『スタンフォード式 最高の睡眠』西野精治氏に聞く〝睡眠負債〟のリスクヘッジ術

『スタンフォード式 最高の睡眠』西野精治氏に聞く〝睡眠負債〟のリスクヘッジ術

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  • 更新日:2018/07/12

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「睡眠負債」は「睡眠不足」とは違う。借金と同じで雪だるま式にリスクが高まり、命を脅かすのだ。今回、その重要性を世界的な睡眠研究の権威、西野精治氏に解説してもらった。

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スタンフォード大学 医学部精神科 教授
同大、睡眠生体リズム研究所 所長
西野精治氏
1955年、大阪生まれ。医師、医学博士。睡眠と覚醒を研究。過眠症「ナルコレプシー」の原因究明を専門とし、一般社団法人良質睡眠研究機構の代表理事も務める。寝具『エアウィーヴ』の開発研究にも携わる。

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『スタンフォード式 最高の睡眠』(サンマーク出版)

1500円

1963年開設のスタンフォード大学 睡眠生体リズム研究所で研究する西野氏が、最新のデータをもとに〝量ではなく質を上げる睡眠〟を提唱する、30万部突破のベストセラー!

肥満・高血圧・糖尿病・精神疾患……発症の源に! 命に関わる睡眠負債のリアル

睡眠時間が足りないというのは現代人に共通する悩みだ。しかし睡眠が慢性的に足りない生活を続けていると、やがて「睡眠負債」となって、あなたの健康を害してしまうのだ。

■積み重なった「睡眠負債」は脳や体にダメージを与える

仕事が忙しいなど、時間が足りないと真っ先に削られてしまうのが睡眠時間。しかし西野精治氏は「削られた時間はどんどん積み重なり、やがて『睡眠負債』となってしまうのです」と指摘する。

「かつて睡眠は単に休息程度のものとしか思われていなかったのですが、睡眠が足りないと、脳にも体にもダメージを与えるのです」

睡眠負債は睡眠不足とは違う。普段はたっぷり寝ているが、繁忙期で睡眠時間を削るのが「不足」の状態。「負債」は不足が慢性的となり、元に戻すのが容易ではない状態だ。さながら、返す当てのない莫大な借金を抱え、その額が雪だるまのように膨らみ、にっちもさっちもいかないのと同様。ではどんな状態だと「睡眠負債」といえるのだろう?

「休日にいつもの睡眠時間より90分〜2時間ほど余計に寝ている人は、睡眠負債がたまっていると思って間違いないですね」

休日に寝だめをしている時、「好きなだけ寝ていいと言われたら、ずっと寝ていられるのに」と思ったことがある人は多いだろう。しかし睡眠負債の解消というのは、そう簡単にはいかないのだ。

以前、健康な10人を14時間ベッドに入れ、好きなだけ寝ていいという実験(その間はベッドから出てはいけない)が行なわれたそうだ。実験前の10人の平均睡眠時間は7.5時間。その結果は……、

「1日目は13時間、2日目も同じくらい寝るんですが、1週間くらい経つと、徐々に睡眠時間が短くなってきて、3週間後には平均8.2時間という睡眠量に固定しました。それがその人たちが本来、生理的に必要とする睡眠量で、実験前は約40分少ない状態だったということ。つまり40分の睡眠負債を返すのに毎日14時間×3週間もかかったのです。

だから何か月、何年もたまっている睡眠負債は、休日の寝だめではどうにもならない。もちろん、前もって寝ておく『睡眠預金』も意味がありません」

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日本は世界でも極端に睡眠時間が少なく、ワースト2位。一方、NHKの調査によると、中でも東京の平日の平均睡眠時間は5.59時間。日本では都会に住む人ほど眠れていないという結果も出ている。

出典:Society at a Glance 2009(OECD)

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女性約63万人のBMIの調査結果。7時間を境に睡眠時間の長短にかかわらず肥満傾向だ。「男性も短時間睡眠は肥満傾向に」(西野氏)

出典:Kripke DFZ.Mortality associated with sleep duration and insomnia. Arch Gen Psychiatry.2002

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睡眠時間7時間以上8時間未満の人の発症リスクが一番低い。「高血圧は脳血管障害や心虚血性疾患などを引き起こす原因」(西野氏)

出典:Gottlieb DJ. et al.:Sleep 29;1009-14,2006より改変

■睡眠時間は短くても長すぎてもよくない

西野氏は「30〜40代はもともと様々な疾患のリスクが上がる年齢なので、そこに睡眠負債があると、健康被害が出る可能性が高い」と睡眠の重要性について強調する。

「2002年に米国・サンディエゴ大学の精神科医クリプケ氏らが、米国がん協会の協力で100万人規模の疫学の統計を出したんです。それによると、アメリカ人の平均睡眠時間は7.5時間。その100万人を6年後に追跡調査したところ、平均に近い7時間寝ている人たちの死亡率が一番少なく、3〜4時間しか寝てない人は7時間の人に比べ1.3〜1.4倍も死亡率が上がっていました。これは男性も女性もです。逆に長い時間寝ている人も同じくらいに上がっています。もちろんこれはあくまで6年の追跡調査で、ライフスパンを見ているわけではないですが、そういう傾向がある、ということは知っておいてください」

睡眠負債のある人は肥満、高血圧、糖尿病、精神疾患、がんなど様々な疾患のリスクが高くなり、適切な睡眠をとらないと風邪を引きやすいなど免疫力にも影響。さらには「脳」にも大きな影響を及ぼすという。

「脳は臓器の中でも一番活発で、酸素消費量も一番多い。だから使えば使うほど、老廃物がたまる。それを除去しないと、脳内に蓄積する可能性もあるんです。これを排泄している役割を担っているのが『脳脊髄液』だと考えられていて、睡眠中はその働きが上がっているんです」

老廃物が蓄積して、危険性が増すのがアルツハイマーだ。

「病気になりやすい人も、なりにくい人もいるのですが、リスクの高い、なりやすい人が不適切な睡眠しかとっていないと、様々な病気の発症を促進する可能性は十分あるんです。

じゃあどうすればいいのか、と聞かれたら、根本的な解決は寝るしかない(笑)。でもなかなか忙しい世代は適切な睡眠時間を確保するのが難しい。そこで私が提唱しているのが、『90分の黄金法則』なのです」

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睡眠が制限されると食欲を増すホルモン、グレリンが増える。「食べすぎにより糖尿病になるというリスクもあります」(西野氏)

出典:Nakajima H, et al:Sleep Med,9:745-752,2008

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5時間未満、10時間以上の睡眠障害の人は抑うつ症状が出やすい。「アルコール依存、薬物依存にもなりやすいのです」(西野氏)

出典:Kaneita Y et al.J Clin Psychiatry 2006;67(2):196-203

〈DIMEの分析〉
睡眠を軽視すると脳と体にダメージを与えることがわかった。忙しいと睡眠を真っ先に削りがちだが、最小限に抑えるべき。しかし睡眠時間の確保が難しい現代人……次ページは、その解決策の講義だ。.

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文/編集部

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