「私の夫を返して...!」略奪愛を誓う男女が暮らすマンションで、妻が目にした残酷な光景

「私の夫を返して...!」略奪愛を誓う男女が暮らすマンションで、妻が目にした残酷な光景

  • 東京カレンダー
  • 更新日:2019/03/22

人のものを奪ってはいけない。誰かを傷つけてはいけない。そんなことは、もちろんわかっている。

しかし惹かれ合ってしまったら、愛してしまったら、もう後戻りなんてできない−。

WEBメディアで働く三好明日香(24歳)は、彼氏がいながら既婚の上司・大谷亮(おおたに・りょう)男女の関係に

距離を置こうとする離れられない二人同棲を開始。泥沼にハマっていく。

全社メールで関係を暴露され退職に追い込まれた明日香。さらには大谷も妻に不貞がバレ事態は修羅場に。二人は離れ離れとなった。

だが離婚する気のない妻が明日香に嘘を吹き込んだと知り、大谷はついに家を出る。

再び一緒に暮らし始めた二人。しかしそこへ、明日香の母が上京してくることに。

No image

母の上京

「初めまして。明日香の母です」

意外にも堂々と挨拶する母を、私は大谷の横でハラハラしながら見守った。

普段はふわふわと頼りない性格なのに、こういう場面ではしっかり親の顔だ。私はそんな母の前で、急に何もできない子どものような気持ちになった。

母親から上京すると電話があったのが5日前のこと。

元カレの昭人とは別れたこと、代々木上原の家から引っ越し、今は元上司だった大谷と同棲していると話した

事情を聞いた母は驚いた様子で、一瞬、言葉を飲み込むのがわかった。

しかし母はそのあと私を一切追求せず、「そういうことなら、お母さんホテルに泊まるわ」と言ってくれたのだった。

ところがあまりにあっさり引き下がられ逆に申し訳ない気持ちになってしまった私は、つい勢いで口走ってしまったのだ。

「家には泊められないけど、日曜の昼に食事しよう。大谷さんのことも紹介したいし…!」

…そして、今。

私と大谷、母の3人は『東京 芝 とうふ屋うかい』の個室で向かい合っている。

明日香の母と大谷がついに対面…!そこで母が語った内容とは

No image

「大谷さん。一つ…これだけは、はっきりさせておきたいの」

料理出しを終えたスタッフが首尾よく部屋を出て行く。その絶妙なタイミングで、母は唐突に本題を切り出した。

ハッとして顔を上げるが、母と目は合わない。母はまっすぐに大谷を見つめ、その些細な変化も見逃すまいとしているようだった。

「大谷さん、結婚していらっしゃるのでしょう?それでも明日香と一緒に暮らしているというのは…この先、どうなさるつもりなのか。聞かせていただけますか」

あまりに単刀直入で、私の方が慌ててしまう。しかし私がフォローの言葉を発する前に、大谷が口を開いた。

「ご心配をおかけして申し訳ありません。お母様のおっしゃる通り、僕には妻がいます」

何も誤魔化すつもりなどない。そのことを証明するように、彼は淀みなく続ける。

「しかし妻とは別れます。必ず。順序は違ってしまいましたが、僕は明日香さんを愛しています。彼女を幸せにしたい。一緒に生きていきたいと思っています」

私と一緒に生きていきたい。母親の前でそう宣言してくれたことは私にとっても大きな自信となった。

そっと隣に座る大谷の表情を伺う。彼は母をまっすぐに見つめ、真摯に向き合ってくれている。そんな彼の姿に胸が熱くなった。

「その言葉は、信じていいのよね?」

念押しをする母にも、大谷は即座に、大きく頷く。

「はい、もちろん。信じてください」

その言葉を聞くと母は静かに「そう」とだけ言い、今度は私に向き直った。

「なぁに、そんな間の抜けた顔して」

二人のやりとりをただ見つめていた私に、母は呆れたように笑う。

「…お母さん、責めないの。私たちのこと」

私は正直、驚いていた。母は地元・千葉で、高校時代の同級生である父と純愛を実らせ結婚したような人だ。当然ながら不倫経験などないし、理解なんてできないだろうと思っていた。

