳)と陳冬上校(38歳)を乗せていて、今後、「天宮2号」と宇宙空間で合体。宇宙空間に30日滞在して、宇宙実験などを行うという。「天宮2号」は、1ヵ月前の中秋節(9月15日の中秋の名月)に合わせて発射されていた。

この中国にとって6度目の有人宇宙飛行の成功を確かめると、酒泉衛星発射センターで会見が始まった。その模様は4分27秒にわたって、中国中央電視台が緊急生中継した。

会見に登場したのは、神舟11号飛行任務総指揮の張又侠氏だった。どこかで見た顔だと思ったら、陸軍上将である。

張又侠上将は1950年7月、北京生まれで、1968年に陸軍に入隊。北京軍区副司令員、瀋陽軍区司令員などを経て、今年年初に新設された中央軍事委員会装備発展部長に抜擢された。また彼は、中央軍事委員会のメンバーでもある。いわゆる習近平・中央軍事委員会主席を支える「軍10人組」の一人だ。

中国中央電視台が報じた会見の大半は、習近平総書記が滞在先のインドから送ったという祝賀電報を読み上げることだった。ちなみに習近平総書記は、2013年6月11日に、この酒泉衛星発射センターを視察に訪れている。

「中国の夢」と「宇宙の夢」

ともあれ、今回の「神舟11号」発射から、二つのことが改めて明らかになった。

一つは、中国の宇宙事業というのは、人民解放軍が管轄しているということだ。日本で言えば、宇宙開発事業団(JAXA)ではなく、航空自衛隊がやっているようなものだ。
習近平総書記は常々、軍内部でこう発破をかけているという。

「21世紀の人民解放軍は、陸海空天電の5軍の戦いになる。陸海空軍の力はアメリカに及ばないが、天(宇宙)と電(サイバー空間)ではアメリカを追い越して世界一を目指すのだ!」

もう一つ分かったことは、中国の宇宙事業というのは、習近平政権の威信を発揚する手段だということだ。だからわざわざ「6中全会」の一週間前に「神舟11号」を打ち上げ、現政権の偉大性をアピールしたのだ。

中国が最初に人工衛星の打ち上げに成功したのは、1970年4月24日に打ち上げた「東方紅一号」である。習近平政権は今年の4月24日に突然、この日を「中国航天日」に定めると発表した。

「われわれが追求する『中国の夢』と『宇宙の夢』は、重なり合うものだ」というのが、その理由である。要は、今後は宇宙開発を習近平政権の発揚のために、全面的に利用していくということだ。

8月28日には、宇宙事業を推進していく新たな国有企業である中国航空発動機集団を、北京市海淀区に設立した。この会社の大株主は、国務院(中央官庁)、北京市人民政府(北京市役所)、中航工業公司、中国商飛公司で、資本金は500億元。最近勃興している典型的な「習近平銘柄」で、習近平総書記は次のようなメッセージを寄せている。

「この会社の設立は、党中央の決定であり、富国強軍戦略と国有企業改革を推進させるものだ。国家の利益を最優先させ、軍民が一体となって発展し、わが国の航空強国建設に向けて、たゆまず奮闘していくのだ」

国家の利益とは共産党の利益のことであり、共産党の利益とは習近平総書記の利益のことである。そのことを公的に認めさせる「6中全会」は、24日に迫っている。

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南沙諸島や尖閣諸島を巡る強硬な外交で、周辺国やアメリカと軋轢を生んでいる習近平政権。「海の万里の長城」を築き、大海洋国家を目指す習近平の野望ははたして実現するのか!?

【今週の推薦図書】

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失われた時を求めて フランスコミック版 スワン家のほうへ

著:マルセル・プルースト
画:ステファヌ・ウエ
訳:中条省平
(祥伝社、税込み2,700円)

20世紀フランス文学の最高傑作と言われる『失われた時を求めて』だが、一番多くの訳が出ているのは、もしかしたら日本ではないだろうか。1992年にちくま文庫版が、2006年に集英社文庫版が、2010年には岩波文庫版と光文社古典新訳文庫版が出た。
私は学生時代に筑摩書房版で読んだが、最近2回目を読んだ。それは、祥伝社が先週出したフランスコミック版である。小説のコミック化というのは、多くの失敗作と少数の成功作があるが、これはプルーストの情緒が巧みに取り入れられていて、数少ない成功作である。毎日スマホいじりで多忙な方も、コミック版なら読めるのでは?

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