【社説】見え始めた中国経済改革の行方

【社説】見え始めた中国経済改革の行方

  • WSJ日本版
  • 更新日:2017/10/13
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中国での経済改革を巡る議論が一気に関心を集めている。中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁が9日、経済再編には不可欠との理由から、貿易自由化の促進と資本規制の撤廃を求めたのだ。共産党大会を目前に控える中国にとって、これは大きな節目になるかもしれない。

周総裁は正しい。中国経済が高水準の貯蓄と投資に長年頼ってきた体質を改めるには、交換可能通貨、すなわち人民元が鍵を握るのは確かだ。資本規制は、貯蓄を国内の金融システムに滞留させ、資本コストを押さえ込み、さらに家計所得を犠牲にして投資を支えるものだ。

こうした一連の流れは「金融抑圧」と呼ばれ、この10年間に融資が猛烈な勢いで拡大した一因となった。中国経済が抱える債務総額は国内総生産(GDP)比280%の規模まで膨らんだとの推計もある。米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスとS&Pグローバル・レーティングは今年、中国の国債格付けを引き下げた。理由として、借り入れが急ピッチで増えていることを挙げたが、そうした状況は経験則で言えば金融危機につながる。

これだけの債務が満期を迎えた場合に中国に及びそうな影響としては、経済成長の減速や実質賃金の停滞が考えられる。1990年代の日本の状況とうり二つだ。中国で投資リターンが低下している背景には、過剰生産能力に苦しむ産業が増えていることがある。

中国政府は、消費主導の経済に移行すると同時に生産性の伸びを高める必要があることは承知している。近年では、一部の工場を閉鎖に追い込み、支払い能力がない「ゾンビ企業」への融資をやめるよう銀行に命じる一方、研究・開発(R&D)に資金を投じてきた。だが、民間企業に比べて効率性も革新性も劣る国有企業を重視する姿勢に変わりはない。

周氏は、資本を自由化すれば、政府が細かく管理しなくても企業が自律できるようになることを見抜いている。同氏は2015年に国内金利の自由化に挑んだが、資本規制によって金利は依然として人為的に低く抑えられている。中国の貯蓄者が海外でより高いリターンを追求できるようになれば、企業は市場価格での資金調達を余儀なくされるだろう。また、銀行は預金を集めるために預金金利を引き上げざるを得なくなり、これは消費を刺激することにもつながる。

当然ながら、中国政府は人民元が投機筋の攻撃を受けていないときに、資本の自由化を進めようとするだろう。周氏の発言が驚きを呼んでいるのは、中国政府がこの3年間、資本逃避と戦ってきたからだ。15年後半に月間の資金流出額が1000億ドルを超えたことを受けて、政府は資本規制を強化した。今年に入り世界の金融情勢が好転し、ドルが下落したことで人民銀行には金融緩和の余地が生まれている。一部では資金流出が続いているが、元の対ドル相場は上昇し、中国の外貨準備高は増加に転じた。

この休息は長続きしないかもしれず、中国政府は一刻の猶予も許されないとの周氏の見方は正しい。来年3月に退任予定の同氏は、改革志向のテクノクラートの意見を代弁しているだけなのかもしれない。しかし、今回周氏が打ち上げた信号弾はおそらく、最高指導者の習近平国家主席が今月の共産党大会で権力基盤を固めた後、経済不均衡の問題に対処しようと考えていることを示しているとみられる。これは短期的にリスクをもたらすものの、長期的には中国の経済成長と繁栄を促進するだろう。

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