旅の新しいカタチ「シェアトラベル」で佐賀のロングライフデザインを探してきた!

旅の新しいカタチ「シェアトラベル」で佐賀のロングライフデザインを探してきた!

  • @DIME
  • 更新日:2017/11/14

ロングライフデザインの視点で、長く続くものを取り上げる旅、「シェアトラベルSAGA」。その概要や4つのテーマを持ったプランは解説したので、今回はツアーの基本となっている『佐賀のロングライフデザイン定番旅』の実際のコースに沿って、旅の内容を紹介していこう。

【1日目】

出発は7時25分羽田発のANA便を利用する。九州佐賀国際空港への到着は9時20分の約2時間の空路だ。到着すると、「d design travel」のフラッグを持ったワゴンタクシーのドライバーが迎えてくれた。

タクシーに乗り込むと、まずは一路、地元の人々から60年以上も愛されている『井手ちゃんぽん』へ向かう。道程は、面積約700平方km、実に佐賀県の総面積の3分の1を占める佐賀平野の中。タクシーの車窓には稲田や畑が延々と続き、その広さを実感させてくれる。

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佐賀空港ではタクシーのドライバーがフラッグを持って出迎えてくれる。

SPOT1:「井手ちゃんぽん」

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道が空いていれば、1時間弱も走れば1日目の昼食の場所、『井手ちゃんぽん』へ到着だ。カウンター席からは厨房が見渡せるが、調理をする職人たちの手際の良さが際立つ。まさに、職人技という言葉にふさわしい動作で注文された料理を仕上げていく。

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味は濃厚だが、決してしつこくないので、野菜大盛りにしても軽く食べられる。

そして、「お待ちどうさま!」の威勢の良い声とともに目の前に料理が運ばれてくる。メニューはちゃんぽん以外もある。もちろん好きなものを自費で頼んでいいが、ここは名物であり、店名にもなっているちゃんぽんを食べておかない手はない。

SPOT2:.「武雄市図書館」「武雄神社」

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空腹を満たした後は、「武雄市図書館・武雄神社」向かう。武雄市図書館は、2013年に旧図書館の建築を活かしながら新築し、蔦屋書店を展開する、カルチュア・コンビニエンス・クラブが運営するということで話題を集めた場所。スターバックスも併設しているので、本を眺めながらコーヒーを飲むのもいいだろう。

ひと息ついたら、図書館の近くにある『武雄神社』に足を伸ばしてみるといい。この神社は、佐賀独特の美しいデザインの石組みに囲まれて建立されている。

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さらにその奥、竹林や樹々の茂る深山幽谷のごとき小径を進んでいくと、まるで森の精が住んでいそうな楠がある。『武雄の大楠』と呼ばれる神社の御神木だ。樹根には12畳敷と言われる空洞があり、天神様が祀られている。映画「佐賀のがばいばあちゃん」の遠足シーンでも使われた場所だ。しかし、この楠の周辺は、何とも神々しい雰囲気が満ち溢れている。たたずんでいるだけでパワーを与えてもらえそうだ。

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神々しい姿と雰囲気を持つ『武雄の大楠』。環境庁は、全国第6位の巨木と発表している。

SPOT3:「武雄温泉」

図書館と神社での時を過ごした後は、『武雄温泉』で一風呂。入浴できる「元湯」は、明治9年に建築されたもの。高い天井と広い湯船は、開放感があり、ゆったりと湯に浸かれる。中華風の温泉楼門や資料館になっている新館は、現・唐津市出⾝の建築家・⾠野⾦吾による設計。1914 年に竣工し、国の重要文化財に指定されている。

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中華風の楼門を構える武雄温泉。元湯の入浴料は400円。

SPOT4:.『志田焼の里博物館』

次は『志田焼の里博物館』へ。佐賀県といえば、日本屈指の「焼物の里」である。ここは広い焼物工場跡を利用した博物館で、焼物が出来上がるまでの全行程が理解できる。近代産業遺産の保存・活用という、ロングライフデザインの一例を知ることもできる。

