西武、いざ下剋上へ 「あの一球」の悔しさを胸に...CSでリベンジに燃える男

西武、いざ下剋上へ 「あの一球」の悔しさを胸に...CSでリベンジに燃える男

  • AERA dot.
  • 更新日:2017/10/11
No image

CS第2戦で先発すると予想される十亀剣(c)朝日新聞社

4年ぶりにクライマックスシリーズ(CS)進出を果たした西武にとって、勝ち抜きのカギを握るのはエース・菊池雄星の“次”の先発投手だ。強力打線、足を絡めた攻撃を誇るだけに、先発が試合を作ることができれば勝利の可能性は高くなる。

本拠地メットライフドームで行われる楽天とのCSファーストステージ第2戦では、報道によると、今季8勝7敗、防御率3.40の十亀剣が先発に指名された。今季5試合で対戦して3勝1敗、防御率1.78と相性の良さもあり、大事なマウンドを任された格好だ。

「あの1球を僕がどう考えて投げたのか……。あの1球をないがしろにしてはいけないと思います」

十亀がそう振り返るのは、楽天に今季唯一の黒星をつけられた10月2日の一戦だ。CSファーストステージの本拠地開催を争っていた直接対決で、5回まで無失点に抑えていた右腕はわずか1球に泣いた。1対0で迎えた6回無死1塁で、ウィーラーに逆転ツーランを許した内角高めへの148kmストレートだ。

「ボール球から入る慎重さがあっても良かったけど、バッターがホームランをよく打ったというところだよ」

辻発彦監督がこう振り返ったように決して悪いボールではなく、状況や局面を無視すれば、打ったウィーラーを褒めるべきところだ。しかし翌日3日になっても、十亀自身はそう割り切ることができなかった。

「正直あの1球が甘かったら、僕の失投で済む話です。相手投手が則本(昂大)でしたし、あの1点で勝たないといけないと思っていた僕もいましたし、結果的にもそうでしたし(1対2で逆転負け)。あそこで一番打たれちゃいけないのがホームランでした……」

なぜ、一発のある外国人打者に対し、バッテリーは初球で内角にストレートを突っ込んだのか。

「僕自身、インコース真っすぐのサインに納得して投げているんですよ。キャッチャーと僕の意図はたぶん合致したと思います。つまらせて、ゲッツーのとれるランナーでしたし。ただ、結果的にホームランじゃないですか。『外でよかったんじゃないか』という人もいますけど、その答えはないので、なんとも言えないところです」

プロ入り6年目の今季、自身初の月間MVPに輝くなど成長の跡を残してきた十亀だが、先発として乗り越えるべき壁がふたつある。

ひとつが、“6回の壁”だ。今季20回先発した中で、7回のマウンドに立って勝利したのは3度のみ。2011年ドラフト1位右腕は1球1球の質を見れば球界でも高い能力を誇るものの、先発として周囲を安心させられるレベルに達していないのは、試合中盤から終盤に投げミスを犯すことがままあるためだ。

コントロールは決していい方ではなく、加えて真っすぐにヤマを張られることでファウルが増える。そうして球数が増え、試合中盤の失投につながってしまう。夏場のうだるような暑さに包まれたメットライフドームでそんな話をしていると、十亀は自身の課題を語り出した。

「結局抑えてはいますけど、ひとりのバッターに対して球数をかけすぎています。そういった意味の課題として、ウイニングショットをどうするのかをずっと考えているところです。もっと真っすぐを生かすためにカーブやシンカーを放るとか、もうひとつ自分が何か進化しなければいけない。いろんな可能性を含めた部分で模索中です」

10月2日の楽天戦では、そうした意味で進化の兆しが見えた。ウイニングショットとしてカーブをうまく使っていたのである。

特に手応えを感じたのは、4回2死1、2塁で左打者の岡島豪郎を空振り三振に仕留めた場面だ。5球目までにストレートを4球投げて意識させ、最後に内角低めのカーブでバットに空を切らせている。

「真っすぐを待っての空振りだったと思うんですよ。で、いい高さに来たからこそあの三振が生まれた。(投げる方として)緩いボールは難しいし、(甘くなると打たれるから)紙一重のところがあると思います。でも、僕自身は緩い球を投げて打たれて、それだったら真っすぐを投げておけば良かったという思いであのカーブは投げていない。あれを打たれたらしょうがないと思っていますし、カーブとスライダーは投げミスがそんなになかったと思います」

そう言った後、十亀は最後の言葉を加えた。

「本当にあの1球ですよね、結局……」

決め球のカーブを効果的に使って試合中盤まで無失点に抑えながら、最も自信のあるストレートを捕らえられた。終わってみれば、それが致命傷になった。

ウィーラーに痛恨の本塁打を打たれた場面でどんなボールを選択すれば良かったのか、後から振り返っても決して正解を出すことはできない。たとえいい球でも打たれれば不正解であり、どんな失投でも抑えれば結果オーライになる。特にCSのような短期決戦では、その意味合いが強い。だからこそ、失投が許されないという投手心理が働きやすくなり、それが投げミスにつながることもある。

結局、結果しか正解のない世界なのだ。短期決戦のポストシーズンはそれゆえ、極度の重圧に包み込まれる。

「(相手先発が)則本でも岸(孝之)さんでも美馬(学)さんでも、ああいう接戦勝負になると思います。そこでミスがなかった則本と、ミスがあった僕というところでした。あの1球を無駄にしちゃいけないし、糧にしないといけないと思います」

初戦で菊池が勝てばファーストステージ突破の可能性が高まり、仮にエースで敗れれば後がない一戦となり、いずれにしてもプレッシャーを受けてのマウンドになる。試合中盤から終盤の勝負どころで十亀がどういう選択をして、どんなボールを投げるのか。

“あの1球”を受けて臨む楽天とのリベンジマッチ。プロセスはもちろん、結果という一点を凝視したい。(文・中島大輔)

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

プロ野球カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
プロ野球2017覆面「ミサイル座談会」(3)メジャースカウトが札幌に来る大谷以外の理由
暴走続きの張本勲と関口宏を一喝した金田正一に「よくぞ言った」と称賛の声
西武の主力牧田、野上、炭谷がFA権行使も視野に
巨人が村田のクビを決断! 今オフのFA選手が「巨人NG」を選択
メッセンジャーがエースの称号にふさわしい理由
  • このエントリーをはてなブックマークに追加