米司法省とAT&T、テレビの未来をかけた闘い

米司法省とAT&T、テレビの未来をかけた闘い

  • WSJ日本版
  • 更新日:2018/01/12
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創業以来エンターテインメント業界とはあまり関わらず歩んできた米通信大手AT&Tが、ショービジネスが争点の裁判に巻き込まている。

同社は昨年850億ドル(約9兆4500億円)でメディア大手タイムワーナーを買収すると発表したが、反トラスト(独占禁止)法に違反するとして米司法省が提訴。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認した資料によれば、裁判ではテレビ事業が大きな鍵を握る模様だ。政府に多くの情報を提供しているライバル企業は、AT&Tがタイムワーナーのエンターテインメント資産を不当に利用することに懸念を示している。

事情に詳しい関係者によれば、買収によって公平な競争が妨げられるとして米司法省に情報を提供しているのは米衛星放送大手ディッシュ・ネットワーク、有料ケーブルテレビ(CATV)局ショータイムを傘下に持つ米メディア大手CBS、米娯楽・メディア大手21世紀フォックス、動画配信サービス大手ネットフリックス、そして有料CATV局スターズなどだ。

政府側の弁護士は30前後の第三者を召喚し、買収に関する情報を提供するよう依頼している。この規模の召喚は大型の反トラスト訴訟ではよく見られるという。

一方のAT&Tも裁判の準備を進め、22人におよぶ証人候補リストを作成したと首席弁護士ダニエル・ペトロチェリ氏は明かす。裁判は3月19日に始まる予定。事情に詳しい関係者らは、それまでに両陣営が和解することは難しそうだと述べる。

WSJが確認したスターズの資料は、AT&Tが傘下ディレクTVのコールセンター従業員らに対し、サービスのバンドル(抱き合わせ)契約をする際にスターズを勧めないよう過去に指示したと批判。これによってディレクTVを通したスターズの月間新規契約者数は数十万人から100人以下まで下がったと書かれている。スターズはタイムワーナー傘下のHBOと競合関係にある。

これに対しAT&T側は、ネットフリックスのような新たなプラットフォームや米アマゾン・ドット・コムの動画コンテンツ参入を挙げ、タイムワーナーの動向にかかわらず視聴者には十分な選択肢が確保されているとこれまで主張している。

一方の米司法省は、AT&Tがタイムワーナーを買収すれば、タイムワーナーが所有するカートゥーン・ネットワークや米プロバスケットボール協会(NBA)の試合を多く放送するTNTのコンテンツをより高額でライバル企業に売る可能性があると指摘。また同社がタイムワーナーを支配することで、オンライン動画配信分野でイノベーションが妨げられるかもしれないとしている。

AT&Tによるタイムワーナー買収によって、CATVや衛星テレビに変わる新たな選択肢の開発に支障が生じないかーー。裁判の中核となるこの点に米司法省は注目し、調査を続けている。タイムワーナーのコンテンツ料金が変更された場合にどの程度の影響がビジネスに生じるのか、司法省はオンライン動画配信企業に問い合わせていると事情に詳しい関係者らは話す。

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