「進化型ラブホテル」が一般ホテルの先を行く理由

「進化型ラブホテル」が一般ホテルの先を行く理由

  • 文春オンライン
  • 更新日:2018/01/21
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内装も充実のレジャーホテル

〈「レジャーホテル」はいま #1 ホテルはいま、「ラブ」ではなく「レジャー」の時代〉では、これまでラブホテルといわれてきたレジャーホテルの進化について解説した。いま一度、レジャーホテルの条件を整理してみたいと思う。

■レジャーホテル全般(4号・新法)の特徴
・男女の利用が想定されている
・休憩利用が設定されている
・宿泊のチェックイン可能時間が遅め
・避妊具が準備されている

■4号ホテルの特徴
・フロントがない(正確には遮蔽されているフロントはある)
・客室を選ぶタッチパネルがある
・客室内の自動精算機で料金を支払う場合も
・基本的にパブリックスペースという概念がない

■新法ホテルの特徴
・フロントがある
・鍵が手渡しされる
・フロントで料金を支払う
・パブリックスペースがある

二極化するレジャーホテル

レジャーホテル業界全般をみわたすと、都市部、郊外に限らず、「旧態型」とも表せる往年のラブホテルをイメージさせる施設と、新築・リニューアルなどで最先端の設備、リゾート感などのイメージを打ち出す「進化型」との二極化がみられる。進化型では一般ホテルとのボーダレス化も進んでおり、レジャーホテルを取り巻く環境は変化の途上にある。

一般的に旧態型は高齢の利用者から支持を受けているといわれるが、一部にはあえて昭和を感じさせる雰囲気を残し、イベント開催など文化的な情報発信を試みる「ノスタルジー型」といえるホテルもある(ホテル千扇〈大阪市都島区〉など)。

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男女が本来の目的のために利用することはもちろんだが(一般ホテルでもそうした側面はある)、ビジネス利用や女子会利用などを中心に、異なる目的で利用されるケースも増えた。本来の目的を達成することを“点”のステイとするならば、いま押し寄せているレジャーホテルの新たなフェーズは“時間軸”のステイともいえるだろう。

直情的なステイは、換言するなら“男性目線”ともいえるが、進化型レジャーホテルは、ストーリー性や設備の充実も重視する“女性目線”を追求しているといえる。一般のホテル、レジャーホテルに限らず、女性から支持されることは、いまホテルにとって重要な要素である。女性目線に優れるホテルは男性にとっても快適だ。

ここで、実際におすすめのレジャーホテルを3つ、業界専門誌(「季刊レジャーホテル」〈綜合ユニコム〉)の連載記事より一部ピックアップして紹介しよう。

もはや「リゾートホテル」なレジャーホテル

ウォーターホテルS国立(4号/ラグジュアリータイプ)東京都国立市

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中央道国立府中インターチェンジ至近の立地。妖艶、淫靡という言葉とはほど遠い、シンプルで美しい外観。「水」がコンセプトのひとつで、いたる所に「水」をテーマとした仕掛けがあり、客室に置かれたミネラルウォーターまで厳選している。

全45室、様々なタイプが用意されているが、いずれの客室も調度品やリネンの質感、アメニティのクオリティにいたるまで一級だ。特筆すべきはインルームダイニングのクオリティ。利用率なんと90パーセント超とゲストから圧倒的な支持を受ける。和・洋、デザートに各種ドリンク、質を重視した豊富なラインナップでゲストを唸らせる。

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特に季節で変わるメニューは大好評。必食の逸品揃いだ。原価率なんと60パーセント超という食材への飽くなき追求、バックヤードには本格的な厨房など、グルメなゲストがリピーターの多くを占めるというのも納得。高級なシャンパンやワインなどもほぼ市価で提供している。一般のホテルでは料飲部門も利益の要であるが、客室での快適滞在を実現するために利益は度外視し「美味しい食事を楽しんでいただく」ことを重視する。

