対北で「米国と完全に一致」と胸を張る安倍首相にこれだけは聞きたい

対北で「米国と完全に一致」と胸を張る安倍首相にこれだけは聞きたい

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2017/12/06
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現代の「フェイク王」

トランプ米大統領は1日平均5.5回も「事実ではない」ことを公言、発信するそうだ。

ワシントン・ポスト紙の「ファクト・チェッカー」(11月14日付)によると、トランプ氏が1月20日の大統領就任から298日間で発した嘘や事実の歪曲、誇張などの総数は1,628回に及ぶという。

71歳にして、このエネルギッシュぶり。その原動力が超人的なエゴ、自己顕示欲の強さであることは疑いがない。

ギネスブックに「フェイク王」というジャンルがあれば、有力な王者候補だろう。

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〔PHOTO〕gettyimages

そのトランプ氏が今度はツィッター発信でイギリスと悶着を起こしている。

極右団体「ブリテン・ファースト(英国第一)」の幹部が反イスラム感情を煽る目的で投稿した動画をリツイートし、イギリス側が猛反発する展開になっているのである。

動画は、イスラム教徒による市民への暴力や聖母マリア像を破壊するものだとする3本。

トランプ氏が29日にリツイートすると、メイ首相はトランプ氏の行動を「間違っている」と批判し、コービン労働党党首は「忌むべき行為、イギリス社会への脅威だ」と強い嫌悪感を示した。

そして、ぞっとするのが、ホワイトハウスの姿勢である。

動画の信憑性について、サンダース大統領報道官は記者会見でこう語ったのである。

「ビデオの内容が事実かどうか(に関わりなく)、(イスラム過激派の)脅威は現実である」
(”Whether it’s a real video, the threat is real.”)

やはり、トランプ政権には「事実」へのこだわりが薄いようである。

解任の噂が流れるティラーソン国務長官がトランプ氏を「間抜け」と呼んだというエピソードが10月に報じられたが、その苛立ちが目に浮かぶようである。

トランプ流マインドコントロール?

それでは、トランプ氏は何を目的に早朝から怪しげな動画を拡散するようなことをしているのだろうか。

アメリカではトランプ氏の「精神状態」を疑うべきだとの指摘も出ているようである。

しかし、トランプ氏が過激なツィッター発信でニュースを次々と「上書き」することに成功していることも事実である。

それはある種、トランプ流のマインドコントロールなのかもしれない。

過激な発信の連続攻勢で、トランプ氏にとって都合の悪いニュースには焦点が当たらなくなり、人々の記憶からも消えていくということである。

その一方で、個々の問題は深刻化していく。

「ブリテン・ファースト」のケースで言うなら、推定メンバー1000人ほどの無名に近い極右団体が一夜にして国際的なパブリシティを得て、支持者を増やし、その活動に勢いを与えかねないということである。

白人至上主義へのシンパシーを指摘されるトランプ氏。

発信の真意は不明でも、また一つ、社会、世界を分断する種をまいたという事実は動かし難い。

アメリカ大統領が持つ「アジェンダ(課題)」設定のパワーは、事態誘導、人々の「現状」認識に多大な影響を及ぼすのである。

トランプ氏のツイッター発信、わずか140文字の発信に揺さぶられる世界の在り様は、その怖さを物語っているように思えてならない。

北朝鮮の思惑

いずれにせよ、就任10ヵ月を経て一段と明確になったことは、トランプ氏には「事実」への関心が決定的に欠如しているということであり、各国はその大統領と外交・安全保障面でも「ディール」をしていかなければならないということである。

そこで疑問に思うことがある。

トランプ大統領は北朝鮮の核ミサイル問題をどう認識し、本音で何を考えているのかということである。

北朝鮮は11月29日に大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」の発射実験を行った。最長飛行距離は1万3000キロと推定され、米全土を射程に置いたとも報じられている。

外国メディアの軍事衝突の可能性などをめぐる推測合戦を尻目に、北朝鮮が着実に核弾頭搭載ICBMの完成に向けスケジュール闘争をこなしていることことだけは間違いない。

北朝鮮の思惑については、CNNのウィル・リプリイ記者が北朝鮮当局者とのインタビューを基に報じている内容が説得力を持つように思う。

そのポイントは次の通りだ。

・北朝鮮は核抑止能力を実証するまでアメリカとの交渉のテーブルにはつかない。

・その目標達成には二つのステップが必要である。

・第一のステップは米本土に届くICBMの実験成功である。

・第二のステップは地上での核実験もしくは大規模な水爆実験の成功である。

それまでは、国民に「草を食ませ」てでも核ミサイルの開発は続けるのだろう。

そして、核抑止能力を実証した上で、自らの核ミサイル開発凍結をダシに、アメリカとの「核軍縮交渉」に持ち込むというのが北朝鮮の算段ではないだろうか。

安倍首相に聞きたいこと

一方で、安倍晋三首相は、北朝鮮に最大限の圧力をかけ続けることでトランプ氏と完全に一致していると繰り返している。それは、日米の団結を示す北朝鮮向けメッセージなのだろう。

