変革は着実に...金本阪神がセ界の“覇権”を取り戻す日

変革は着実に...金本阪神がセ界の“覇権”を取り戻す日

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  • 更新日:2017/09/17
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先制本塁打の中谷(左)をベンチ前で出迎える金本監督 (c)朝日新聞社

金本知憲監督を迎えて2年目のシーズンとなった阪神タイガース。優勝争いでは残念ながら広島には及ばず、2位に終わる可能性が高いが、Bクラスに沈んだ昨年を上回る成績を残した。

そして何より大きいのがチームの世代交代が一気に進んだことである。そこでこの2年間で阪神がどこまで大きく変化したかということと、来季以降優勝を狙うためのポイントについて整理する。

金本監督がまず推し進めたのが将来を見据えた若手選手の抜擢である。昨年はルーキーの高山俊とプロ入りから3年間で1打席しか出場のなかった北條史也をレギュラーとして起用し、高山は新人王、北條も105安打(以下、数字は9月16日現在)を放つ活躍を見せた。そして今年はプロ入り7年目の中谷将大がここまでチームトップの19本塁打を放つなど完全に中軸へと成長を遂げた。

金本監督の凄いところは、優勝争いをしていても抜擢の勢いを緩めないところである。まだ逆転優勝の可能性が残されていた8月に2年目の坂本誠志郎を正捕手に抜擢し、9月1日にはルーキーの大山悠輔を4番に起用したことはその象徴的な出来事と言えるだろう。そして一度起用した選手を数試合ですぐに判断するのではなく、ある程度起用し続けるところに本気でチームを改革しようという気概を感じる。

ドラフト2位ルーキーの小野泰己はデビューから12試合勝ち星がつかず7連敗を喫していたが、それでも先発で起用し続けると、8月29日にプロ初勝利をマークした。以前の阪神ならここまで我慢することはなかっただろう。ちなみに大山は昨年のドラフトで金本監督の強い意向で即戦力が期待できる投手の指名を見送って単独指名した選手であり、ドラフト会議終了後はその指名を疑問視する意見も多く聞かれたが、ここまでの活躍によってその声も完全に過去のものとなっている。

またドラフト5位ルーキーの糸原健斗も故障で離脱するまではショートのレギュラーとして活躍を見せていた。若手、ルーキーの抜擢が一過性のものではないことがよくわかるだろう。

金本監督のもうひとつ素晴らしいところは過去の実績にとらわれず、全員平等にチャンスを与えて戦力を発掘したところである。これによって、くすぶっていた中堅選手たちも息を吹き返してきた。

昨年は3年間育成契約だった原口文仁が5月に月間MVPを獲得し、今年は過去5年間でわずか2勝だった秋山拓巳がここまで12勝をマークしてローテーションの柱となっている。リリーフで大車輪の活躍を見せている桑原謙太朗も昨年は一軍での登板0と全く戦力になっていなかったが、オープン戦で結果を残してチャンスをつかんだ。昨年はわずか8安打だった俊介も好調な打撃が認められて現在はトップバッターとして活躍している。使える選手をしっかり見極めて我慢して起用する金本監督が就任していなければ、彼らは二軍暮らしが続いていた可能性は高いだろう。

改めて3年前(2014年)の開幕時点と現在(2017年9月1日)のスタメンを比較してみると下記のようになった。

【2014年開幕時点】

1 鳥谷敬(遊)

2 大和(中)

3 西岡剛(二)

4 ゴメス(一)

5 マートン(左)

6 今成亮太(三)

7 福留孝介(右)

8 清水誉(捕)

【2017年9月1日】

1 俊介(中)

2 上本博紀(二)

3 糸井嘉男(右)

4 大山悠輔(一)

5 中谷将大(左)

6 鳥谷敬(三)

7 北條史也(遊)

8 坂本誠志郎(捕)

外国人とFA、トレードで獲得した外様の選手頼みから大きく脱却していることがよくわかるだろう。また、3年前は全員がピークを過ぎている印象があったが、現在はまだまだ伸びる可能性のある選手が多いことも頼もしい限りである。

若手の積極的な抜擢と戦力の見直しと底上げで結果を残してきた金本阪神だが、まだ残されている課題はある。それが投打の大黒柱となる選手の再生である。

投手の柱はもちろん藤浪晋太郎だ。入団から3年間続いていた二桁勝利が昨年途切れ、今年はわずか3勝。現在は周囲も自身も悪い面ばかりに目が行き、完全に自信を失っているように見える。高校時代から決して器用な選手ではなかっただけに、今は目先の結果にとらわれることなく、しっかりフォームと自分のスタイルを見直すべきではないだろうか。

野手では昨年の新人王、高山の停滞が大きな誤算だ。こちらは守備面の不安が打撃に悪影響を及ぼしているように見える。本人も大学時代から外野の守備は得意ではないと話しており、運動能力の高さを生かしきれていない。チームには内野からコンバートされて守備名人となった福留もいるだけに、それを見習ってまずは守備の安定感をアップさせることを重点的に取り組んでもらいたい。

ともに潜在能力の高さは誰もが認めるところである。彼らふたりがチームの顔となり、現在の戦力と上手く噛み合った時、”金本阪神”の優勝も現実のものとなる可能性は高いだろう。(文・西尾典文)

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