しかし母は、うつむく私にこんな言葉をかけてくれたのだ。

「私が責めなくたって…あなたたちはもう十分に責められてきたんじゃないの。そりゃあ褒められたことではないとは思うけど、そんなこと、あなたたちだって十分わかっていることでしょう」

そこまで言うと、母は再び大谷に視線を戻した。

「大谷さんはまず、奥様に対する責任をきちんと果たしてください。そして…約束してくださいね。この先絶対に明日香を傷つけるようなことはしない、と」

そうして彼が「はい」と頷くのを確認すると、母はまるで独り言のようにこう呟いた。

「愛ってね、二人で向き合い育んでいくものだから。正しく始まった愛だって、向き合うことを怠れば簡単に壊れる。逆に、たとえ間違いから始まった愛だって…丁寧に育めば永遠の愛になることもあるわ」

思いがけず母に励まされた二人。しかしその一方で、大谷の妻は孤独を募らせていた

愛し合うということ

総武線のホームで、母を乗せた電車が行ってしまうと、大谷と私は自然に目を合わせた。

−たとえ間違いから始まった愛だって、丁寧に育めば永遠の愛になる。

さっき母親が言ってくれたセリフが蘇った。言葉を交わさなくてもわかる。大谷もきっと今、同じことを考えているはずだ。

「…証明しよう。俺たちの愛が本物だってこと」

繋いだ手に力を込め、大谷は私を優しく見つめた。そんな彼に、私も真剣な眼差しで応える。

ふと、大谷と最初に出会った時のことを思い出した。

目と目が合った瞬間、無意識に高鳴った胸の鼓動を今でも覚えている。何を考えているのかわからない、だが無性に惹かれる瞳。

私はずっと彼のことが怖かった。好きになってしまったら、自分が自分でなくなりそうな気がした。

理性はずっと警告を発し、私は必死で自らを制御していたはずだった。しかしそれでも、私たちは始まってしまった。愛し合ってしまった。

そして世界が変わった。今の二人はもう、以前とはまるで違っている。

彼の目を見れば、何を考えているのかがわかる。大谷と一緒にいる私こそが自分であり、彼と離れることなんて考えられない。そしてそれはきっと、大谷も同じ。

人を愛するというのは、個の欠片を失うことだと何かで読んだ。

心を重ね、向き合うことで、私たちは溶け合い、混ざり合い、そして別の自分になったのだろう。

「大谷さん。私たち、必ず幸せになろう」

他人の評価など関係ない。この愛が正しいか間違っているか。それは私たちが決めることだ。私たちがこれから、時間をかけて永遠の愛を証明していけばいい。

力強く言い切った私を、大谷は人目もはばからずに抱きしめた。

その瞬間、身体中に漲る力を、湧き出る勇気を、私は確かに感じたのだった。

大谷舞:「そろそろ決着をつけなければ…」

No image

溜まっていたメールにすべて返信し、送信ボタンを押したところでため息がこぼれた。

また今日も、夫は帰ってこなかった。

昨日も一昨日もその前も。そしてきっと、明日も。

“三好明日香って子、あなたのこと諦めるそうよ”

まるで私と会うのを避けるように、家に寄り付かなくなった夫。しかし私が悔し紛れに送ったLINEにだけは、彼は即座に反応した。

「彼女に、何を言った?」

必死で怒りを殺して尋ねる亮に、私は答えなかった。

−亮の遊び相手はあなただけじゃない。他にもたくさんいるのよ−

私は彼女にそう言った。もちろん、嘘だ。

私はあの女を傷つけてやりたかった。亮の愛情を独占するあの女を。そして彼女には夫から手を引いてもらわねばならない。そのためにはどんな手を使ってもいいと思った。

三好明日香は、私に謝罪をした。それはつまり、亮と別れる、縁を切るという意思表示のはず。当然だ。それでいい。そして全ては元どおり、のはずだったのに。

「舞、ごめん。僕はもう君とこれ以上一緒にはいられない」

そう言って、亮からの電話は切れた。

その夜も翌日も夫は家に戻らず、そしてそれから2日後。明け方にようやく帰ってきたと思ったら、私が止めるのも聞かず、スーツケースを抱えてすぐに出て行ってしまったのだ。

強行突破で家を出て行った夫…妻はついに、決着をつけようと心に決める。

これは一体、どういうこと…?

