実はほとんど知らない「クリスマス・ソング」の真実

実はほとんど知らない「クリスマス・ソング」の真実

  • @DIME
  • 更新日:2016/11/29
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毎年このシーズンになると、テレビ、ラジオ、コンビニBGMなど日本全国津々浦々でクリスマス・ソングが流れてくる。その多くがアメリカの音楽にもかかわらず、いまや「日本の歌、日本の風物詩」となっている現実はさておき、歌の発祥や本質は案外、いやほとんど知られていないのではないだろうか。「クリスマスはキリスト生誕のお祭りだから、賛美歌でしょ?」。それもモチロンある。「昔から歌い継がれたトラディショナル・ソング?」。たしかにそうだ。が、どちらも実は少数派といっていい。

では、我々が子供の頃から慣れ親しんだクリスマス・ソングとは、元来どんな歌なのか!?

その代名詞ともいえる「ホワイト・クリスマス」はどなたもご存知だと思う。しかし、この曲は賛美歌でもトラディショナルでもなく、アメリカのソングライター、アーヴィング・バーリン作詞・作曲による作品。「雪の降るクリスマスの情景を夢見ている」という歌詞には賛美歌としての要素は全くなく、ジャンルでいえば「ポップス」である。もっとも有名なのはジャズ・ヴォーカリスト、ビング・クロスビーが歌ったヴァージョンだが、そのレコードの発売は1942年。なんと戦前だ。そして、このシングル・レコードは、ラジオのヘビー・ローテーションとなり、映画でも使われるなど、今で言うメディア・ミックス展開が効奏、何十年にも渡り幾度となくヒットチャート入りを果たした。結果、ビング・クロスビーの歌う「ホワイト・クリスマス」はギネスブックが認定した「全世界でもっとも売れたシングル・レコード」となり、少なくとも5000万枚が売れたとされている(ギネスブック2007年版)。

一方、「ホワイト・クリスマス」と並んで知られるクリスマス・ソングに「きよしこの夜」がある。こちらは1800年代に作られた正真正銘の賛美歌だ。この2曲のバックボーンを比較すると、クリスマス・ソングといっても、時代も内容もさまざまという事実が理解いただけると思う。

では、どうして日本では一緒にくくられているのだろうか。実はこれは日本だけの現象ではなくアメリカでも同様なのだ。要するに同じ時代にスタンダード化したからに他ならない。1930年代のラジオの時代から40年代以降のレコード時代。アメリカ音楽産業は急速に拡大しさまざまなヒット曲が生まれたが、クリスマス・ソングもその中でポップスとして全世界に波及、スタンダード化の道をたどったのだった。実は「きよしこの夜」もビング・クロスビーが「ホワイト・クリスマス」以前にヒットさせた実績がある。つまり、古い賛美歌であってもポップスとしての世界的ヒットによって、クリスマス・ソングとして定着したというわけ。この時代、アメリカのポップス・シーンの中心はジャズ。つまり、ジャズ・ヴォーカリストたちが歌ったクリスマス・ソングが、現在のクリスマス・ソングの元祖であり王道といえる存在なのだ。

というわけで、クリスマス・ソングを聴くなら当時のジャズ・ヴォーカルで聴くのが、本物志向のオトナにふさわしい。多くの人をうならせ、そして聴き継がれてきた普遍的楽曲だから、流行音楽にアレンジされた一過性のクリスマス・ソングとは、深みと重みそして味わいが全然違う。

11月29日(火)発売のCDつきマガジン『ジャズ・ヴォーカル・コレクション』(小学館)の第16号は「ジャズ・ヴォーカル・クリスマス」。最高のジャズ・ヴォーカリストが歌う、選りすぐりのクリスマス・ソングを全10曲をフルコーラスで収録している。全曲「季節もの」を超えたスタンダードとしての魅力が満載。もちろんビング・クロスビーの「ホワイト・クリスマス」やナット・キング・コールの「もろびとこぞりて」、女王エラ・フィッツジェラルドの「ジングル・ベル」も収録。この「本物」のクリスマス・ソングを聴き、詳しい楽曲解説のブックレットを読めば、クリスマス観もきっと新たになる。今年のクリスマスはいつもとひと味違う聖夜となることだろう。

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『ジャズ・ヴォーカル・コレクション』第16号

http://www.amazon.co.jp/dp/B01E98LLN8

文/編集部

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