ここ一番という時に実力を発揮できない人に——「意識しない力」でうまくいく

ここ一番という時に実力を発揮できない人に——「意識しない力」でうまくいく

  • ダ・ヴィンチニュース
  • 更新日:2018/02/14
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『「意識しない」力 うまくいくときは、結局みんな、自然体』(小林弘幸/文響社)

一流のアスリートのパフォーマンスに感動するのは、その技だけでなく、精神力に畏敬の念を抱くからだろう。恐怖にも近いと思える緊張状態を克服し、実力を出しきれる心の強さに胸を打たれるのだ。アスリートの大勝負ならずとも、ここ一番という場面の緊張感は誰しも経験していることだろう。成功したい、いいところを見せたい、などの意識に囚われてしまう状態だ。この‘意識’に着目して実力を発揮する方法を説くのが、本書『「意識しない」力 うまくいくときは、結局みんな、自然体』(小林弘幸/文響社)である。

著者の小林弘幸氏は順天堂大学医学部教授でスポーツドクターでもある。小林氏は中学校時代に部活動を通して、自分の力を出せないときの状態を振り返り、「何かを意識している自分」がいることに気づいたそうだ。のちに医学の道に進み、自律神経の関わりまで解き明かした。「意識しない力(無意識の力)」を養うことで、自分の実力が最大限に出せるという考えに行き着いたのだ。「無意識の力」のわかりやすい例としては、髪をいじったり、頬杖をついたり、自動的に体が動く癖のことだ。これを応用することで、自分の実力が最大限に出せるようになるのだという。

例えば、ゴルフの上達を考えてみよう。初心者は、習ったばかりのスイングの型に倣う意識が100%の状態だ。それが練習の繰り返しにより、無意識でできる領域が増えていく。これが上達の意味である。武道も同様に型から入り、それが身に付くに従い自然にその型が実戦に繰り出される。つまり、上達とは、いかに無意識領域を増やすか、なのだ。

無意識の力を発揮するための方法は、日々の小さい習慣の積み重ねだという。無意識を引き出し、育てていくルーティンだ。例えば、ぼんやりする時間。これは自分の中にスポットライトを当て無意識を目覚めさせる時間なのだ。ところがどうだろう、ちょっとした時間もスマホをチェックしてはいないだろうか。ぼんやり時間は無意識の扉を開く手軽な方法であり、力を引き出す重要な時間だったのに。今、私たちは「無意識の危機」に直面しているのだ。

ぼんやり時間を確保しよう。おすすめの方法は瞑想だ。しかし瞑想と構える必要はない。ルールなど気にせず、ぼんやりすることから始めればよいのだ。散歩や無心になる単純作業、身の回りの片付け、手書きで丁寧に文字を書くことなど、この無意識力向上に役立つ身近な習慣だ。

この無意識状態に集中が加わると、一流アスリートが到達するゾーンの状態になるのだという。フィギュアスケートの羽生選手は、この状態を「川の中にズブンと入った感覚」と表現している。

さあ、意識の束縛から離れ、実力を出せる人になろう。無意識の力は充実して活きる人生の武器なのだ。一度きりの人生を悔いなく送るためにもチャレンジしないわけにはいかない。

文=八田智明

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