エコカー減税の対象が半減?それぞれの思惑

エコカー減税の対象が半減?それぞれの思惑

  • MONEY PLUS
  • 更新日:2016/12/01

現在、新車販売台数の約9割が対象となっているエコカー減税を2017年度から縮小する方向で業界と政府がかけひきを行っている。新車販売台数を維持するために減税対象をなるべくそのままにしたい経産省に対して、税収を増やしたい総務省は減税対象車種を全体の5割まで引き下げようと考えているようだ。このかけひきがどのように落ち着くか、シナリオと影響を検討してみよう。

エコカー減税の現状

新車を取得する際にかかる自動車取得税を燃費に応じて非課税ないしは80~20%減税するエコカー減税制度は、もともとリーマンショックを受けて2009年に始まった。プリウスなど燃費が良い、つまり環境にやさしい車種は自動車取得税がかからないということで、ハイブリッドカーの人気が高まったのはこのエコカー減税がきっかけだ。

リーマンショックが収まった後もこのエコカー減税は、燃費基準を上げつつ維持することになり、現在でもハイブリッドカーは無税となっている。近年では新車販売のトップをプリウスかアクア(どちらもハイブリッドカー)が占めるという状況が続いているのはこのエコカー減税の影響が大きいだろう。

一方で燃費の悪いガソリン車でも、一定の燃費基準を達成すれば何らかの減税対象となる。一番ハードルが低い2015年基準であるリッター当たりの17kmの燃費基準を5%以上上回るというレベルでも20%の減税、10%以上上回れば40%の減税ということで、大半のガソリン車はこの基準を上回っている。

現行基準で減税対象から外れるのはたとえばスバルのインプレッサSPORTSのようなスポーツカータイプの乗用車で、それ以外は何らかの減税を受けられるというのが現行のエコカー減税制度になっているわけだ。

2017年のエコカー減税を巡る攻防

さて、政府は2017年からこのエコカー減税を見直す方向で検討に入った。アベノミクスの失速によりなんとかして景気を維持したい経産省としては、減税幅をなるべく小さくしたいという立場だ。経産省案では減税対象から外されるのは2015年基準を5%上回るレベルのエコカーだけで、これは全新車台数の2%に過ぎない。つまり経産省案では現行とそれほど変わらない車種がエコカー減税の対象になる。

さらに経産省案では現在80%減税となっている2020年基準を10%以上上回る車種までを非課税対象にしたいとしている。これは全体の12%に相当する台数で、エコ基準を上回る車種への買い替えを促すことで、新車販売の増加だけでなく温室効果ガスの削減目標の達成に向けても追い風になる政策をとりたいと考えていることになる。

一方で総務省案はかなりシビアな増税案になっている。経産省案で非課税になる車種までが(非課税ではなく)減税の対象となり、それ以外の車種は減税なしという考えなのだ。

総務省案ではエコカー減税対象は全体の5割にまで縮小

新車販売に占めるハイブリッドカーや電気自動車など、2020年度基準を20%以上達成している自動車は新車全体の39%、これに10%以上達成の12%を加えた車種だけを減税対象にしようというのが総務省案で、これは減税対象を新車販売台数の5割まで縮小するという案になる。

総務省はエコカー減税の対象を絞ることで税収をしっかりと確保したいという意向なのである。2016年度の自動車取得税の税収は1075億円なのだが、これは10年前と比べると5分の1のレベルだ。リーマンショックのときは仕方なかったにせよ、世界的な経済危機とはいえない現状ではこれをなんとか元のレベルに戻していきたいというのが総務省の本音であろう。

さらに非課税となる車種は全体の1割に絞りたいと言うのが総務省の意向だ。ということはハイブリッドカーの多くが非課税から外れることになる。非課税となるのは電気自動車などエコカーの中でもごく一部という状況にもっていこうというのが総務省案ということになる。

このように景気拡大と温室効果ガス目標達成を念頭に置く経産省と、税収拡大を狙う総務省の隔たりは大きい。着地点はどうなるのだろうか?

新車全体の7割が攻防ライン

現状案は結局のところは両省庁の駆け引きの最初の提示条件ということで、これから業界を挙げて着地点を探していくことになりそうだ。その際のひとつの攻防ラインが2020年度基準達成車までを減税対象とするという案である。

これは新車全体の7割のラインになる。現在エコカー減税対象の車種の2割が対象から外れることになる。人気車種で言えば日産のエルグランドあたりが外れるラインにかかってくる。

自動車会社の業績に関する影響で言えば、SUVのような大型の乗用車の販売台数はエコカー減税が終了すれば一定レベルで売上が下がることになるだろう。その観点では日産が一番影響を受けることになるかもしれない。

一方で総務省案に近いところまで押し込まれてしまうと、ハイブリッドカーの売れ行きに大きなブレーキがかかる可能性もある。そうなってくるとトヨタが一番大きな影響を受けることになる。

ある意味でリーマンショック以降の日本の新車販売構成は、エコカー減税の影響を大きく受けてきた。過去何十年にもわたって新車販売トップだったカローラが没落しプリウスが台頭したのはあきらかにエコカー減税の影響である。

それが制度の改定でさらに変わることになるかもしれない。自動車各社の国内販売台数の未来を占ううえで、エコカー減税の攻防がどう着地するのかは、非常に大きな要素なのである。

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