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土の説明から始まり、型による成形法、そして実際の焼窯跡の内部に入ることもできる。仕上がりの違いなどの解説してくれる。

SPOT5:.『大正屋』

1日目の旅程の最後は、嬉野温泉を代表する旅館である『大正屋』での宿泊。大正14年に創業し、7部屋だけの小さな旅館を約20年かけて改築していき、現在では75の客室に対し、約160人の従業員でサービスを提供している。

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正面から見る建物はさほど大きく感じないが、奥に施設が続く「大正屋」。

随所に「佐賀らしさ」を取り入れた設計は、皇居新宮殿の建設にも関わり、奈良国立博物館新館や八ヶ岳高原などの有名建築物を設計し、数々の著名な賞を受賞している故・吉村順三。入り口から見る外観こそ目立ったところはないが、その内部には、心からくつろげる「和の空間」が秘められている。

もちろん提供される夕食も、佐賀の食材にこだわった一級品。佐賀の味を心ゆくまで堪能できること間違いない。そして、ゆっくりと湯に浸かり、早朝からの旅の疲れを癒して、明日の旅程に備えることにすればいい。

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宿泊は本館の居心地の良い和室を使用する。

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ロビーには大きな窓の日当たりの良い空間と、焼き物が置かれたコーナーがある。

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佐賀の自然が育んだ食材を使った夕食は、おもてなしの心が詰まっている。

【2日目】

SPOT6:「佐賀県立九州陶磁文化館」

大正屋を出発したワゴンタクシーは『佐賀県立九州陶磁文化館』へ。文化館がある有田町は現在も100近い窯元が健在。そんな場所に古唐津から初期伊万里、柿右衛門に鍋島など、あらゆる焼物の実物を展示している陶磁器の博物館だ。

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陶器と磁器の違いや、染付や象嵌などの加飾法など、焼物の知識・技法・歴史を学べる。

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有田町所蔵蒲原コレクション

壁や床のタイル、ドアの把手、スイッチパネル、トイレや水盤に至るまで、すべて有田焼で作られているので、細部を観察するのも面白い。

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出すべきものも、出しにくい?

SPOT7:「源右衛門窯」

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続いては伝統的な有田焼を製造する『源右衛門窯』に向かう。ここは、数ある窯の中でも手焼きの窯元としては、有田最大の規模を誇り、およそ100名の陶工が働いている。説明を受けながら、彼らが実際に作業する様をガラス越しに工程を見て回ることができる。有田の伝統を現代に伝える匠の手元を観察していると、焼物がただの道具ではないような気分になってくる。

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それぞれの工程で職人の技が活かされている。有田焼の伝統を伝える窯だ。

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製品を直接販売しているコーナーもある。

SPOT8:「今村製陶 町屋」

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伝統的な窯を見た後は、オリジナル陶土を開発して、新たなチャレンジをしている進行形の有田焼ブランド「JICON」を制作、販売している『今村製陶』へ。伝統的な町屋を改装して1階を店舗として直接販売しているほか、その奥が作業場になり、製造も行っている小さな窯だ。

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代表の今村肇さんは、創業350年という「陶悦窯」の次男として生まれ育ち、実家の製陶所で働いていた。その間、試行錯誤して現在のブランド「JICON」をスタートさせ、2014年に独立。

JICONの特徴は、自然で温かみのある白色の地肌と、繊細さを併せ持つシンプルかつ優麗なデザイン。この生成りの白を実現させるために、今村さんはこれまで有田では使われてこなかった陶石(焼物の土となる原料)を使い、オリジナルの陶土を作り出したのだ。

通常、有田焼の伝統的な窯では、強度が高い青白い器を焼くために、1300度の高温に耐える土を使う。しかし、その原料を採掘するためには、耐火温度が低い陶石がたくさん出てしまうのだ。そうなると、陶石が採掘される山は死んでいくばかり。

そこで今村さんは耐火温度が低い陶石を利用して、1240度で焼ける土を独自にブレンドして作り出した。そして優れた日常生活品を手がけることで有名なデザイナーの大治将典さんと一緒に、毎日使いたくなるようなデザインと機能性を持ち、手頃な価格のJICONを創りだした。まさに、伝統と革新が融合したロングライフデザインの象徴的ブランドだ。

