AIに仕事を奪われる「大失業時代」にどう備えるか

AIに仕事を奪われる「大失業時代」にどう備えるか

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  • 更新日:2016/10/20
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■日本経済のリスクと、我々にできる備えとは?

安倍政権下における日本経済をどう見るかは難しい問題だが、一定の評価をするのがリフレ派の論客として知られる飯田泰之氏。そのわりに我々が景気回復を実感できないのにはある理由があるという。さらに我々は「景気動向以上のリスクにさらされている」とも。「日本経済の未来」と「今、備えておくべきマネー対策」についてうかがった。

■アベノミクスの恩恵が伝わりにくい理由とは?

アベノミクス開始以来、EUショックなどの影響はあるとはいえ、株価は大幅に上がった。だが、その一方で我々の暮らしが良くなったと実感している人はそれほど多くない。アベノミクスをどう評価すべきか、悩む人は多いだろう。

「安倍政権で雇用者数は150万人増えました。正社員も増加し始めている。東京はもちろん、そのほかの都市部でもいよいよ地価が反転し始めています。インフレ目標を達成していないから批判を受けますが、食品とエネルギーを除いた物価指数はマイナス1%近くからプラス1%まで上がっていて、おおむね評価していいでしょう。

課題は分配です。アベノミクスは高所得者優遇と言われますが、一方で低所得者層も恩恵を受けています。たとえば非正規雇用の賃金は上がっているし、シフトも増えています。ただ、中間層の暮らしは良くなっていない。実は全員が一様に豊かになるのは高度成長期でも難しいのですが、今回は『ザ・平均層』である中間層が恩恵を受けていないので、景気が良くなったという実感がないという人が多いのかもしれません」

課題はあるものの、アベノミクスを評価している飯田氏。すると、このまま日本経済は良い方向に向かうのだろうか。

「中長期的に二つのリスクがあります。まず政権が不安定になること。経済政策は安定政権だと強く効き、不安定政権だと効果が弱くなります。今後、自民党が分裂したり、次の総理が正反対の経済政策を打ち出すと、経済にブレーキがかかるおそれがあります。

もう一つは海外経済のリスク。いまや中国経済のリスクは多くの企業が織り込み始めていますが、新たなリスクとしてヨーロッパエリアに注目です。ドイツが儲けたお金をヨーロッパに還流させず、機軸国としての責任を果たしていない。すでにイギリスがEU離脱を決めましたが、ユーロエリアの解体が進めば短期的に大きくショックが起きるでしょう」

■AIとロボットで大失業時代が到来!

では、こうしたリスクが顕在化しなければ、いずれ政府の目指すゆるやかなインフレが達成され、中間層のマネー面での心配がなくなるのかといえば、そうではない。景気の動向よりも我々の家計に大きな影響を与える要素がある、と指摘する。

「AI化によって、今後10年間でなくなる仕事が続出します。たとえば、銀行での融資の審査は自動化されて、融資担当者はいらなくなるでしょう。医療の分野も変わりそうです。体温や血液のデータを解析し、顔や舌などを画像認識する技術があれば、日常の疾病を診断するは専門知識・技術をもたないタイプの医者は不要になるでしょう。

技術の発展による失業を『技術的失業』といいます。これまでの新技術が登場するたびに技術的失業は起きていました。ただ、かつては階段を一段だけ昇ればよかった。たとえば炭鉱労働者が失業したとしても、一つステップアップして重機の運転免許を取ればトンネル工事の仕事ができました。

一方、AI化による技術的失業でなくなるのはホワイトカラーや熟練したブルーカラーの仕事です。これまでのように階段を一段昇るというやり方では対応できないのです。

AI化やロボット化が進んでも生き残る職業は、クリエイティブ職かホスピタリティ職と言われています。これからは、そのことを念頭に置いてキャリアを積んでいくべきでしょう」

