ついに始まった!「高級マンション」投げ売りから暴落の悲劇

ついに始まった!「高級マンション」投げ売りから暴落の悲劇

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2018/06/07
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都心の高級物件は即完売。転売されてもすぐに買い手がつく。それが常識だった。だが、潮目が変わった。億ションが売れ残っている。そうなると、価格を下げるしかない。不動産崩壊の序曲が聞こえる。

買い手がつかない

東京屈指の高級住宅街・番町(千代田区)。江戸時代から続くお屋敷街で、域内には名門小学校として名高い番町小学校や美智子妃も通った雙葉小学校がある文教地区でもある。

そのうえ、JRや地下鉄の駅も至近で、生活は便利なのに閑静。都内に住む人間にとって憧れの住宅地だ。

その高級住宅地で異変が起こっている。新築の超高級マンションで「投げ売り」が始まっているのだ――。

昨年8月に竣工したばかりの『プレミスト六番町』は、'16年に販売開始となり、昨年中に完売していたはずだった。

だが、入居開始からわずか半年で、本誌が確認しただけでも全46戸中4戸が売りに出されている。そのすべてが「新築未入居」のまま(2018年5月現在)。つまり、誰かが「転売目的」で購入したが、思うように買い手がつかず売れ残っている、というわけだ。

そんな億ションの話は庶民的なマンションを買った自分には関係がない――そう考えるのは早計だ。都心の優良物件の価格が下がれば、郊外の物件も下がっていく。これについては後述する。

金融コンサルティング会社、マリブジャパン代表の高橋克英氏が言う。

「私は仕事柄、富裕層とお付き合いをするため、不動産の情報もチェックしていますが、最近2億、3億円といった物件が新聞の折り込みチラシに入っていることが目につくようになりました。

特徴は竣工まもない億ションが『新築未入居』のまま、売りに出ているケースが増えていること。

売り出し価格を見ると、分譲時の価格と同等か、1~2割高い程度です。この価格では税金などのコストを考えれば、儲けにならないか、損をする可能性があります。

というのも、購入後5年以内に売却すると、短期譲渡所得として売却益の約4割が税金として持っていかれる。さらに登記費用や仲介手数料などもかかるため、短期転売狙いなら、本来、2割程度は上乗せしないと割が合わないはずなのです」

本誌は'17年以降に都内で新築されたマンションのうち、1億円を超える高級物件を精査した(5月10日現在)。

高橋氏が言うように、分譲時の価格より1~2割程度上乗せされた金額が多い。だが、その金額では売れない、というのが実情なのだ。

住宅ジャーナリストの榊淳司氏が指摘する。

「超高級物件は、一般の人は買わないので、販売する業者はまず自社での購入実績がある投資目的の富裕層にあたります。これまではその段階で売れていたので、一般の人が広告を目にすることがなかった。

ところが今は富裕層に情報を流しても売れないため、不動産情報サイトなどにも掲載されています。誰でも見られるネットサイトで公表されているものは、売れ残っている物件と考えて間違いないでしょう」

郊外の物件ならいざ知らず、千代田区や港区、中央区といった都心の一等地に建つ高級物件は、価値が下がらないとされてきた。売り物が少ないため、今後も値上がりするとまで言われてきた。

誰がババを引くか

だが、その物件に住むことなく転売で稼ぐ目的で値段を釣り上げることは所詮、マネーゲーム。すでに誰が最後にババを引くか、押し付けあう段階に入っている。

「いま不動産業界は『崖っぷち』にあり、いつ暴落してもおかしくない状況です。いまなら、まだ売り抜けられると考え、分譲価格よりも高値で売りに出しているのでしょうが、今後、不動産価格が現在よりも高くなると考えている人は少ない。

そうなると、せめて分譲時の価格で売れればいいとあきらめる人が増え、さらに価格は下がっていく。不動産価格が上がり始めた'13年の水準くらいにまで暴落するかもしれません」(榊氏)

事実、前出の『プレミスト六番町』の4億6000万円の部屋は分譲時と同額だし、それとは別の分譲時2億9900万円だった部屋ははじめ3億200万円で売りに出されていたが、買い手がつかず、つい先日、2億9300万円にディスカウントされた。

分譲時の価格より安い。売り主は1000万円単位の損を覚悟で、売りに出しているわけだ。

不動産情報サイト「マンションレビュー」を運営するグルーヴ・アール専務の仲根臣之介氏はこう話す。

「築1年以内の1億円以上のマンションで、最も売り物件が多かったのが、'17年7月に建築された『ザ・パークハウス西新宿タワー60』(全954戸)です。

延べ78戸もあり、今も売れ残っている物件は多い。これだけダブついているので、今後は値下げして売るしかないでしょう。

この1年くらいで転売目的でタワーマンションを購入した人は、なるべく早く売りたいと焦っている人が多くなっています。

今年2月に竣工した『パークコート赤坂檜町ザ・タワー』は分譲時1億9540万円だったのが3億1900万円と、約4割も高い価格で売りに出されていますが、この値段ではなかなか買い手はつかないでしょう。こういった物件は値下がり幅も大きくなる可能性があります」

中古物件も下がる

前述のように、1億円以上の物件を積極的に購入してきたのは、投資家たちだ。実際、3億1900万円で売りに出ている『パークコート赤坂檜町ザ・タワー』のオーナーは中国人投資家だ。

