エリート男の癒えぬ傷。「あなたとなんて、付き合わなければ良かった」と言い放った女の真意

エリート男の癒えぬ傷。「あなたとなんて、付き合わなければ良かった」と言い放った女の真意

  • 東京カレンダー
  • 更新日:2017/12/13

エリートとはフランス語のéliteが由来で、「選び抜かれた人」という意味だ。

日本で言われる“エリート”とは、学歴が高く且つ年収の高い男性を指す場合が多い。

東京大学出身、その後大学院を経て世界的IT企業のアメリカ本社への転職が決まっている亮介は、まさに世に言う”エリート”。

ビザ取得のため、日本に一時帰国している半年の間に、亮介は日本での婚活を決意する。

しかし、亮介の婚活はなかなか苦戦を強いられた。

サバサバ系女子・香奈に惹かれるものの、彼女の二面性に気づき、女性不信になる亮介。

けれど、恵という彼氏持ちの女性を見て、“恋愛っていいな”と思い始めた。

そんな時、元カノの里緒から「頼みごとがある」と連絡が来る。

No image

ー頼みたいことー

思えば、里緒から頼みごとをされたのは数えるほどしかない。付き合っていた当時も、彼女は会社の先輩であり、亮介にとって“憧れの大人の女性”だった。

どんな小さな仕事でも人一倍真面目に取り組む里緒は、ミスも少なく、上司や部下からの信頼も厚かった。

その上、人が気づかないような細かいところにまで気が回るので、プライベートでも常に先回りして亮介のことを思いやってくれた。しかし、里緒から頼られるようなことは、ほとんどなかったのだ。

ー仕事関連だとは聞いているけど、なんだろう?ー

健太とのグループLINEにメッセージが来たことは、正直少しだけがっかりしたが、それでもやはり、頼られるということが嬉しい。

イスラエル支社とのミーティングが入っていたため、少し遅れることを事前に伝えていたが、結局着いたのは約束の時間から1時間弱過ぎていた。

「すみません、遅くなって。」

麻布十番にある『すぎ乃』の店内に入った途端、温かいおでんのだしの香りにふわりと包まれ、急に食欲が湧いた。

「やっと来たか。」

そう言って振り向いた健太は、何やら慌てながら帰り支度を整え出した。

「ごめん、俺ちょっと今から会社に戻らないといけなくなって。じゃあ一ノ瀬さん、他また聞きたいことがあったらいつでも連絡してください!」

そして健太は亮介の肩にポンっと手をおいて、「俺の分、あとで請求して」と言って、そそくさと帰ってしまった。

ー二人きり・・・ー

思いがけず里緒と二人きりになってしまい、亮介に緊張感が走った。

「亮介、忙しいのにありがとうね。」

昔と同じように呼び捨てにされ、一気に付き合っていた頃に戻されたように感じた。

「いや、全然。こっちこそ、遅くなってごめん。」

亮介も、無意識のうちに敬語ではなくなった。

二人きりになった里緒と亮介は・・・?

里緒の心

亮介と別れて1年後、里緒は前のシステム開発会社を辞め、しばらくして小さな文具メーカーに転職し、今はそこの企画開発部に所属している。

No image

最近では、新しいプロジェクトも任されるようになり、IoTを取り入れた商品の開発をするため、その辺りに詳しそうな健太と亮介に声をかけた。

「ありがとう、すごく参考になった。一度コンタクト取ってみる。」

健太が帰った後、すぐに亮介にも事情を説明して、一緒に組めそうなIT関連会社や、IoTに強いセンサー会社などの情報を得た。

仕事の話が終わり、いつの間にか、里緒の転職の話になった。

「里緒があの会社を辞めるとは思わなかったな。何で前の会社辞めたの?」

亮介に質問され、里緒は返答に困った。本当の理由を、知られたくなかったからだ。

「特に理由はないんだけど…、でも転職して良かった。今の会社の方が、私には合っているみたい。それより亮介の方はどうなの?仕事もプライペートも順調?」

早く話題を変えたくて、無理矢理亮介に話題を振る。

「まぁね、仕事は何となく今の会社のカラーが分かって来たところかな。プライベートは…、あまり順調ではないかな。」

少し自嘲気味に笑う亮介は、里緒の知っている自信に満ちた亮介とは違った。それが妙に引っかかり、胸の奥に苛立ちを覚えた。

「亮介が?何で?またハイスペック病が出て来てるんじゃないの?」

そして、少し挑発をするような一言。

「ほんと、臆病だなぁ、亮介は。」

その一言が、常に冷静で何事にも動揺することのない亮介の、長年しまいこんで来た心の鍵を開けたようだ。

「臆病って…そもそもその原因を作ったのは里緒なのに。」
「どういうこと…?」

見上げた亮介の目からは、怒りとも悲しみとも取れる表情がうかがえた。

「別れ際、里緒に言われた言葉が本当にショックだったんだ。“亮介なんか、選ばなければ良かった”って。ドイツの小さいベンチャーに就職した僕に、将来性がないって失望したんでしょう?」

