「この先、日本では不動産を買うな株を買え」といえるこれだけの理由

「この先、日本では不動産を買うな株を買え」といえるこれだけの理由

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2019/05/27
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少なくとも日本が戦争に負けた70年ほど前から、株価と不動産価格はおおむね連動してきたことは否定できない事実である。

巷で良く言われるように、株価の先行性(例えば株価が暴落してから不動産価格が下がるまでには半年ほどのタイムラグがあるなど……)はあるように見える。

確かに、市場が整備され売買の活発な株式市場の方が、取引にローン設定や登記などの煩雑な手続きが必要な不動産よりも、社会や経済の変化に素早く反応して価格が変動するということはありそうだ。

ただ、いつも半年先に動くとかいうような明確な指標というものは無いのではないかと思う。しかし、不動産投資家が株式市場の動向に注視しているのは事実だし、株式投資家を兼ねていることも多いから、株式市場の動向は無視できない。

だが、令和時代に入って、この株価と不動産価格の連動性というものはかなり薄れてきているように思う。

不動産価格の下落は構造的問題

まず、これから予想される不動産価格の下落は、景気変動などの社会・経済のサイクルとは無関係に「需給バランス」のゆがみで生じる。

敗戦後、土地は必ず上がるという「土地神話」が生まれたのは、「一国一城の主になってマイホームを持ちたい」という個人や「高度成長に乗ってどんどん発展する」企業の土地需要に対して、供給が追い付かなかったからである。さらに、容積率をはじめとする建築制限などが、供給不足に追い打ちをかけた。

しかし、敗戦以来続いてきたこの「需要過剰」の流れは、1990年頃のバブル崩壊で終わり、リーマンショックでとどめを刺された。そして令和時代に入り、完全に逆回転を始めている。

詳細は、2018年9月17日の当サイト記事、「一般投資家はこの先、日本の不動産には手を出してはいけない」で述べたが、きわめてシンプルに表現すれば、「1人っ子同士が結婚して、どちらの親もマイホームを持っていたら、自宅が1つ余る」ということである。

少子高齢化の中で1人っ子同士の結婚は珍しく無く、地方を中心とした空家率の上昇にも大いに影響を与えているはずだ。

さらには、騒がれているカボチャの馬車やレオパレスなど、相続性対策や投資目的で建設されたシェアハウスやアパートなどの物件も、少子化の中で難しい局面を迎える。

人口減少により入居率の維持がかなり難しくなるだけでは無く、アパートなどは10年程度で外観がかなり汚れるため、リフォーム費用が結構必要なのだが、アパート経営者たちがその点を意識しているとは思えない。

10年を過ぎたアパートの入居率はかなり低くなるから、問題の深刻化はブームが終わってから10年以内にやってくるといえる。

これ以上金利は下がらない

不動産にとって不幸なことは、これ以上金利が下がる見込みがないことである。もちろんすぐに金利が上がる可能性はそれほど高くないことは、当サイト4月26日の記事「『バブル』は続くよどこまでも…もう誰も金利を上げることができない」で述べたとおりだが、これ以上金利が下がることは物理的に考えにくく、可能性があるのは上がる方だけである。そして、もし金利が上昇するとすれば徐々にでは無く「暴騰」という言葉がふさわしいほどの恐ろしいものになるはずである。

詳しい理論の説明は省くが、「プールの水を一杯にしてあふれさせる=金利を下げる」ためには、長時間水を出しっぱなしにしなければならないが、「プールへの水の供給を止めるには蛇口をひねればよい」と説明すれば、直感的にわかりやすいかもしれない。

株式を信用(借金をして投資)で行う人々は、全体から見ればごく一部だが、不動産は一般の堅実なサラリーマンでさえ当たり前のように借金をして購入する。また、商業施設なども借金して建設するのが当然である。

例えば、株式の信用取引は証拠金の約3倍まで取引できるのでレバレッジはおおむね「3倍」である。それに対して、マンションを頭金5%で買ったとしたら、残りの95%は借金だからレバレッジは20倍(頭金と総額の関係)である。

FX(外国為替証拠金取引)でのレバレッジで20倍というのは、かなり投機的と言ってよいし、株式の信用取引と比べたらとてつもない信用リスクを背負っていることになる。

不動産業者や手慣れた投資家ならこのリスクを理解して投資しているはずだが、自宅を購入する人々はほとんど意識していないであろう。住宅ローンの大部分が、目先の金利の安い変動型であることからもその事実が推測できる。

