年収1200万円夫婦が、4000万円の住宅ローンで「地獄を見た」ワケ

年収1200万円夫婦が、4000万円の住宅ローンで「地獄を見た」ワケ

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2019/11/19
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筆者は、都内でフィナンシャルプランナーをしていますが、住宅ローンの返済に困って相談にやってくる人が後を絶ちません。金利は「史上最低」の水準を維持しているにもかかわらず、返済がきついと悩んでいる人が増えているのです。

マイホームを購入するときにはほとんどの人がローンを組みますが、実は住宅ローンには誰もが見落としがちな危険な罠がたくさん潜んでいます。

なぜ、多くの人がこうした落とし穴にはまってしまうのか? 実際にあった事例を元に、その原因と対策をお伝えします。

定年後に収入が激減して…

3年前に都内大手企業を定年退職したFさん(63歳)は、20年前に購入したマンションに妻と二人で暮らしています。購入当時、43歳だったFさんの年収は1200万円。4300万円のマンションを買うために4000万円の住宅ローンを組みました。

妻もパートをしており、Fさんは家計には余裕があると思っていました。毎月、住宅ローンの返済と子どもの教育費、必要な生活費などの支払いを済ませた後に、外食や旅行を楽しむほどでした。ところが、定年をきっかけに家計が大きく狂い始めます。

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〔PHOTO〕iStock

定年退職後、再就職をしたものの、現役時代に1000万円超あった年収は300万円に激減。住宅ローンはまだ2000万円超の債務が残っており、年間180万円の返済をしています。さらに、マンションの共益費が年間50万円ほどかかり、年収では生活費をとても賄いきれません。

貯蓄を切り崩して生活費に充てているうちに、退職金はわずか3年で底を尽きてしまいました。とうとう家計が回らなくなり、やむを得ず、離れて暮らす息子に助けを求めることになったのです。

借りる時に「完済計画」を

金融機関は、住宅ローンの完済時年齢を概ね80歳と定めており、45歳までは最長の35年ローンを組めるようになっています。実際、多くの人が最長期間で借り入れをしますが、定年退職時のローン残高を確認している人はほとんどいません。

目先の返済に気をとられ、10年後、20年後、さらにその先の定年退職後の返済についてまで考えが及ばないのが普通でしょう。最初は返済期間を長く設定して、後から繰り上げ返済をすればいいと漠然と考えている人も多いものです。

しかし実際には、住宅購入後は教育費や生活費などの支出がますます増え、なかなか計画通りに繰り上げ返済できません。その結果、定年後も返済が続いてしまった場合、一般的には年金収入だけでローンの返済を続けるのは難しく、Fさんのような事態に陥るケースもあるのです。

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総務省の家計調査によると、老後は年金収入だけでは生活費が追いつかず、毎月6万円を貯蓄から切り崩しているという平均データがあります。65歳から90歳まで25年間切り崩すと1800万円の貯蓄が必要になる計算です。年金でローンの返済ができないばかりか、老後の生活費を考えると退職金も住宅ローンの完済資金に充てられないことになります。

こうした現実をきちんと踏まえ、定年退職時には老後資金とは別にローンの完済資金を確保できるのかどうか、きちんとシミュレーションをしてから借りるようにしてください。万一、退職金が期待できず、今後計画的に貯蓄していくのも難しいと予測される場合は、定年までの返済期間に設定しておく方が無難です。

3年でマイホームを手放すことに…

Oさんは、結婚を機に神奈川県で5000万円の新築マンションを購入しました。登記費用・融資手数料・引越代など、諸費用が別途300万円必要です。

結婚費用で貯蓄をだいぶ使ってしまったので、マンション価格の全額にあたる5000万円を住宅ローンで借りることにしました。月々の返済額は約9万8千円、ボーナス月の加算額が25万円です。

別途、管理費・修繕積立金が月々2万円ほどかかりますが、夫婦共働きで世帯年収900万円のOさん夫婦にとっては無理なく返済できる範囲でした。ところが、入居後、待望の第一子が誕生すると状況が一変します。

産後、妻は体調を崩し育児をするだけで精一杯でした。遠く離れた実家に暮らす両親も高齢なため、頼りにできる身内もいません。仕方なく妻は退職しますが、世帯年収が900万円から600万円に激減。育児手当が途絶えた時点から毎月家計が赤字となり、貯蓄もすぐに底をつきました。結局、購入からわずか3年ほどで泣く泣くマイホームを手放すことになったのです。

Oさん夫婦の場合、たまたま購入した時期がよかったため、購入時の価格より高い値段で売却できたことが、せめてもの救いでした。

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〔PHOTO〕iStock

貯蓄なしのフルローンは要注意!

Oさん夫婦の場合は、産後の体調不良が原因で復職できませんでしたが、子供が保育園に入れずに妻が復職できなくなるケースは珍しくありません。筆者自身、3年待機した後にようやく子どもを入園させることができました。

また、いざ子どもが生まれてみると部署替えや時短勤務で働く女性も多く、妻の収入が5~7割程度に落ちこむ例もあります。中には、夫の会社の業績が悪化した年にボーナスが支給されず、ボーナス返済が出来なかったという人もいました。

このように収入が急に減った場合や途絶えた場合に備え、ある程度の貯蓄は必要でしょう。また、長らく低金利で麻痺していますが、金利上昇時に備えると、ローン返済をしながら継続的に貯蓄が出来るようなゆとりをみておくことも必要です。

住宅ローンの組み方が、ますます難しくなっている

20年以上住宅ローン相談を行っている筆者のところには、何年経っても相談に訪れる人が減りません。むしろ、最近では不動産価格の高騰、金利低下(カネ余り)、晩婚・非婚化といった特有の社会問題により、「借り過ぎ」や「返済年齢の高齢化」といったローンのリスクがより一層高まっています。

住宅ローンの返済に行きづまる人の共通点は、借りる時に将来の家計の変化を予想できていなかったという点です。住宅ローンは約30年もの長い期間返済が続くので、時間の経過に伴う家族の状況や家計の変化をきちんと予測し、長期的な視点で対策を打つ必要があります。

ローンで苦しむようなことは絶対避けたいと思うならば、最低でも、定年退職時のローン残高と退職金見込み額は必ず確認するようにしてください。

さらに、今後の収入と支出の推移を予測し、定年までにいくら貯蓄が出来るのか、年金の見込額はいくらなのか、こうしたこともきちんと確認した上で無理のない返済計画をあらかじめ立てておけば安心です。

夢のマイホームを手に入れるために借りたはずの住宅ローンが、家計を圧迫する地獄のローンとならないようくれぐれもご注意を。

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