【映画評】少女ファニーと運命の旅

【映画評】少女ファニーと運命の旅

  • アゴラ
  • 更新日:2017/08/13
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Le voyage de fanny [Blu-ray] [Blu-ray]

ナチスドイツ支配下の1943年フランス。13歳のユダヤ人少女ファニーは、両親と離れ、二人の幼い妹たちと一緒に協力者による児童施設に匿われていた。密告者の通報でナチスの捜査が迫り、別の施設に移動することになるが、そこもまた危険が迫る。ファニーを含む9人の子どもたちはスイスを目指して移動するが、途中、引率者の大人とはぐれてしまう。リーダー役となったファニーは、子どもたちをまとめながら、数々の困難を、知恵と勇気で乗り越え、スイス国境を目指すのだった…。

ナチス支配下のフランスからスイスを目指したユダヤ人の子供たちの逃避行の旅を描くドラマ「少女ファニーと運命の旅」。実在した女性ファニー・ベン=アミの自伝をもとにした実話だ。ナチスの手を逃れるため、子どもたちだけでスイスを目指したサスペンス風味のドラマなのだが、極限状態の中でも、フランスの田舎の風景は牧歌的で美しく、無邪気な子どもの目を通した旅はどこか冒険旅行のような趣さえ感じられる。リーダー役となったファニーは、頑固で勝気だが、同時に心優しい女の子だ。子どもたちの中には、まだ戦争や迫害といった現実を理解できないほど幼い子がいる一方で、複雑な出自をかかえ悩む子もいる。そんな“混合チーム”を率いる小さな指揮官ファニーの、どれほどの逆境でも決してあきらめない意志の強さと健気な姿が感動的だ。ファニーは心の中の不安を封じて皆を引っ張り、旅を通して大きく成長していくことになる。

監督のローラ・ドワイヨンは、「ポネット」などの名匠ジャック・ドワイヨンの娘だそう。才能は確かに受け継がれているようだ。不安な現代に、平和の尊さを訴えるのは、いつだって希望を失わない子どもたちのまっすぐなまなざしだ。子どもたちの生命力と、危険を顧みず正義を行った大人たちの存在が、胸を打つ佳作である。
【70点】
(原題「LE VOYAGE DE FANNY/FANNY’S JOURNEY」)
(仏・ベルギー/ローラ・ドワイヨン監督/セシル・ドゥ・フランス、ステファン・ドログロート、レオニー・スーショー、他)
(健気度:★★★★★)

この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年8月12日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は公式Facebookページより)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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