【オリックス】スタジアムにこだまする様々な「声」の話

【オリックス】スタジアムにこだまする様々な「声」の話

  • 文春オンライン
  • 更新日:2017/10/12

観客の聴覚にアクセスし野球を盛り上げる

ORIX球団では、来季のスタジアムMC、スタジアムレポーター、加えてファームスタジアムMCを広く公募するという。アナウンサーやDJ、声優といったジャンルを問わずに「声に自信のある人」を募集しているというから、声に自信がある読者の方は応募してみてはいかがだろうか。ただし、平野智一スタジアムMCや前職の堀江良信アナと親交の深い自分の口からはとても「初心者でも優しく指導してくれる」とは言えない。ましてや「業務内容は至極簡単です」な訳がない事もよく知っているから、応募にはそれ相応のやる気と意気込みが必要だと思うが、それでも観客の聴覚にアクセスし野球を盛り上げる仕事は華やかでとてもやりがいのある仕事だろう。「バファローズ。選手の交代をお知らせします」。このアナウンスに我々の胸はどれだけ躍動させられる事か。実に素晴らしい仕事である。という事で、今回は文春野球ペナントレースとは少し離れて「声」のお話、野球にまつわる様々な「声」についての話である。

「声で野球を盛り上げる」そう聞いて我々Bsファンが真っ先に思い浮かぶのはDJ KIMURA氏、それにJ SPORTSでもお馴染みの大前一樹氏ではなかろうか。タイプは全く真逆であるが、お2人とも超一流の声のスペシャリストなのは間違いない。そもそもORIXの現在のスタジアム進行のスタイルはこの2人から始まったと言ってもいいだろう。DJ KIMURAさんの「イチロー・スズゥーキー」のアナウンスは今でもORIXを象徴するイメージであるし、同様のスタイルは様々なジャンルのスタジアムに浸透している。前に一度Bsステージ(京セラドーム大阪や、ほっともっとフィールド神戸での場外イベントステージ)でDJ KIMURAさんのトークショーを拝見したが、今では現場を離れられたとは言えその美声は相変わらずの健在ぶりであった。

大前さんに至っては今でも現場の最前線で活躍されている。大半のパ・リーグファンは日々その実況のお世話になっている事だろう。あまりに巧みなその実況術は今ではパ・リーグを飛び越え、いやスポーツのジャンルさえ飛び越えMLB、ラグビー、サッカーと多岐に渡っている。実はこの大前さんには球団歌「SKY」の誕生にも大きく尽力して頂いた。ORIX Buffaloesの誕生に際しファンの「声」を球団の「声」として代弁して貰い、色々なアドバイスを頂戴した経緯があるのだ。言わば2005年のスカイマークスタジアム(現・ほっともっとフィールド神戸)で産声をあげた「SKY」であるが、分娩室でヒーヒー唸る我々の横でSKY誕生に立ち会ってくれたのが大前さんなのである。

DJ KIMURA氏が「左の速球派」だとすれば大前一樹氏は「右の本格派」。スタイルの違う2人の「声」のエースは間違いなくBsが12球団に誇るひとつの要素であるだろう。

プレーには「声」が大きく関係している

話は変わって、今度は直接野球に関連する「声」の話である。文春野球読者の方は「Bsの選手はおとなしい」や「Bsのベンチは声が出ていない」と言った言葉を耳にした事が無いだろうか。確かにBsは伝統的にベンチが静かなイメージがある。勿論プロの選手達であるから連携プレー中の声出しや意思疎通は徹底しているのだろうが、それでも活発に声を出してプレーする印象は薄い。どうも「声が出ていない事」が「あと1本が出ない病」と大きく関与しているように思うのは自分だけではないだろう。

「プレーに必要の無い声出しと、運動のパフォーマンスに関連性はあるのか?」こう言った疑問を持たれる読者も居るのかもしれない。だがしかし! 実は「プレーのパフォーマンス」と「発声」は大きく関与しているのだ。同じく「声」を生業とする自分が言うので間違いない「発声」の効果である。