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結果としてグルメファンも獲得、客室滞在時間は長くなり、デートのアレンジとしても楽しめそうなレジャーホテル。いや、もはや大人の時間を提供する「リゾートホテル」と言ってもいい、これまでのイメージを覆すホテルだ。

まるで「スイーツショップ」なレジャーホテル

ホテル&スイーツ フクオカ(4号/コンセプトタイプ)福岡県福岡市

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福岡でいま話題のレジャーホテルが2017年1月に開業した「ホテル&スイーツ フクオカ」。ロビースペースに設置されたスイーツショップのようなショーケースが印象的。白を基調とした清潔感溢れるイメージの外観はリゾート感もあり、空港近くという立地から一般ユースの需要もあるという。

ロビーには飲食可能なカフェスペースがあり、ショーケースには美味しそうなスイーツが並ぶ。ショーケースの後ろにはガラス越しのスイーツキッチンもある。とはいえ、スイーツショップのようだといってもそこはレジャーホテル、店員はいない。ショーケースの後ろにトレーが置かれており、裏から扉を開けてゲスト自らスイーツをピックアップする。

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窓が大きくとられた明るい客室でもスイーツが楽しめる。テーブルにはかわいい花が。客室へのアプローチとステイが見事に繋がっている。

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ソファとテーブルの高さは、食事をするのに抜群のバランスだ。ルームサービスを楽しむのはレジャーホテルの定番なのに、なぜ食べにくいローテーブルを採用しているか?というミスマッチも多くみかける。「ホテル&スイーツ フクオカ」の自宅にいるかのようなナチュラルな客室には、計算された寛ぎの仕掛けがある。

まさに「いいとこ取り」のレジャーホテル

ホテルバリアンリゾート(新法/新業態チェーンタイプ)首都圏を中心に関西にも

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カップルユースは想定されているものの、もはや“ラブ”とはいえない、レジャーホテルにもカテゴライズできないブランドが注目されている。それが新業態として紹介したいのが「ホテルバリアンリゾート」だ。充実したパブリックスペースなどで、カップルばかりでなく多様なゲストにも人気を博している。

バリのリゾートを意識した館内、開放感ある客室タイプが積極的に導入されている。もはや、新法ホテルという表現は必要ないほどに、ごく自然に設置されているフロントが印象的。アメニティバー、ドリンクバーなどロビーラウンジで無料提供。ロビーラウンジでカップルがワイワイドリンクやスイーツを楽しむ姿もここでは当たり前の光景。

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女子会プランの積極的な打ち出しでも知られるブランドである。関連ブランドの新規開業でいえば、2017年2月にオープンした「ホテル・プティバリ東新宿」に注目。歌舞伎町のレジャーホテルエリアから最も明治通りに近い立地ではあるが、道路に面したオープンエアのロビーラウンジにレンタサイクルまで並ぶ。訪日外国人客に人気のサービスだという。

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デイユースなどレジャーホテルのサービススタイルを踏襲しつつも、パブリック機能が高く、リゾートホテル、シティホテル、ビジネスホテルなど様々なホテル業態のエッセンスを意識した“いいとこ取りホテル”ともいえるだろう。まさに新業態の具現化である。

* * *

クローズドなイメージのあった業界において、異業態で成功する運営会社や若き経営者の手により、斬新な発想とコンセプトを持つレジャーホテルが多く出現している。本来のカップル利用を基本としつつ、伝統的なサービススタイルからの脱皮に、いま業界は試行錯誤の過程にある。

新たなステージを迎えつつあるレジャーホテル。もはや「ラブ」ではなく、まさに「レジャー」といえる業態。一般客にとっての利用は、まだ抵抗感や戸惑いなどがあるなかで、これからレジャーホテルはどのような進化を遂げるのか。今後ますます真価を問われていくだろう。

(瀧澤 信秋)

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