お酒を飲んでいたせいか珍しく感情的になった亮介だったが、すぐに平静を取り戻して、「ごめん、昔のことを蒸し返しちゃって」とバツが悪そうにうつむいた。

ーあの時の言葉をそんな風に受け取っていたなんてー

「そんな風に思っていたの?私、全然そんなつもりじゃなかった…。」

里緒の別れ際の真意とは・・・?

里緒の言葉の真相

亮介がドイツに就職を決めた時、里緒はあることを条件に遠距離を続けることに同意した。

No image

「行く前に、結婚の約束をして欲しい。せめて、私の親に会って欲しい。」

当時里緒は27歳、周りも徐々に日系の安定した企業の男性との結婚を決めていた。

亮介と付き合った時点で“焦りは禁物”と心に誓ったが、海外との遠距離となっては話が別だ。

「分かった。今すぐ結婚は無理だけど、婚約しよう。落ち着いたら籍を入れよう。」

亮介はすぐに、里緒の両親に挨拶をする段取りを整えた。しかし亮介の話をした途端、両親はこう言った。

「ドイツ?ベンチャー?やめておきなさい。そもそもあなたと本当に結婚する気があったのなら、日本でちゃんとした会社を選んでいるわよ。絶対反対よ。」

母も父も、亮介の職業を言った途端聞く耳を持たず、会おうともしなかったのだ。

初めは反発していた里緒だったが、渡独前から徐々に忙しくなり、行ってからは時差も加わって連絡すらままならない亮介に、次第に不満が募っていった。

そんな不安定な気持ちで過ごしていた、ある日のこと。里緒がFacebookを開くと、一枚の写真が目に飛び込んできた。

“Grillen !/ バーベキュー!”

タグづけされた20人ほどの男女が写った写真の中に、亮介の楽しそうな笑顔があった。

ー私とは、連絡すらままならないのにー

そのときちょうど、里緒は会社でも嫌なことが重なって精神的に追い込まれており、一番に亮介の声が聞きたかった。それなのに亮介は、ゆっくりと連絡を取る時間すらないと言いながら、向こうで楽しそうに過ごしている事実が許せなかった。

ー“あなたと本当に結婚する気があったのなら、日本でちゃんとした会社を選んでいるわよ”って、もしかしたら当たっているかもー

そんな思いがよぎってしまった里緒は、亮介との事が不安で仕方ない。結局、正式な婚約はしていないままだ。

ー本当に、私と結婚する気があったのだろうか?

全てに疑心暗鬼になった里緒はSkype越しに、勢い任せに言ってしまった。

「何で、ドイツのあんな小さなベンチャーに行ったの?(こんな悲しい思いをするのなら)亮介となんか、付き合わなければ良かった。」

「そうだったんだ・・・。」

友人に「顔を出すだけでも」と言われて参加したバーベキューが、里緒をそこまで追い込むことになるとは、想像すらしていなかった。

「ごめんね、あの時私不安定で…。あんな酷い言い方をしてしまったことをずっと後悔していたんだけど、まさかそんな風に思っていたなんて…。」

亮介にとっては、結婚まで考えていた最愛の人からの、「ドイツのあんな小さなベンチャーに行ったの?亮介となんか、付き合わなければ良かった」と言う言葉に、“里緒も結局はスペック重視なのか”と、心に消えない傷を作るほど悲しい出来事だった。

「いや、こっちこそ、傷つけてごめん。きちんと連絡していれば良かった。本当、ごめん。でも、里緒がそんなつもりで言ったんじゃなかったって聞いて、すごく救われた。」

5年の時を経て今やっと解けた誤解は、二人の心を静かに温めた。

…しかし、の一言によって、亮介の恋愛は思わぬ方向へ向かうことになる。

▶NEXT:12月14日 木曜更新予定
このままうまく行くと思われた里緒と亮介だったが・・・。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

コラム総合カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
ホームから人が転落... 居合わせた人の行動に「頭おかしい」「怖い」の声
あなたは何タイプ? お酒の強さがDNAレベルでわかる
LINE“送信取消”は全然ダメ!誤爆を防ぐにはむしろこの設定
この絵をパッと見て、最初に何が見えた?心の奥底を探る心理テスト
もし私が10歳の日本人なら...世界的投資家の「驚愕の問いと答え」
  • このエントリーをはてなブックマークに追加