無期限停止処分も引退に揺れる元王者・比嘉大吾に異例の停止解除条項

無期限停止処分も引退に揺れる元王者・比嘉大吾に異例の停止解除条項

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  • 更新日:2018/04/27
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計量失格の比嘉へ無期限停止の厳罰処分が下された(写真・山口裕朗)

JBC(日本ボクシングコミッション)が25日、倫理委員会を開き、15日のWBC世界フライ級タイトルマッチにおいて900グラムの体重超過による計量失格、タイトル剥奪の失態を犯した比嘉大吾(22、白井・具志堅スポーツ)に対して「ライセンス無期限停止処分」を下した。白井・具志堅スポーツジムから提出された今回の体重超過に関する経過報告書を踏まえた上で、倫理委員会で協議、決定されたもの。計量失格に関しての処分としては過去に前例を見ない最も重い処分となった。

JBCは、減量失敗の理由を「前回の試合から2か月しかなかったというスパン」「筋力が増え、減量に対する耐性が肉体に生まれていた」と判断。体重超過した比嘉本人だけでなく管理責任懈怠を理由に、ジムのオーナーである具志堅用高会長、瀧田通子マネージャー、野木丈司トレーナーにも戒告処分が下された。

JBCが体重超過の比嘉にライセンス無期限停止処分(https://thepage.jp/detail/20180425-00000002-wordleafs)

JBCが決定した厳罰処分は評価すべきだろう。昨日の記事に詳しく書いたが、世界でも類を見ない再発防止のためのルール作りにも着手。来月にも正式決定する。続発している体重超過問題で失いかけているファンの信頼を回復させ、ボクシングの階級制が持つ公平性を維持するには厳しい厳罰を抑止力とするしか手はない。

ライセンスの無期限停止は、比嘉の引退危機にもつながる厳罰である。
停止が解除されない限り、永遠にリングに上がれないのだ。引退勧告とも同意語である。原則として海外での試合には、出場停止の効力はないが、JBCとつながりのある海外のローカルコミッションは、日本の処分を厳守するため、海外でもメジャーなリングに上がることは難しい。

だが、今回の処分発表のペーパーには「※」として、こんな注釈が書かれていた。

「停止解除は定期的なコンディション管理報告、健康状態報告等を受け総合的に勘案してJBCが決定する」

異例である。あえて停止解除の条件が書かれた理由は再起への救済処置があることを示すためだ。

JBCの安河内剛事務局長は、「比嘉選手は、ボクシング界の宝でもあり、今後どう救済するかも考えて総合的に判断した。提出された報告書と、その後の回復経過を聞く限り、試合後、体温調整ができないなどのかなり重篤な状況になり、腎機能にも問題が出ていた。彼の精神面を考えてもコンディションを戻すには相当な時間がかかると思った。停止解除のための定期的な報告は何か月ごとになるのか、などは、今後、ジム側とも話し合って決めていく」とも補足した。

引退した山中慎介(帝拳)とのWBC世界バンタム級タイトルマッチで確信犯的に体重超過を犯して王座を剥奪されたルイス・ネリ(メキシコ)に対してJBCは、日本での無期限活動停止処分を下しているが、同じ無期限でも、悪意のなかった比嘉への処分とは意味合いも内容も違う。

当日計量をクリアした比嘉は、変則タイトルマッチのリングに立ったが、具志堅会長が棄権の意思表示を行い9回に棄権した(記録はTKO負け)。限界まで挑んだ減量の影響と、体重超過で迷惑をかけたという精神的ショックが、キャリア初の敗戦と重なり、試合直後に、比嘉はパニック状態に陥ったという。
頭から氷水をかぶったが、体温が下がらず緊急入院。腎機能の低下が確認された。比嘉は、親しい関係者に「もうボクシングを辞める」と、ショッキングな言葉さえ漏らしているという。

これらの状況を踏まえ、停止処分を1年なら1年と期限を切ってしまえば、また比嘉が無理をして体調を壊すことを危惧したのだろう。無期限は、比嘉を引退危機へと追い込む厳罰ではあるが、「期日を考えずにやり直せる」という環境を比嘉サイドへ与える温情処分でもあるのだ。

それゆえ、JBCは同時に再起する場合は、1階級以上、階級を上げる階級変更を義務として命令した。

比嘉自身は無期限の停止処分をどう受け止めたのか。
1年でなく無期限としたことは停止解除は少なくとも1年以上先になることを示す。
引退に揺れている比嘉が再起を決断したとき長期ブランクを克服することは可能なのだろうか。

“カリスマ”辰吉丈一郎は、WBC世界バンタム級王座を獲得後に、左目に網膜裂孔を負い、1年のブランクを作った。休養している間に暫定王者となっていたビクトル・ラバナレス(メキシコ)と1年後に統一戦を戦うが、9回TKOで敗れた。辰吉は、当時21歳。モチベーションは維持していたが、入院と絶対安静期間があり、ジムワーク再開までに4か月もかかり、通常体重は70キロを軽くオーバー。バンタムのリミットの53.5キロから約18キロも増えた。そこから、もう一度、短期間で体を作り直す作業はオーバーワークにつながり辰吉から天性のセンスを奪い取っていた。辰吉が王座復活するまでに、そこからさらに10か月かかっている。
あの辰吉をして2年もの時間を要した。

ただ10年以上のブランクを作って王座に返り咲いたジョージ・フォアマンに代表されるように長期ブランクを作って復活した世界王者の例はいくらでもある。比嘉が、カムバックするためには、強い意思を持ち、ジム側がしっかりとしたサポート体制を整えることがポイントになるだろう。

(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)

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