インバウンドでJTBら4社が提携! 大企業の集結に共通の危機感

インバウンドでJTBら4社が提携! 大企業の集結に共通の危機感

  • マイナビニュース
  • 更新日:2016/10/19

●アジア向けデジタルマーケティングの新会社を設立

ジェイティービー(JTB)、日本通運、三越伊勢丹ホールディングス(HD)、日本航空(JAL)の4社は、アジアのインバウンドビジネスなどで協力すべく資本・業務提携を行った。アジア向け日本紹介サイト「Fun! Japan」をベースとするデジタルマーケティングの新会社を設立する。いわゆる“爆買い”が落ち着きつつあるなかで、次の一手を探ろうとする4社の動き。各分野で一流の企業が集結した背景には4社共通の危機感があった。

Fun! Japanとは

Fun! Japanはインドネシア、タイ、マレーシア、台湾の現地消費者を対象に、オリジナル記事を配信するなどして日本の情報を発信しているWEBメディア。開設したのは日通で、これまでにWEB会員33万人、Facebookファン数330万人を獲得している。規模は日本紹介サイトとしてアジア地域最大とのこと。特徴的なのは、Facebookのコメントに現地の言葉で対応するなど、アジアのユーザーと双方向でのコミュニケーションを行っていることだという。

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Fun! Japanはユーザーの参加が活発なアクティブなメディアだという

JTB、日通、三越伊勢丹HDの3社は、共同出資で「ファン ジャパン コミュニケーションズ(FJC)」を設立。同社ではFun! Japanを運営し、このサイトをベースとするデジタルマーケティングを行う。払込資本は10億円で、出資比率はJTB50%、日通40%、三越伊勢丹HD10%。代表取締役にはJTB出身の藤井大輔氏が就任した。JALは新会社と業務提携を締結している。新会社の主な売上は、FUN! Japanを使って様々なマーケティング活動を行う企業・自治体からの手数料収入となる。

具体的なビジネスモデルは

Fun! Japanを使うことで、具体的に何ができるのか。インバウンドビジネスの拡大に向け、アジアでプロモーションを実施したい企業・自治体であれば、FUN! Japan上で属性情報を利用したターゲティングプロモーションを実施したり、JAL機内でサイネージを利用した情報発信を行ったりすることが可能だ。これにより訪日外国人の増加につなげたり、自社商品の購入・越境ECに結びつけたりすることができる。海外事業を拡大したい“食”関連の企業であれば、FUN! Japanできめ細かい現地ニーズを把握したうえで、潜在需要の高い商品を日通で配送し、現地の三越伊勢丹で店頭に並べるといったような使い方が考えられる。

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FUN! Japanを使えば様々な方法でアジアの最終消費者にリーチできる

提携を結んだJTBら4社は、訪日外国人の拡大や日本企業の海外展開などで今まさに恩恵を受けていそうな企業だが、このタイミングであえて協力体制を構築したのはなぜだろうか。背景には4社に共通する危機感がある。

現地消費者との接点構築が急務に

「(日本の)企業・自治体には、(アジアの)現地消費者と情報を共有する接点がなく、(現地消費者との)つながりが構築できていないという共通の課題がある」。FJC設立会見に登壇したJTBの高橋広行社長は、アジアの消費者と接点を構築できていない日本の現状に危機感を示した。日本には優秀な製品やコンテンツが存在するにも関わらず、アジアの最終消費者に上手くリーチできているとは言えないというのが同氏の考えのようだ。

この危機感は4社に共通している様子。例えば日通の渡邉健二社長は、「(物流業の顧客である)消費者向け商品を扱う製造・販売業者から、アジアの消費者の生の声、ニーズを把握することが難しいとの声」を聞くという。三越伊勢丹HDの大西社長は、小売業にとって消費者の潜在的なニーズを捕捉することが最も重要と指摘したうえで、東南アジアに展開している店舗で細かなマーケティングをできているかについては「疑問だ」と語る。JAL執行役員の加藤淳氏によれば、同社はアジアの企業との関係こそ構築できてはいるが、最終消費者による認知度はまだまだ高くないという。

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FJC設立の会見に登壇した(左から)JALの加藤氏、日通の渡邉氏、FJCの藤井氏、JTBの高橋氏、三越伊勢丹HDの大西氏

きめ細やかなマーケティングが重要な段階に

昨年度の訪日外国人は1974万人。今年度は最終的に2,000万人を超える見通しで、勢いに陰りは見られない。日本政府は2020年に4,000万人、2030年に6,000万人という野心的な目標を掲げている。訪日外国人の増加に伴い、訪日外国人旅行消費額も急激に拡大。2012年の1兆846億円が2015年には3兆4,771億円まで伸びた。しかし、1人あたりの消費額は今年に入って減少を続けている。

訪日外国人の旅行形態は今や、個人旅行(FIT)が8割を超えているという。個人旅行者が日本でどんな体験を求め、何を買いたいのかは各人各様で、絞り込むのは困難。定番の商品・体験を並べておけば自動的に売れるというフェーズが終わりつつあるとすれば、これからは旅行者各人の意向を探る、きめ細やかなマーケティングがますます重要になってくるはずだ。

こういった状況に対応するように資本・業務提携を結んだJTBら4社。この動きは時宜にかなっているようにも見える。FJCが提供するサービスを利用する企業・自治体が増えるかどうかが今後の焦点だが、各分野の一流企業が顔をそろえる同プラットフォームの求心力は高そうだ。Fun! JapanではWEB会員とFacebookファン数で計1,000万人の規模を目指すというが、これだけのユーザーの属性情報を把握し、上手く情報発信ができれば、日本のインバウンドビジネスは「受け身」から「攻め」への転換を図れるかもしれない。

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