亮が出て行ってからしばらく、私はこの状況が意味することを理解できなかった。というより、何も考えることができなかった。

人は耐えられないほどのショックを前にすると、思考がストップするようにできているらしい。

しかしいよいよ考えざるを得なくなったのは、上海のスタッフから「いつ戻るのか」「早く戻って欲しい」という督促が連日届き始めたから。

本来であれば、正月だけを日本で過ごしすぐに上海へ戻るはずだった。旧正月が明けるまでには戻るという約束でスタッフの了承を得ていたが、それももう限界のようだ。

そろそろ決着をつけよう。

亮がどこにいるかはわかっていた。三好明日香とともに、目黒に借りたマンションで暮らしているのだ。

−亮を…夫を返して。

雪がちらつくほど冷え込んだ、土曜の朝。私はまるで呪文のように「夫を返して」と唱えながら、ドレッサーの前で念入りにメイクを施した。

二人が暮らす目黒のマンションに乗り込み、亮を取り戻す。抵抗し、戻らないと言うならそれ相応の責任をとってもらう。夫にも、それから当然、三好明日香にも。

No image

「ここ…ね」

目黒駅から徒歩5分ほど。

Google Mapが示す場所にある赤茶色のマンションを、私は少し離れた場所から苦々しい思いで見上げた。

このマンションで、亮とあの女は暮らしている。事実として知ってはいても、実際に目にすると想像以上に不快だ。今すぐにでも壊して、めちゃくちゃにしてやりたい。

するとふいにエントランスから出てくる、見覚えあるシルエットが目に飛び込んで、私は思わず電柱の陰に身を寄せた。

すぐ30m先を、二人の男女が寄り添い歩いていく。ブランチにでも出かけるのだろうか。亮は見覚えのあるネイビーのダウンを着込んでいた。

そのとき、亮が左側を歩く女…三好明日香の表情を伺うような仕草を見せた。

その、彼の横顔を見た瞬間。私は鈍器で頭を殴られたような衝撃を受け、くらくらと目眩がした。

あの人のあんな柔らかな表情、私が最後に見たのはいつだった…?

思い起こせば私はもう何年も、亮が心から笑った顔を見ていないことに気がつく。

私たちは夫婦だった。しかしもうずっと前から、心を通わせられてはいなかった−。

こみ上げる思いを抑えるように、口に手を当てる。立ち尽くしたまま俯いたら、乾いた道路にぽろぽろと、大粒の涙が痕をつけた。

−帰ろう。私にできることは、もう何もない…。

そう思い、二人に背を向けたその時。バッグの中で、私のスマホが音を立てた。

▶NEXT:3月23日 土曜更新予定
もう夫の愛を取り戻すことはできないと知った妻。ある電話が救世主となる…?

【東カレ読者アンケート実施中!】

割引チケットももらえる!今話題の『カスタマイズピッツァ専門店』の素敵なプレゼントをもらおう!
アンケートはコチラから!

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

コラム総合カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
なぜ「4月1日生まれ」は1学年上になるのか 『チコちゃん』の解説に納得の声殺到
花粉ブロックスプレーの効果、使用感は? 厳選4アイテムを試してみました!
どうしよう。リサイクルが破綻しかけているんだって
やってきました無印良品週間♪何を買おうか迷っている方向けのおすすめ商品13選
小沢健二が追突事故 現場となった場所に「オザケンがそんなところに...」と驚きの声
  • このエントリーをはてなブックマークに追加