中国最大の配車サービス滴滴出行、CEOが今年の「アジア企業の顔」に

中国最大の配車サービス滴滴出行、CEOが今年の「アジア企業の顔」に

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2016/12/01
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中国の配車サービス最大手「滴滴出行(ディディチューシン)」の共同創業者で最高経営責任者(CEO)もある程維(チェン・ウェイ)は、同業者である米ウーバーのトラビス・カラニックCEOとは全く対照的だ。眼鏡をかけた丸顔の程は振る舞いも謙虚で、33歳ながら「大学を卒業したばかりだ」と言っても通用するだろう。

フォーブスアジアは今年、その程が滴滴の成長に果たしてきた役割を評価し、「ビジネスマン・オブ・ザ・イヤー」に同氏を選んだ。程はまた、フォーブスの世界の富豪ランキングにも今年、初めて名を連ねている。

程がたった一つの出来事で一気に国際的な知名度を上げたのは、今年8月のことだった。配車サービス大手ウーバーの快進撃に水を差す唯一の存在となったのだ。激しい争いの末、中国のライバルである滴滴を封じ込めようと数十億ドルを注ぎ込んだウーバーが、敗北を認めた。カラニックは同月、自社の中国事業(ウーバーチャイナ)を10億ドル(約1,140億円)で滴滴に売却。滴滴の評価額は2社の統合後、350億ドル(約4兆円)に達した。

成長のカギはCEOの人柄

滴滴は程の謙虚な人柄と、人の意見に耳を傾ける姿勢で国内の数多くの有能な人材や、投資家らを引き付けてきた。程のオフィスの自室の壁には、謙虚であることを意味する「虛心」の文字を記した書が掲げられているという。

陸地に囲まれた江西省の小さな町に生まれた程は、中国人にとって極めて重要な大学入学試験の結果が振るわず、トップレベルの北京大学や清華大学に入ることができなかった。北京化工大学で学んだ程は卒業後、フットマッサージのチェーン店や携帯電話の部品サプライヤーなどで、いくつかの職に就いた。ツアーガイドに応募しようとしたこともあるそうだ。

人生を変える転機が訪れたのは、2005年。急成長し始めていたインターネット業界で働こうと、電子商取引の中国最大手アリババの上海オフィスに履歴書を出した。程の起業家精神を呼び覚ましたのは、出世の階段を上りながら働いたアリババでの経験だったようだ。滴滴の共同創業者となったのは、最初の上司だ。

程は「滴滴を創業して以来、私が学んだことで最も重要なのは、満足してはいけないということだ」と話している。

機会に支えられた滴滴

滴滴を創業した2012年、同社のアプリはすぐに大成功を収めたわけではなかった。スマートフォンの普及率はまだ低く、中国のタクシー業界は需給がひっ迫していた(北京では過去10年に人口が急増した一方で、タクシーの台数は現在も6万6,000程度にとどまっている)。

利用者が急増したきっかけは、その年11月に中国を襲った暴風雪だ。通勤の足に困った人たちの多くが、滴滴のアプリに頼った。1日当たりの配車予約件数はこの時に初めて、1,000件を超えた。

程が外部からの出資を受け入れることを決めたのもこの頃だった。金沙江創業投資(GSRベンチャーズ)が300万ドル(約3億4,200万円)を出資。その他アップルや世界的なヘッジファンド、アジアの大手企業などに加え、アリババやテンセントも滴滴に投資している。

中国の400都市でサービスを展開する滴滴のユーザーは、起業からわずか4年でおよそ3億人に達した。正規タクシーのほか、自家用車を使った「白タク」やリムジン、通勤用のバスの利用にも対応する滴滴の中国市場でのシェアは、85%に上る。中国のインターネット業界専門の調査会社「易観国際(Analysys International)」によれば、同市場は2017年末には1,220億元(約2兆230億円)規模、2018年末には2,860億元(約4兆7,430億円)規模に達する見通しだ。

一方、滴滴は交通状況や利用者の需要などをより正確に予測することを可能にするため、自動運転車の開発やビッグデータ・テクノロジーへの投資も始めている。自動車ローンなど、その他の関連サービスにも事業を拡大したい考えだという。

夢は「世界進出」

いずれは滴滴をウーバーのような、国際的な事業を手掛ける企業に成長させたいという程は、「今後も競争を続けていく。だが、それは中国での競争ほどにひどい戦いにはならないだろう」と語る。すでに外国の関連企業の株式取得も進めており、ウーバーと競合する米リフトのほか、インドの「オラ」、東南アジアでサービスを展開する「グラブタクシー」と提携している。

今年すでに1億1,000万人を超えている中国人の外国旅行者らは、こうした敵的のビジネスのおかげで、旅先でも同社のアプリを通じてタクシーを利用することができる。また、滴滴は11月にエイビスとの提携も発表。中国人ユーザーらは、旅先で気軽にレンタカーも利用できるようになった。

程は今後の同社について、「世界最大のワンストップの交通プラットフォームとなることを目指す」と述べている。

「新しい業界と旧来の業界の争いにする必要はない。ライドシェアリング市場が今後も成長を続けていくことは明らかだ」

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