ついつい買い過ぎてしまう行動心理を、ビジネス戦術に生かす方法

ついつい買い過ぎてしまう行動心理を、ビジネス戦術に生かす方法

  • ライフハッカー[日本版]
  • 更新日:2016/11/30
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いよいよボーナスシーズン。通販サイトや量販店で、何を買おうか物色中という読者も多いのでは。しかし、「この時期は、売る側の巧みな心理手法で、買う側の心が緩み、つい買い過ぎてしまうことがあります」と語るのは、作家で心理学者の晴香葉子(はるか・ようこ)さん。

そこで今回は、売る側と買う側の心理を分析。さらに、買い過ぎてしまう行動心理を戦術としてビジネスシーンで生かす方法を聞いてみました。

晴香葉子(はるか・ようこ)/作家・心理学者・心理コンサルタント

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東京都出身。文学修士(コミュニケーション学)。早稲田大学オープンカレッジ心理学講座講師。テレビ、ラジオ、雑誌など、メディアでの心理解説実績多数。現在は、大学院博士課程に在籍し、研究を進めながら、行動心理学・消費者行動・コミュニケーション学など、さまざまな確度から情報を提供。著書多数。近著に『2回目からは、スーツのボタンは外しなさい』(潮出版社)がある。公式サイト

予定外の商品に意識を向かせる心理作用

晴香さん:カフェやレストランで「ほかにご注文はよろしいですか?」と聞かれたり、スーツ専門店で「もう1着買うと、2着目は半額!」といった広告を目にします。

これは、マーケティング心理学で「クロスセル」と呼ばれるもので、購入者や購入希望者に対して、関連するほかの商品やサービスを勧めることで、さらになる販売につなげる手法です。通販サイトの多くが「関連する商品はこちら」と関連商品を紹介しているので、ご存知の方も多いかと思います。

しかし、私たちは日ごろから、損をしたくない、無駄遣いはしないという意識が働いているはずなのに、買いたい物が決まっていたのに、どうして予定外の商品を買ってしまうのでしょうか?

テンション・リダクション=緊張の緩みが「ついつい」になる

晴香さん:買い物では、より良い商品を、お得に買えるように情報を集めたり、注意を払っています。

しかし、買い物を済ませた瞬間、緊張の糸がほどけたように注意力が低下して、無防備な状態になります。そんな時に、何かを勧められると、冷静な判断ができず、"つい買いやすい"心理状態になってしまいます。

これは、認知心理学で「テンション・リダクション=緊張の緩み」と呼ばれ、登山での事故が下山中に多いのも、コンビニやスーパーでレジ前の商品を買ってしまうのも、緊張の緩みが要因の1つとされています。

では、どうすれば、緊張を緩めずに、買い過ぎを予防できるのか?

スキー愛好家のケガ予防策を取り入れてみましょう。スキーヤーは「これが最後の1本」と決めずに、滑り終わった後に「これでお終い」にするそうです。最後と決めて滑ると気が緩み、ケガが起こりやすいことを知っているんです。

同じように、買い物でも、必要なモノをすべて買ったという安心感が気の緩みを引き起こすので、支払いを済ませた後に「これでお終い」と意識するようにしましょう。単純なことですが、これだけでも違いが出てくるはずです。

緊張と弛緩の心理状態をビジネスで巧みに生かす方法

晴香さん:ここからは、クロスセルとテンション・リダクションの心理をビジネスシーンに取り入れてみる方法を紹介します。

企画書は、相手が一段落したタイミングで提出する

晴香さん:何としても通したい企画があるとしてます。その場合は、決定権がある相手が一仕事終えたときに提出・提案してみましょう。一般的に、人は一段落すると、ほっとした気分になり、緊張感が緩和されることで、納得が得られやすくなると思います。

また、打ち合わせや商談の場合でも、「それでは時間となりましたので、このへんで」となったタイミングで、「あ、そういえば◯◯の件ですが、このまま進めさせてもらって構いませんでしょうか」などと、こちらの都合に合わせて、関連した質問をしてみましょう。相手が受け入れやすい状態になるので、OKの返事が出る場合が多いかもしれません。

そんな隙にアクションを起こすのはどうか、という考え方もありますが、心理効果を期待した交渉術の1つとして覚えておいてはいかがでしょうか。

ゴールが見えてきたときこそ、気を引き締めて

晴香さん:企画や考え方は間違っていなかったのに、結果が出なかった。よく耳にする話ですが、原因の1つは、当初の緊張感や勢いを持続することができなかったことにあります。

結果次第では、ビジネスに致命的なダメージを与えかねないので、常に緊張感を維持することはもちろんのこと、「そろそろゴールが見えてきた」となった瞬間からは、スキーヤーのケガ予防策と同じように、気を引き締めて、ゴールまでたどり着きましょう。

依頼や相談するなら、仕事が片付いた日の帰り道がベスト

晴香さん:たとえば、上司や同僚に依頼や相談したいことがあったとします。昼休みに話しかけると「後でいいですか」と言われやすいので、相手が仕事を終えた帰り際に声をかけてみましょう。

相手は会社を出て、仕事モードからプライベートモードに移ろうとしているので、声をかけられたら早く済ませたい意識が働きます。そこで、一緒に帰り道を歩きながら、依頼内容や相談を手短に伝えれば、「YES」を引き出しやすくなります。ビジネスを効率よく、加速させる方法かもしれません。

買い過ぎてしまう心理をビジネスで活用する。意外な展開でしたが、ビジネスにおいては、駆け引きや交渉術は必要不可欠なので、参考にしてはいかがでしょうか。

(文/香川博人)
Photo by Shutterstock.

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