変形キーボードPC「PORTABOOK」──2週間使った筆者の、偽らざる印象:週刊モバイル通信 石野純也

変形キーボードPC「PORTABOOK」──2週間使った筆者の、偽らざる印象:週刊モバイル通信 石野純也

  • Engadget
  • 更新日:2016/11/30
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「乗るしかない、このビッグウェーブに」ということで、筆者もついつい買ってしまいました。といっても、iPhoneではなく、キングジムの「PORTABOOK」のことです。

何がビッグウェーブなのかご存知ない方に改めて説明しておくと、PORTABOOKは文具メーカーのキングジムが開発した小型のノートPC。A5サイズとコンパクトながら、キーボードに回転、合体するギミックを採用したおかげで、一般的なノートPCと比べてもそん色ないキーサイズ、キーピッチを実現しています。そのPORTABOOKが、発表から1年経とうとしている今、大幅に値下げされたのです。

2万円台前半に値下がりし、速攻で買ってしまったPORTABOOK

発売当初の価格は9万円前後。一般的なPCとして見れば高いわけではありませんが、PORTABOOKはCPUに「Atom x7-Z8700」を採用していたり、ストレージが32GBしかなかったりと、スペックだけを見ると、廉価なWindowsタブレットと大きな違いはありません。値段とスペックは必ずしも正比例するわけではありませんが、長く使うことを考えたとき、躊躇する値段であるのも事実です。

かく言う筆者も、発表時には「これはいいかも」と思ってはいましたが、値段で手が出せませんでした。そのPORATABOOKが、在庫処分で2万円前後になっていたのです。これを買わない手はありません。

▼CPUやメモリ、ストレージなどのスペックは高くない

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ここで筆者のユースケースを紹介しておくと、ノートPCは外出先で頻繁に利用しますが、そこまでヘビーな作業をするわけではありません。多いのが、取材中のメモ書き。長い記者会見だと、1時間以上キーボードを打ちっぱなしになるため、打ち心地にはこだわりたいところです。会見の会場に机があるとは限らないため、ほとんどの2-in-1 PCもNG。ラップトップとして、太ももの上に載せたときに使いづらいからです。

これまでは、2011年に発売されたソニー製の「VAIO Z」を使っていましたが、5年以上経ってしまった上に、1.15kgと、やや重いのが気になっていました。VAIO Zは5年以上経った今でも、執筆や画像処理には十分なパフォーマンスで、出張時に数々の原稿を生み出してくれる素敵なノートPCですが、日々の取材にはこのスペックは不要。キーボードさえ打ちやすければ、もっとスペックが低くても、コンパクトで軽い方がいいと思っていました。PORTABOOKは、この用途に合致しそうなマシンです。

バッテリー持ちは満足、速記もスムーズだった

実際に使ってみると、PORTABOOKは筆者の狙い通りのノートPCであることが分かりました。キーボードの打ちやすさに関しては、コンパクトながら、むしろVAIO Zよりいいぐらい。

回転・合体のギミックがあるせいで、連打するとたわみがあるのが少々気になりますが、文字入力は快適で、大型のノートPCと比べてもそん色なく打つことができます。実際に記者会見中に取ったメモの一部をスクリーンショットで掲載しておきますが、長めの文もタイムリーに、サクサクと打つことができました。

▼回転・合体するキーボードで、サイズ以上の打ちやすさを実現

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▼速記のようにメモを取る際も、スムースだった

バッテリーの持ちも十分で、公称では5時間の駆動時間になっていますが、記者会見2回をこなしても、まだ1時間以上は使えそうでした。ネットを切断したり、省電力設定を見直したりすればもっとバッテリーの持ちはよくなるはずで、そもそも取材中のメモ取り+αぐらいの用途で考えていた自分にとっては、この水準で満足できます。

コンパクトなため、机の小さな記者会見の会場でも本体を置きやすい点も、PORTABOOKならではだと感じています。ポインティングデバイスが使いづらいという意見もありますが、元々使っていたVAIO Zもあまりほめられた操作性ではなかったため、実はあまり気になっていません。

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▼バッテリー駆動時間は5時間強で、記者会見が連続する大型イベントにも重宝しそうだ

▼A4変形の雑誌より小さく、狭い机でも活躍する

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▼ポインティングデバイスは確かに使いづらいが、筆者は慣れてしまった