しかし、トランプ氏は「ディール」を生き甲斐とし、それに勝つことで自らの巨大なエゴの渇きを満たしてきた大統領だ。

トランプ氏が北朝鮮核問題で語る、「核保有という目標の達成を許さない」「核計画を廃棄する場合に限り、話す用意がある」などの言葉を信頼してよい根拠とは何なのか。

安倍首相に聞いてみたくなるのである。

ちなみに、トランプ氏が先の極右団体の動画をリツィートしたのは、北朝鮮が火星15の発射実験に成功して一夜明けたばかりで、日本では「北朝鮮のアメリカへの脅威が高まった」と大騒ぎしている最中であったことを指摘しておきたい。

あの事実を忘れたのか?

トランプ氏に同盟国の大統領としての信頼を置けない人は少なくないのだろう。

ある全国紙の記事で、アメリカが対北朝鮮政策で方針転換する懸念に触れてこんな件があった。

「日本政府高官は『日米の政策調整はかなり緊密だ。米国が同盟国との関係をないがしろにするようなことはあり得ない』と強調する」

この高官は、そうあってほしい、という期待を口にしているだけなのだろう。そうでなければ、「検証なき国」日本の健忘症シンドロームである。

ブッシュ(息子)政権時代に何が起こったか。

アメリカは、北朝鮮と核問題でディールするために、日本の懇願にも関わらず、テロ支援国家指定を解除(先月再指定)したのではなかったか。

筆者は当時、新聞社のワシントン特派員としてその経緯をつぶさにフォローした。

そこで痛感したことは、超大国アメリカの外交においても、為政者の虚栄心、名誉欲などのヒューマンファクターが大きくものを言うということだ。

この問題では、アメリカは1988年に前年の大韓航空機爆破事件を受けて北朝鮮をテロ支援国家に指定していた。

米テロ報告書は北朝鮮指定の要因として、大韓航空機爆破事件、よど号事件の赤軍派メンバー4人の保護、日本人拉致、の3件を指摘していた。

ブッシュ大統領は拉致被害者の家族と面会し、拉致問題を「決して忘れない」とマントラのように繰り返してもいた。

しかし、日本は事もなげに梯子を外される。

ブッシュ政権は2008年10月、北朝鮮の核放棄に向けた6ヵ国協議合意の実現が「核計画の申告」などで行き詰まる中、北朝鮮との「ディール」で指定を解除した。

その背景で指摘されたのは、イラク戦争泥沼化などで著しく評価の低かったブッシュ大統領が、任期(09年1月)切れが迫る中、北朝鮮核問題の解決に自らの「レガシー」を賭けたということだった。

ワシントンでは、ニクソン訪中以来の「ジャパン・パッシング(日本無視)」だという指摘さえ聞かれた出来事だ。あのとき、ブッシュ大統領を信頼し過ぎた日本外交は大きな衝撃を受けたのではなかったのか。

歴史は繰り返す!?

北朝鮮核問題への対応において、日米が「完全に一致」した状態は盤石か。

トランプ大統領が北朝鮮の核保有を既成事実化するようなディールを行う可能性があるか否かは、現時点では憶測の域を出るものではない。

しかし、トランプ氏が定見のある大統領でないことは誰の目にも明らかだろう。

11月の日米首脳会談後の共同記者会見でこう語った大統領だ。

「首相は米国から大量の防衛装備品を購入するようになるだろう。そうすれば、ミサイルを上空で撃ち落とせる」

価値観、歴史観を重視しないトランプ氏が、「北朝鮮核問題」後を見据えて東アジアの将来ビジョンを真剣に考えるということへの期待感も低い。

ならば、日米間で北朝鮮核問題の解決の在り方と、そこへ向けた手法が一致しない「想定外」の事態に備え、日本はいかなるヘッジ外交(リスク回避)の選択肢を用意しているのか。

それとも、想定外でも、「アメリカ追随」なのだろうか。

そのことが問われる日は、そう遠くはなさそうである。

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