彼らは知っている。巷間言われている「東京五輪まで不動産価格が下がらない」なんて嘘っぱちだということを。

不動産ソリューションビジネスを手がけるオラガ総研代表の牧野知弘氏はこう分析する。

「東京五輪が近づくなかで、投資家層は『そろそろ投資の出口だ』と考えています。

日本は人口減少が続きますし、異常な低金利はこれまでのようには続かない。オリンピック以降の東京には、とくに明るい材料がありません。

『ブリリアタワーズ目黒』は昨年12月に完成するや、売り物が一気にズラッと出てしまった。購入した投資家が、相当に売り焦っているのではないでしょうか。

東京のマンション市場は、すでにピークアウトしていると思っています。オリンピックが頂点だと思えば、その前に売りたいというのが、投資家の考え。多くの投資家がそう考えれば、売り圧力が強くなり、当然、値段は下がります」

六本木・ミッドタウンの裏にある『プラウド六本木』も3億円以上の物件が新築未入居で2部屋売りに出されている。

しかも、この物件の目と鼻の先には『ブランズ六本木ザ・レジデンス』という、これまた億ションが建設中で、現在販売されている。

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Photo by iStock

都心は出物が少ないと言われていたが、そんなことはない。再開発によって、一等地にまとまった土地がどんどん出てくるのである。

言うまでもなく、新築物件の売れ行きも芳しくない。たとえば、『ロイヤルシーズン白金台』は昨年10月に完成し、すでに一部入居も始まっているが、3億9800万円の部屋をはじめ、複数戸が埋まっておらず、今も新規販売が継続中だ。

「この物件は施工がマイナーなディベロッパーのため、資産家から関心を持たれていないのでしょう。転売目的の購入者には地方の医者なども多く、彼らは現物を一度も見ないまま購入することが珍しくありません。

その場合はメジャーなブランドのマンションしか買いたがらない。中堅以下の建設会社は新築物件を抱えておく体力はなく、いずれ大幅な値下げを迫られる」(不動産関係者)

これまで値崩れがないとされてきた都心ですらこの有り様だ。他の地域の物件は推して知るべし。逃げ遅れれば、あなたのマンションもタダ同然になるかもしれない。

「郊外の新築物件も土地代と建築費の高騰で、値段が上がっています。ですが、一般サラリーマンの給与所得はさほど上がっておらず、新築物件が売れるわけでもない。

では、中古物件が高騰するかというと、そうでもありません。人口の最後のボリュームゾーンは団塊ジュニア世代ですが、彼らももう40代。50代に近づけば、新たにマンションを買うことはないでしょう。

それよりも下の世代は、いずれ値下がりするであろうマンションをそもそも購入するつもりがない人も多い。

一方で、団塊世代が亡くなり始めると、空き家が大量に供給される。需要が細り、供給が増えるので、いずれ『マンション大崩壊』が訪れるのは間違いありません。今はその序曲が聞こえてきた初期段階なのです」(前出・牧野氏)

話題の「ムサコ」が危ない

具体的にどの地域が危ないのか。まず挙げられるのは、タワマンが林立したベイエリアだ。

「今後は実力以上に価格が高くなっているマンションは値下がりしていきます。オリンピックで選手村や競技会場が作られるため、バブルで高騰している江東区豊洲や中央区晴海のタワマンは要注意です。

オリンピックが終わると、選手村には2本のタワマンが残ります。これらが分譲されれば、このエリアが供給過剰になるのは確実です」(前出・榊氏)

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Photo by GettyImages

さらに人気の高い港区でも場所によっては暴落の危険性がある。

「それが芝浦や港南エリアです。最近このエリアにはタワマンがニョキニョキと建っていますが、もともとここは山手線の外側で、倉庫街だったところです。

環境がいいわけではないのに、港区というだけで中国人投資家たちが買って、値上がりしました。彼らはオリンピック前に売り抜けますので、今の値段を維持できないでしょう。

あとは不自然なほど供給過剰になっているのが、武蔵小杉です。タワマンが林立し、急激に人口が増えたために、インフラが追いついていない

。通勤ラッシュ時には駅の改札を抜けるまでに20分もかかるほど。そういう地域のマンションは時間をかけて値下がりしていく」(榊氏)

不動産ジャーナリストの山下和之氏は「不動産PER」という指標に注目して、今後の不動産価格の推移を分析する。

「これは地域のマンション価格の平均値を年間の賃料で割った数字です。不動産情報会社、東京カンテイが算出していて、マンションを購入して賃貸に出した場合、何年で回収できるかを示しています。

それによれば、回収に最も時間がかかるのは青山一丁目でPERは45.2倍。つまり、45年かからないと、元が取れない。首都圏の平均PERは24.49なので、明らかに割高です。これでは投資用マンションとしての魅力にも乏しく、買い手は敬遠しがちです。

麹町や浜松町など、高額物件が登場した駅の物件も高止まりしていて、これから評価額が下がる危険性が高い。

10位以内には練馬や鷺沼、不動前といった住宅地もランクインし、これら地域にある物件も注意が必要です。

マンションPERで上位ではありませんが、個人的に先行きが不安なのが目黒です。『ブリリアタワーズ目黒』が話題となり、目黒エリアの価格が全般的に上がりましたが、沸騰しすぎたきらいがあります」

現在の不動産価格は明らかに高すぎる。これから始まる大暴落の予兆はすでに見えた。東京五輪まであと802日。将来的に自宅マンションの売却を考えている人は、今すぐ動くべきだ。

「週刊現代」2018年5月26日号より

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