ストレージの少なさに困った

ただし、スペックに過信は禁物で、やはりテキスト入力以上のことをしようとすると、どうしても処理に時間がかかることがあります。

ブラウジングもなんとなくもたもたしている印象を受けますし、そもそもディスプレイが8インチ、1280×768ドットと低解像度なため、どうしてもというピンチのとき以外は、画像処理をしようとも思えません。メールの読み書きをするために、Windows Liveメールをインストールしようとしましたが、これも初回のメールの読み込みが遅すぎて断念しました。

それ以上に困ったのが32GBというストレージの少なさで、必要最小限のアプリをインストールしたところ、残量は6GB台になってしまいました。テキストファイルであればこれでも十分ですが、写真の処理や資料となるPDFなどをたくさん詰め込もうとすると、かなり心もとない数値と言えます。筆者は、背面に搭載されたUSBポートに、小型のUSBメモリを挿しっぱなしにしましたが、きちんと使おうと思うと、何らかの工夫が必要になります。

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▼必要最小限のアプリをインストールしただけで、ストレージの残量は6GB台に

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▼ストレージの残量を増やすため、ディスク クリーンアップも活用した

▼ストレージの少なさを補うため、背面にはUSBメモリを挿しっぱなしにしている

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Windows Updateが一向に終わらない...

この処理能力の低さやストレージの少なさに悩まされたのが、セットアップです。Engadget日本版の中山さんのレビューを読み、ある程度覚悟はしていたのですが、想像以上でした。

まず、Windows Updateが適用されるまでに、長い時間がかかります。筆者はWindows Updateが一向に終わらない状況を見て、そのまま寝てしまいました。朝起きたら終わっていましたが、すぐに使い始めることができなかったのは誤算でした。

▼Windows Updateに時間がかかりすぎて、心が折れそうになった

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通常のWindows Updateはもちろんですが、大型アップデートであるAnniversary Updateはさらに苦労しました。ストレージの容量が足りないため、USBメモリやSDカードなどの外部ストレージが必要になるからです。上記の小型USBメモリを挿しっぱなしにするというアイディアも、Anniversary Updateに失敗した経験から思いつきました。必要なストレージ容量を満たしても、アップデートに失敗してまったこともあり、ここは処理が終わるのを気長に待つ必要があります。今後の大型アップデートにも少々不安が残るところです。

人にオススメできるマシンか

用途さえ絞ってしまえば、普段使いには十分なスペックのPORTABOOKですが、アップデートのように避けては通れない作業をする際にスペックが不足しているのは少々ハードルが高いと感じました。

テキストを書いてクラウドと同期するには十分なマシンですが、人にオススメできるかというと、かなり悩ましいところ。少なくとも、あまりPCが詳しくない人には、安いからといって安易に勧められないと感じました。

この連載で取り上げている以上、通信という観点でも一言述べておくと、Wi-Fiが2.4GHz帯のみなのもPORTABOOKのウィークポイントです。もちろん、これは買う前から分かっていたことですが、筆者は混雑しがちな2.4GHz帯を止め、Wi-Fiは5GHz帯を中心に運用しています。外出時はテザリングを使うことが多いため、2.4GHz帯も併用しますが、家や事務所では5GHz帯が基本。それもあって、PORTABOOKを利用する際には、ネットの接続環境も見直さなければなりませんでした。結果として、事務所では、PORTABOOK起動時のみ、Galaxy S7 edgeのWi-Fi中継機能を使っています。

▼2.4GHz帯のWi-Fiしか搭載されていないため、Galaxy S7 edgeの中継機能のお世話になった

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2万円台前半で買えたと思えば、多少の粗は気にならないが

個人的には、このサイズならサッと取り出せて、電車の椅子に座りながらでも使えるだけに、LTEに対応してほしいとも思っています。もちろん、それに伴いコストが上がってしまうトレードオフもありますが、プラス1万円程度であれば、セルラー版を買っていたと思います。

こうした不満はありつつも、ポイント込みで2万円台前半で買えたノートPCだと思えば、多少の粗は気にならなくなります。むしろ、コストパフォーマンスは高いとすら思っており、筆者個人としては満足しています。ただ、これがもしセール前の価格だったとしたら、セットアップ時の不満が爆発していたかもしれません。そう思うと、もう少しスペックを充実させるか、発売当初からもう少し価格的に攻めていればよかったのではないか......これが、PORTABOOKを約2週間使った筆者の、偽らざる印象です。

動画:キーボード変形Win10 PC『ポータブック XMC10』開発者ロングインタビュー

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