いずれやってくる大失業時代。万が一に備えての資産運用ももちろん検討すべきだが、それ以上に大切なことがあるという。

「資産運用するなら、少なくとも1,000万円ないと、意味のある利回りを得ることはできない。それ以下の金額を回して毎日、相場をチェックして一喜一憂するのは時間の無駄。同じ時間を使ってアルバイトをしたほうがずっと稼げるでしょう。

大切なのはむしろ、人間関係資本、つまり人脈です。もし失業しても、『あの人は真面目で、仕事ができるから』と言って仕事を紹介してくれる人がいればリスクヘッジになります。貯金が1,500万円あっても、3年間無収入なら消えてなくなる。お金よりよほど頼りになるのが人間関係資本なのです。

地方のヤンキーたちが地元を離れないのも、そこに人間関係資本があるからです。我々も少なくとも、個人的な相談ができる友人を大勢抱えておいたほうがいいでしょうね」

■タワーマンションの資産価値のリスクとは?

マネー面ではもう一つ、我々が備えておくべき大きなリスクがある。不動産だ。
「多くの人は、定年時の資産のうちもっとも大きなものは不動産だと想定して老後のプランを立てます。しかし、人口減によって不動産の価値は二極化しています。人口が減れば人々はまとまって暮らすようになるため一部地域は値上がりしますが、逆にそれ以外のエリアは大きく値を下げます。『定年後に今持っている家を売って中古に住もう』などと考えていても、価格が下がって売るに売れないケースが増えてくるでしょう。

とくに戸建ては注意が必要です。30~40年も経つと上物の簿価はほぼゼロになります。それどころか『現況古家あり』といわれて、取り壊しのコストの分マイナス評価になるおそれもあります。

一方、マンションだから大丈夫とも言えません。個人的には、将来、タワーマンションの修繕が本当に可能なのかどうか不安です。10階建てくらいのマンションが建て替えられた例はあっても、タワマンはまだない。修繕が難しいとなれば、価値は大きく落ちるでしょう。

ただ、私は『賃貸でいい』という意見にも懐疑的です。65歳を過ぎると転居が大幅に困難になる。つまりは借家の審査が通らなくなるんですね。更新ですら渋られたり悪条件を押し付けられたりするかもしれない。そういった現実を踏まえて住まいについては今からしっかり考えるべきでしょう」

■「どっちに転んでも安心」な資産運用とは?

人的資本もあって1,000万円以上の資産がある人は、積極的な資産運用も視野に入れていいだろう。ただ、どの程度運用に回して良いかは考えるべきだ。

「1,000万円あれば、半分の500万円は定期預金や積み立てなどローリスクの商品で運用して、残りの半分はある程度のリスクを覚悟して株や外貨で運用してみてはどうでしょう。

詳しく知っている業界や企業がある場合以外では株価連動投信(インデックス型投信)などが初心者向けかもしれません。日本は緩やかなインフレを目指した経済運営が続くでしょう。インフレで物価が上がれば、少なくとも「企業の利益額」は大きくなり、それにともなって株価も上がっていきます。その動きと連動する資産を保有しておくべきです。日本の投信は手数料が高いものが多いので、手数料をしっかり比較する必要があるでしょうね。

リスクのないところに収益はありません。自身が許容できるリスク、つまりはいくらまでならば損をしてもかまわないかを見極めた資産形成を行う必要があるでしょう。」

飯田泰之(いいだ・やすゆき)エコノミスト/明治大学政治経済学部准教授
1975年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。駒澤大学准教授を経て現職。㈱シノドスマネージング・ディレクター、財務省財務総合政策研究所上席客員研究員。『ゼロから学ぶ経済政策』(角川oneテーマ21)、『世界一わかりやすい経済の教室』(中経の文庫)、『経済学思考の技術』(ダイヤモンド社)など、著書多数。(取材・構成:村上敬、写真撮影:長谷川博一)(『The 21 online』2016年9月号より)

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