【ぴいぷる】「母を一生守る」藤真利子が神に誓ったあの日 亡くなる直前の父からかけられた言葉とは...

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  • 更新日:2018/01/11

関東大震災の翌年の1924年、東京・築地に生まれた母、静枝さんとその3年前、同じく本郷生まれの父との間の一人っ子…のはずだった。だが、父が母に一目ぼれし新居を構えたとき、父にはすでに妻と2人の子供がいた。

やがて両親は結婚に踏み切った。藤さんの幼い頃の子守歌は、ジャラジャラと家中に響くマージャン牌の音や父と客人たちの大きな笑い声。ところがある日、その両方が消えていた。

「父の心はもうママにはなかった。父には私たちが邪魔な存在になってしまったんです。でも…」

黒目がちの目がまっすぐこちらを見つめてくる。

「今なら分かる。妻以外に好きな人ができる、人間ってそんなことってあると思う…仕方のないことなんです」

父とは藤原審爾(しんじ)。52年、『罪な女』他で第27回直木賞を受賞した作家ということは多くの人の知るところだ。

「普通とはいささか違う生き方、家庭環境でした。父が消えたというのに母と引っ越した家は部屋数も多く、大きな洋間があったり、お手伝いさんがいたり。日舞にピアノと少しぜいたくな環境で、これも普通の生活感覚を遠ざけた一因だったかも。父の不在に対してママの意地と頑張りが作り上げた環境の中に私はいたんです」

忘れられない日があると言う。父が、女性と暮らす家に母を連れて行ったときのことだ。父は現実を見せつけた上で「帰れ」と母を突き放し、母娘は泣きながら父の家を後にした。

「知らない道のはずなのに母はものすごいスピードで一直線にわが家を目指し、時々『悔しい』とおえつを漏らして…。母がかわいそうでした。とても…」

このとき誓った。母を守ろう一生、と。まだ小学生のときだった。

複雑な家庭環境は陰影に満ちた感情と感受性とを育ててくれたようだ。

中学校のすぐ隣に唐十郎のアングラ劇団「状況劇場(紅テント)」が借りていた家があった。奇抜な装いの俳優たちと生首などのおどろおどろしい小道具の山。それらにいざなわれるかのように高校では演劇部に。そして大学4年のときに女優の道に進む。

デビュー作『文子とはつ』(77年、TBSテレビ)以来、映画・舞台・テレビで活躍する大女優に成長した。

最初は「親の七光」とそっけなかった父も、次第に娘の本気を知るようになる。そして84年に亡くなる直前には、「お前が大好きだ」という言葉で娘に父親の愛を伝えた。全てが許容されたかのようなこの瞬間を「1秒でも長く続きますようにと神に祈った」と藤さんは言う。

娘の舞台やテレビでの演技を最も喜んだのは母だったろう。どの作品も欠かさず見て、必ず千秋楽を楽しんだ。いや一作だけ見ることができなかった。2005年、明治座6月公演の舞台『五瓣(べん)の椿』がそれだ。なぜなら静枝さんは同年脳梗塞で倒れ、その後11年間の厳しい闘病生活を強いられた。仕事を極端に制限し、つきっきりで母の介護にあたったが、92歳で静枝さんは亡くなる。

「私とママは一卵性親子と言われてました。そんな母を私は本当にきちんと介護できたのだろうか。もっと生きてほしかったのに、なぜ死なせてしまったのかと悔いばかりが募っていきました」

懺悔にも似た思いを1冊の本にしたためた。『ママを殺した』(幻冬舎)である。

本では母の介護をサポートしてくれた「カズちゃん」という男性の存在が明かされる。藤さんの長年のボーイフレンドであり、人生のパートナー。

「結婚? 先日、阿川佐和子さん夫妻にごちそうになったとき、何のために結婚したの? 子供を産むわけでもないでしょと聞くと、『籍入れちゃえばいちいち説明する必要ないし皆分かってくれるから』と。へ〜、そんな考えもあるのかなと思いました」

そんななか、NHKの大河ドラマ『西郷どん』にチャレンジ。瑛太演じる大久保利通の母の役だ。ユーミンをして「燻(いぶ)し銀女優・フジマリ」と呼ばせたあの演技が11年ぶりに炸裂する。楽しみだ。(ペン・冨安京子 カメラ・福島範和)

■藤真利子(ふじ・まりこ) 本名・藤原眞理。女優。1955年6月18日、東京都生まれ。62歳。微美杏里として作詞家としても活躍。聖心女子大学文学部卒業。主な出演作品にテレビドラマ「飢餓海峡」(ゴールデンアロー賞最優秀新人賞など)。映画「わるいやつら」、「薄化粧」(日本アカデミー賞助演女優賞など)、「黒いドレスの女」。舞台「プワゾンの匂う女」(第29回菊田一夫演劇賞)、「真砂女(まさじょ)」など。ピアノ、絵画、三味線ほか特技多数。

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