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有田焼の伝統的な技術と、若い世代の柔軟な発想とデザインワークの融合で生まれたJICON。ロングライフデザインのパイオニアだ。

SPOT9:『ライおン』

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佐賀は牛肉の名産地でもある。現在国内に150ほどあるブランド牛の中でも最高ランクに数えられる「佐賀牛」も発祥は「伊万里牛」だと言われている。ならば、美味しい牛肉料理を食べておきたいということなる。そこでツアーに組み込まれているのが『ライおン』だ。

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ソースは、洋風のデミグラスソース。

一文字だけひらがなにしているのは、オーナーの「お箸で食べる牛肉料理を提供したい」という思いからだという。もちろんステーキなどもあるが、リーズナブルに佐賀牛の味を堪能したのであれば、「ハンバーグセット」がいい。ふんわりとした食感のハンバーグにデミグラスソースがよく絡み、一切れ食べると口の中に至福の味覚が広がっていく。『d design travel』の編集スタッフが通い詰めたというのもわかる味だ。

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おろしソースの和風もある。

SPOT10:「チャイナ・オン・ザ・パーク忠次舘 リフレッシュルーム」

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ランチの後は、有田焼の歴史とデザインの殿堂、『チャイナ・オン・ザ・パーク』の中にある、リフレッシュルームで美味しいコーヒー。実はここ、「深川製磁」が運営するミュージアム・カフェで、木々の囲まれた中にある、知る人ぞ知る隠れ家的空間だ。 深川製磁の器でコーヒーが楽しめる。

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開放的な空間のリフレッシュルーム。

SPOT11:「Design Office and Shop 1.5」

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「佐賀にもデザイナーやクリエイターの活躍の場所を」。そんな思いからオープンさせた『パハプスギャラリー』のオーナー、北島敬明さんが新たに作ったデザイン事務所兼ショップ。佐賀に昔から伝わる古いものを大切にしつつ、現時点の視線で再発見と新しいものを紹介している場所。佐賀の郷土玩具をはじめ、パハプスギャラリーに関係るクリエイターやアーティストの作品を、奥様の真由美さんと発信している。

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大都市に集中しがちなデザインやクリエイションという仕事の場を、佐賀に創り出す活動をしている。

SPOT12:「山田酒店」

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今では全国区でメジャーとなった佐賀の銘酒『鍋島』の立ち上げから携わった山田晃史さんが代表を務める、創業60年の老舗酒販店。ほかにも「東一」や「岩の蔵」。「天吹」など、東京ではあまり流注しない佐賀の和酒がたくさん揃っている。酒屋でありながら、「実はお酒はそんなに強くないんです」という山田さんだが、その知識は豊富。どの酒がいいか分からない時は、客の気持ちになってアドバイスしてくれるので、知識がない人でも美味しい酒を選ぶことができる。

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山田さんは、「鍋島」を全国区へと持ち上げた功労者の一人。

九州というと焼酎のイメージが強いが、実は全土に渡って日本酒の酒処。佐賀の地酒は、一般的に甘めで芳醇だが、最近は各酒蔵が一体になって酒造りに取り組み、本当に個性豊かな美酒が多くなっている。旅の途中で美味い酒を見つけても、重たいので持ち歩くのが面倒になるが、ツアーの最後にこんな店を入れるところが心憎い。東京では味わえない銘酒をお土産にすることができる。

正直言って、佐賀は九州の中でも目立たないと言われてきた県だ。しかし、2日間で合計12か所を巡ると、佐賀の魅力がたっぷり感じられるはずだ。ぜひ一度、体験してみてはどうだろうか。

次回はこのツアーの企画発案者であり、ロングライフデザインの提唱者であるナガオカケンメイ氏に佐賀の魅力とロングライフデザインの関係について語ってもらおう。

取材・文/松尾直俊

医療、フィットネス関連を中心に、健康にも関連する食や酒類など様々な分野を取材、雑誌や書籍、Webメディアで執筆している。

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