【ラグビーコラム】新しい日本代表の姿が見えた オールブラックス得意戦術を取り入れたジョセフ・ジャパン

【ラグビーコラム】新しい日本代表の姿が見えた オールブラックス得意戦術を取り入れたジョセフ・ジャパン

  • SANSPO.COM
  • 更新日:2016/11/30

【ノーサイドの精神】

日本代表が、28日に欧州遠征を終えて帰国した。ジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチ(HC、46)が就任して初の海外遠征は1勝2敗。初陣となった遠征前のアルゼンチン代表戦も含めて1勝3敗に終わったものの、3年後に迫るW杯日本大会に向け、確かな一歩を踏み出した。

11月5日に行われたアルゼンチン戦に20-54と大敗を喫したが、密集サイドを簡単に突破されるなど、わずか1週間の準備による影響は明らかだった。その1週間後のジョージア代表戦ではアルゼンチンにも劣らないパワフルなFWを相手に、重圧を受けながらも粘り強い防御で応戦。28-22で競り勝った。

奪った4トライすべてをBKスリー(WTB、FB)でマークしたアタックは見事だった。

昨秋のW杯イングランド大会まで指揮を執ったエディー・ジョーンズHCも、日本のスピードを生かしたアタッキングラグビーを標榜(ひょうぼう)。W杯でも優勝候補の南アフリカを倒すなど、大会3勝と歴史的な結果を残した。

エディー・ジャパンの攻撃はポゼッション(ボール保持)を徹底し、パスでボールをつなぎ続けるのが特徴だった。これに対し、ジョセフHCがみせたアタックは日本伝統のボールをワイドに動かすラグビーに、積極的にキックを使うもの。左右の揺さぶりに加えて前後にも相手を動かし、最後はWTB、FBが仕留めるラグビーだ。

ジョセフ・ジャパンを語る上で一つのキーワードになるのが“アンストラクチャー”だ。ストラクチャーが構造的に作られた攻撃を意味するのに対して“アンスト”は崩れた状況からの攻撃のことだ。音楽に例えれば、ストラクチャーがクラシックのように精緻に構築されたものなら、“アンスト”はインプロビゼーション(即行演奏)によるフリー・ジャズのようなもの。状況に応じ、選手が判断してプレーを選択するのが“アンスト”ラグビーだ。

この戦い方を最も得意として、成功しているチームが、W杯2連覇中のニュージーランド(NZ)代表・オールブラックス。ジョセフHCの母国だ。NZの選手が“アンスト”にたけているのは物心ついたときからラグビーに親しみ、しっかりしたコーチングシステム、マニュアルが全国に張り巡らせてあるからだ。個々の選手の判断力の高さ、スキルの高さがあるから“アンスト”の状況で優位に立てる。

ラグビー最先端国のエッセンスを、まだW杯で8強入りも果たしたことがない日本代表が導入することに違和感を覚える読者もいるだろう。だが、ジョセフHCは、日本選手と日本ラグビーの緻密さ、忠実さが、大きな武器になると考えている。

ジョーンズ元HCも、この日本選手の特色を理解し、強みととらえていた。ジョセフ体制では、わずか1カ月程度の強化期間しかなかった中で、チーム練習後には毎日のようにハイパントを捕球する個人練習などを繰り返していた。このような反復練習で戦術的なキックから、ボールを奪い返せなくても相手に重圧をかけ続け、最後には相手のミスを誘う、新しい日本代表の姿が早くも見え始めている。

4戦を終えて、日本代表がマークしたトライは計12個。そのうち10トライはBKがマークしたものだ。しかも、すべてがWTB、FBで奪っている。刻々と戦術のトレンドが変わるラグビーだが、やはりWTB、FBらアウトサイドBKがトライを取る試合はおもしろい。

代表合宿期間にジョセフHCが笑いながら語った“小話”が忘れられない。

「昨夜、コーチと、こんな話をしたんだ。スクラムは何が目的か、とね。コーチは(相手にスクラムを崩させて)PKを獲得すると話したが、僕は違う。(スクラムで優位に立って)トライを取るためだ」

コーチの主張は間違っていない。実際に昨秋のW杯で日本も含む各国が目指したのも、相手反則からのPGによる3点だった。だが、ジョセフHCが頭の中に思い描くのは、トライを取って勝つラグビーだ。現役時代は大型FWとして暴れた新指揮官。体もデカイが、ハートはさらに大きく、理想に満ちあふれている。

吉田 宏(よしだ・ひろし)

1983年入社元号が平成に変わった年に入社して、1995年ラグビーW杯後からサッカー、野球担当を挟みながら現担当。“軟式ラグビー(自称)”出身で、こちらも自称の江戸川キャップ2を誇る。99年W杯の報道陣による南北半球決戦・プレスマッチで、なぜか南半球の一員で世界制覇を果たして現役を引退してからは、書き手専門で楕円(だえん)球を追う毎日。

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ウェールズ戦でトライを奪った日本WTB福岡

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