「東京の国際金融ハブ化」という夢の実現は間近か

「東京の国際金融ハブ化」という夢の実現は間近か

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  • 更新日:2018/10/11

我が国において「東京を国際金融のハブにする」と真顔で語られたことがかつてあった。グローバル金融の中で流通する資金量こそ多いものの、ニューヨークやロンドン・シティ、さらには香港やシンガポールと比べると見劣りしがちな東京でそんなことを真顔で語るプロの金融マンは今ではほぼ皆無である。だが、1980年代後半の「平成バブル」の時代にはそうした夢が本気で語られていたのである。中には東京マーケットで取引される金融商品の時価総額は兆円を遥かにこえて「京円」になるとまで豪語するレポートすらあった。

「『失われた30年』を経てもなお、七転八倒しているのが我が国の経済だ。その首都・東京が国際金融ハブにあらためて躍り出るなどということはあり得ない絵空事だ」

そう言下に切り落とすことなかれというのが筆者のかねてからの分析である。なぜか。

我が国では当時、全く話題にならなかったが2008年前半からグローバル金融の中心地であるロンドン・シティから概要こんなメッセージが公開情報上で発されたことがある:

―アジアにおける金融センターがこれから大きく変化していく

―香港・シンガポールといった従来の中心地はその地位を失っていく

―これに対して台頭してくるのが「北京+上海」の組み合わせ、あるいは「東京感覚(sense of Tokyo)」を克服した「東京」だ

私たち日本人にはおよそ信じられないステートメントであるが、その後、ロンドン・シティは確かにこうした基本ラインに則った行動を一貫して取ってきているのである。

具体的にはロンドン・シティは東京都に対して惜しみなく支援を行う姿勢を示し続けており、「東京金融市」が出来るよう促してきているのである。昨年(2017年)12月4日にはそのための覚書(MoU)が署名された(http://www.metro.tokyo.jp/tosei/governor/governor/katsudo/2017/12/04/01.html)。

我が国においてもこれに呼応する形である意味「人知れず」施策がとられ続けている。直近では中曽宏・元日本銀行副総裁が来年(2019年)夏にも「東京金融市長」に就任することが話題を呼んだばかりなのである(https://www.nikkei.com/article/DGKKZO35935930Q8A930C1MM8000/)。

こうした動きを踏まえ、我が国のマーケットに出入りする米欧系のファンド・マネジャーらいわゆる“越境する投資主体”たちの間では「ニッポンの未来は大丈夫だ」といった安堵すら広がりつつあるのである。知らぬは、国内の政治経済情勢にだけとらわれ、こうした俯瞰図を知らない私たち日本人だけという状況になりつつある。

「北京+上海というフォーマットならば分かるが、よりによって東京がそんな重大な役割を果たすことになるのか」と読者は思われるに違いない。無論、我が国だけではそんな大それたことは出来ないはずだ。しかし、歴史的に見ると国際的な資金循環(グローバル・マクロ)を事実上動かしてきたカトリック勢力の総本山であるバチカン市国が東アジアで明らかに動き始めているのである。先月(9月)22日にはこれまで揉めに揉めていた「上海の司教選任問題」で中国政府といよいよ仮合意に達したと報じられた。他方でローマ法王フランシスコは実に30年以上ぶりとなる「ローマ法王による我が国訪問」を来年(2019年)に行う意向であることが先般明らかにされたばかりなのである。何かが確実に動いている。

「現場は海の向こうではない、東京であり、ニッポンだ」という認識が今こそ必要だ。ありきたりなインバウンド・マーケティング論を越えた、「世界史の大転換」をもモノにする投資戦略・経営戦略が今こそ私たち日本人に求められている。

より詳しい分析をお読みになりたい方はこちらからどうぞ→https://haradatakeo.com/

株式会社原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA)
元キャリア外交官である原田武夫が2007年に設立登記(本社:東京・丸の内)。グローバル・マクロ(国際的な資金循環)と地政学リスクの分析をベースとした予測分析シナリオを定量分析と定性分析による独自の手法で作成・公表している。それに基づく調査分析レポートはトムソン・ロイターで配信され、国内外の有力機関投資家等から定評を得ている。「パックス・ジャポニカ」の実現を掲げた独立系シンクタンクとしての活動の他、国内外有力企業に対する経営コンサルティングや社会貢献活動にも積極的に取り組んでいる。

原田武夫 (はらだ・たけお)
株式会社原田武夫国際戦略情報研究所代表取締役 (CEO)。社会活動家。
1993年東京大学法学部在学中に外交官試験に合格、外務省入省。アジア大洋州局北東アジア課課長補佐(北朝鮮班長)を最後に2005年3月自主退職。2007年4月同研究所を設立登記、代表取締役に就任。多数の国際会議にパネリストとして招かれる。2017年5月よりICC(国際商業会議所) G20 CEO Advisory Groupメンバー。「Pax Japonica」(Lid Publishing)など日独英で著書・翻訳書多数。

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