一食5千円「最強の朝食」...ホテルニューオータニ、五輪後向け「最高の顧客満足革命」始動

一食5千円「最強の朝食」…ホテルニューオータニ、五輪後向け「最高の顧客満足革命」始動

  • Business Journal
  • 更新日:2016/11/30
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クレジットカード大手、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド(アメックス)は、日本の中堅企業250社を対象として東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年に向けたビジネス見通しについての意識調査を行い、「中堅企業調査レポート2016」をまとめた。レポートによると、中堅企業の多くが20年に向けて成長への期待と警戒の間で揺れ動いていることがわかった。

意識調査は年間売上規模が約5億円以上、250億円未満の企業を対象とした。それによると、ビジネスチャンスととらえて成長を図るとする企業や、業績向上を見越している企業がある一方、需要が増えても人材確保が困難だったり、事業転換や現業から脱したりする動きを見せるなど期待と不安が交差している様子が示された。また、20年以降の反動を懸念し、業績悪化を見込んだ事業計画を立てる会社もみられた。

具体的には、3年から5年後にかけて景況感が「現状より改善する」と予測した企業の比率は26%にとどまり、「現状と変わらない」が44%、「現状より悪化する」としたのは29%となり、決して楽観していない様子が示された。最大のリスクについては複数回答で、52%が「国内経済の状況」をあげ、次いで「労働人口の減少」が33%、「個人消費低迷」としたのは30%だった。

20年に向け「事業戦略・事業計画がある」とした企業は60%に上り、逆に「ない」とした企業の40%を大きく上回った。事業戦略に20年の東京五輪が影響しているとした企業は「非常にある」「多少ある」とした企業の合計で40%に上り、五輪が大きなきっかけになっていることがわかった。

会社について優先度の高い取り組み(複数回答)として最も多かったのが「新規顧客の獲得」で、43%に達した。次いで「スタッフの能力向上と新しい技術のある人材確保」が40%、「費用削減」をあげたところが37%だった。

海外展開については、グローバル経済の動向がビジネスに与える影響について「非常にインパクトがある」「多少のインパクトがある」とした企業は51%で過半となった。なかでも中国経済の動向の影響について「非常にインパクトがある」「多少のインパクトがある」としたのが合計で46%と、中国経済の動向を半数近くの企業が意識していることがわかった。

中堅企業の関心事のひとつである事業継承については、「明確な計画がある」と回答した企業は12%にとどまっており、「計画はないが、今後考えていく予定」とした企業が38%、「計画もなく、今は考える予定はない」とした企業は15%と合計で53%の企業が現状で「計画なし」だった。

事業継承の課題について複数回答で聞いたところ、「次の経営陣になる人材の教育」としたのが57%、「次の経営陣になる人材の確保」とした比率は55%と、いずれも半数以上の企業で課題となっていることがわかった。

今回の結果についてアメックスは「中堅企業の20年に向けた事業戦略や優先事項など、今後4年間の取り組みが明らかになった。経営陣は将来を見据えた戦略の立案と遂行が求められている」としている。

●34.9%の企業がプラスの影響

一方、別の調査でも20年の東京五輪が与える影響について「プラス」を示すデータが出ている。帝国データバンクが5月に全国で2万3586社を対象に調べた調査でも、有効回答を得た1万588社のうち、66.9%が関心あるとし、34.9%の企業がプラスの影響があると回答した。また、おおむね7社に1社が自社の商品やサービスに期待をかけていることもわかった。

対象とする企業数や質問内容は異なるものの、これら2つの調査が共通して示唆しているのは、東京五輪というビッグイベントを活用して、それぞれの企業がビジネスの飛躍のきっかけにしたいという意向を持っているということである。目標効果で企業が事業を拡大したり、収益力を高めたりする動機付けになることの重要性である。20年という大きな目標を掲げてそれに向かって前進するのは、日本はこれまでの経験をみても得意だといえる。

一方で、東京五輪終了後の反動を心配する企業もあり、帝国データバンクの調査でも五輪関連需要を慎重に見ている企業も多い。

では次に、東京五輪に向けて、企業が具体的にどのような取り組みをしているのかをみていきたい。

●ニューオ―タニの施策

ホテルニューオータニが開業したのは1964年9月1日。前回東京五輪の40日前である。富山県出身で力士を経て、鉄鋼業の大谷重工を創業し、事業家として地歩を築いた大谷米太郎氏が、東京都の依頼を受けて東京五輪のために開業した。このとき、大谷氏はすでに83歳。開業から4年後に87歳で没した。それから50年が過ぎ、ホテルニューオータニは再び東京五輪を迎える。

運営会社の株式会社ニュー・オータニは国内に14ホテル、海外に2ホテルを運営し、2016年3月期の連結売上高は673億9500万円。ニューオ―タニ東京の場合、近年5対5で推移してきた外国人と日本人の宿泊客数比率は、今年10月に6対4と外国人客が上回り、最終的には、5:5になった。

いまさらインバウンド対応を講じなくとも、傍目には現状で十二分に集客力を発揮できるようにも見えるが、東京五輪に向けて要所要所にテコ入れを実施している。

昨年末には3~4人だったコンシェルジュの人員を倍増し、「全員が最低2カ国語に対応できる」(広報マネージャーの岩崎州彦氏)体制を固めた。さらに日本産の食材やワイン、日本酒を望む外国人客が増えてきた傾向を受けて、生産者とのパイプを拡充し、仕入ルートの安定化を図ったほか、販促紙の多言語翻訳、客室のブローシャー刷新などに着手した。

正月には東京と幕張で日本の正月体験として、日本庭園で鷹を飛ばしたり、書き初め、和太鼓、江戸職人の実演など100イベントを毎年開催する。また昨年から春先に日本庭園で桜祭りを開催し、よさこい祭り、花魁道中などで外国人客の満足度向上を図った。

今年4月からはニューオータニ館内の直営コーヒーショップ「SATSUKI」の朝食バイキングを刷新し、従来の3300円を5000円に値上げした。朝食バイキングは健康と発酵をテーマに「新・最強の朝食」と銘打ち、「ピエール・エルメ・パリ」のヴィエノワズリーやヨーグルト、イベリコ豚の骨付きハム、玄米卵を使用したオムレツ、ニューオータニ専用の畑で収穫した野菜の無農薬サラダ、新潟県産の有機コシヒカリを観音温泉水で炊き上げるご飯、スーパーフードでカスタマイズできる「ヨーグルトバー」、無農薬で育てたピタヤのシャーベットなどを提供している。

岩崎氏は「ロンドンやパリの一流ホテルの朝食バイキングは一人当たり約7000円です。当ホテルもグローバルスタンダードに近づけました」と話す。

●焦点は21年以降

だが、こうした施策もさることながら、東京五輪に向けて継続的に注力するのはサービスの質向上である。参考にするのは宿泊客からフィードバックされる「コメントレター」で、これを各部署に配布し、改善策を打っている。

「もともと日本のホテルはサービスの質が高いですが、宿泊客から要求される水準はどんどん上がっています。『これをやってくれるか?』という個別のオーダーにも、可能な範囲で一つひとつ応えながらサービス水準の向上に取り組んでいます」(岩崎氏)

東京五輪の前年には、ラグビーワールドカップが日本で開催される。東京五輪の前年より盛り上げていきたい意向である。だが、東京五輪対策もさることながら、焦点は21年以降にあるようだ。

21年以降に景気が冷え込んでしまうことを鑑み、東京五輪以降に向けた対策にも、各企業は頭を悩ませているようだ。
(文=編集部)

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