陸上競技のハンマー投げをイメージして欲しい。あの投げる瞬間の「グエッ!!」と言う発声や「ダァァァァーーーーーーーー!!!」と言う発声である。特にハンマーを投げる行為と発声に関連性は無いように思うが、あれは投げる瞬間に身体能力の全てを集中させる為に行っているのである。スポーツ生理学で言う所の「発声の科学的効果」や「シャウト効果」というものである。簡単に説明すると「普段は運動制御で掛かってる肉体のリミッター」を「大声を出す事によって外す」から「自分の運動パフォーマンスを最大限に近いものにする」のである。あの大声は自分の神経系統を騙しにかかっていると言ってもいいだろう。

競技が違うのでミートの瞬間に奇声を発しても打撃能力が向上するとはいかないだろうが、しかし常に声を出して運動をする事を心がけていないと運動制御の開放のイメージが掴みにくいのも事実なのである。よく少年野球の準備体操で「声出せ!」ランニングで「声出せ!」ダッシュ時に「声出せ!」守備練習で「声出せ!」と監督やコーチにうるさく指導されるのはこの為である。また精神的な効果まで鑑みると、活発に声を出し合ってプレーをした方が明らかに効果的なのである。

この通り、実は関係が無いようでプレーにも「声」が大きく関係しているのだ。

「V・O・F(ボイス・オブ・ファンズ)」

続いての「声」はプロ野球にまつわる「声」の中で一番大切な「声」。そう「ファンの声」である。

感動や感謝の声、賞賛、批判、待望、それにヤジに至るまでファンの声があるのは間違い無い。この「ファンの声」を広く真摯に受け止める事で、これまでプロ野球各球団が発展を遂げてきたのだ。特にパ・リーグ球団は不人気時代が長かった経験からか「ファンの声」を活発に取り入れている。

我らがBsもまた、例に漏れずその点に於いてはかなり精力的だ。いち早くコールセンターを設置し、様々な意見を吸収している事がその良い例だろう。これは企業のお客さま対応部署などで勤務された経験のある方のほうが詳しい事だとは思うが、現在あらゆる企業がこの「お客さまの声」なるものを集める為に多くのエネルギーとコストを費やしている。いわゆる「V・O・C(ボイス・オブ・カスタマー)」と言うやつだ。Bsも同様部署にて「V・O・F(ボイス・オブ・ファンズ)」なる呼称で広く意見を預かっているのである。そう、「カスタマー」では無く「ファンズ」。野球ファンの心理を実に良く理解した呼称で素晴らしい姿勢だと思う。野球チームにコールセンターを設置した場合、監督批判や采配批判、運営に対する批判になりがちなイメージであるが、それでもどう言った内容であれ「V・O・F」として改善ツールにしてしまうORIX球団なのである。いやはや流石である。しかし苦情の内容がマニアックすぎて、現場はきっと大変なのだろうが……。

最後に、我々ファンがその声を届ける為に一番効果的な事、それはやはりスタジアムに足を運ぶ事ではないだろうか。苦しい時こそ「声」を届けにスタジアムに足を運ぶ事が何よりの応援になるのだから。そして客席のファンの為にスタジアムMC、スタジアムレポーターがそのプロフェッショナルな「声」で試合を盛り上げる。その先にあるのは溌剌と「声」を出してプレーする選手達。スタジアムに今日も色々な「声」がこだまするのだ。あぁなんて素敵な光景だろうか。

Bsファンならびに文春野球ファン同志諸君、「SKY」の歌い出しを口ずさんでみよう。そう「君の声よ遥か届け」なのである。

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ファンの「声」が選手を後押ししている ©時事通信社

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※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/4523 でHITボタンを押してください。

(MEGASTOPPER DOMI)

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