人間は不意打ちに弱い。思ってもいなかったリスクを目の前につきつけられた時の、一般の住宅購入者の反応を考えると恐ろしい。

できるのは税金の繰り延べだけ

不動産投資・購入のメリットとして良く「節税」があげられるが、これは幻想である。どのような悪知恵を使っても、定まった金額の税金を安くすることはできない。巷で言われている節税とはほとんど「課税繰り延べ」のことであり、今払うのか? 後で払うのか?の違いなのである。

確かに、今払うよりも後で払った方が得であるようにみえることがある。しかし、今思っていることが将来起こるかどうかはまったくわからないのであり、状況が変化して今よりもはるかに高くついたというケースは多い。課税繰り延べによる節税は、それなりのリスクを負っているのである。

また、住宅減税も、結局その金額以上に住宅ローンの支払いを抱えるのだから、ローンを払い終わり、家を借金までして買ったことにメリットがあるかどうか判明するまでは、得したかどかはわからないのだ。

不動産は保有しているだけでお金が出ていく

さらに、湯沢などのリゾートマンションは実質ただでも売れないという。温泉かけ流しの設備などの費用負担から管理費が高いだけでなく、固定資産税も重くのしかかる。さらには、老朽化した空家のマンションで何か「事故」が起これば所有者の管理責任が重くのしかかる。

株式を保有した場合には、このような負担は基本的には無い。ただし、税制上の優遇措置は、不動産に比べてかなり見劣りがする。

都市部のマンションでも、管理組合の仕組みそのものの問題が明らかになってきている。

企業の管理をするのは、それなりの報酬をもらうプロフェッショナルである「取締役」で、執行役員が実務を行う。

それに対して、管理組合の役員は、ほとんど実権が無いだけでなく、無報酬が原則(一部報酬を支払うところもあるがお小遣い程度)の素人集団である。そもそも企業の取締役と違って成り手がなかなかいない。

執行役員にあたるマンション管理会社に、取締役である管理組合の役員が牛耳られているのが現状だ。

神戸市などで、認証制度などによって管理組合に対する監視を厳しくしようとする動きがあるがこれは逆効果である。報酬ももらえないのに、うるさいことばかり言われれば、管理組合の役員の成り手がますますいなくなるだけである。

戦後70年の不動産黄金時代は平成とともに終わった。令和とともに始まるのは、まさに「悪夢の時代」である。

平成の間、世界中の投資家が日本株比率を下げてきた

日本企業(株式)の輝かしい未来については、当サイト10月6日の記事「今後4半世紀の間に日経平均株価は10万円に達することができる」で詳しく述べているが、需給面で言えば、これから世界中の投資家からの日本株への需要は増していく。

失われた30年とも言える平成時代に、海外の機関投資家、ファンドなどは新興国などへ投資をシフトし、日本株の比率を減らしており、どこも日本株の比率は下限に近い。

彼らの投資手法では、「ポートフォリオ」を重視するから、日本の株価が上昇して市場の時価総額が増えれば、日本株の組み入れ比率を慌てて増やす。

つまり価格が上昇すれば、それによってさらに株価が上昇するという「正のスパイラル」が始まる可能性が高い。実際、混迷の度合いを深める世界の中で、投資家が安心して資金を投入できる国は、米国・日本などごくわずかに限られてきている。

令和時代に株価の「正のスパイラル」が始まる可能性はかなり高い。

日本は自国が戦場にならない戦争で発展した

戦争はもちろん悲惨なものであるし、平和が良いに決まっている。しかし、日本が戦場にならなければ、「多国の愚かな行い」は、日本の利益になるのも現実。それを証明したのが、第1次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争である。

そして、現在「米中貿易戦争」が話題になっているが、この血を流さない戦争も、日本経済飛躍のきっかけになると考えている。

なぜなら、日本や世界を苦しめているデフレ経済の「元凶」は、共産主義中国だからである。

2018年8月13日の当サイト記事「異次元緩和でも日本にインフレが起こらない極めてシンプルな事情」でも述べているように、現在の世界経済の根本原因は、「買いたい人よりも売りたい人の方が圧倒的に多い」点にあり、その売りたい人の筆頭が共産主義中国なのである。

だから、貿易戦争の結果、中国がかつてのような「北朝鮮状態」になろうが、内乱で崩壊しようが、世界貿易の枠組みから外れてくれれば、日本を含めた大多数の先進国の経済は劇的に好転する。

まったく市場に波乱が起こらないということでは無いが、長年世界を苦しめてきたデフレ経済が終わることによって企業業績が目覚ましく発展し、株価も長期的には当然のごとく上昇する。

ただし、景気が好転しインフレ基調になれば金利引き上げの可能性が高まるから、不動産の未来はやはり暗い。

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