日本人には真似できない? 「休むほどクリエイティブになる」メルボルニアンたちに聞いた話

日本人には真似できない? 「休むほどクリエイティブになる」メルボルニアンたちに聞いた話

  • ライフハッカー[日本版]
  • 更新日:2016/10/18
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前回の記事では、60日間の世界一周旅行を通してアラサーの私とパートナーがライフプランを学ぶことになったいきさつを書きました。今回からは、訪れた各都市のローカルに触れて考えたことを共有していきます。第1弾は英国の週刊新聞『Economist』にて住みやすい都市No.1に選ばれたメルボルン! 私が働いている広告業界においても、近年、素晴らしいクリエイティブ作品で大きな注目を集めている都市です。

メルボルンは世界最高峰のクリエイティブ発信地

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メルボルン駅の階段に掲出されていた、階段を駆け下りて「おばかな死に方」をしているキャラクターのステッカー。4年前の作品が今もしっかりと根付いていて、ちょっと感動。

ここ6年間でメルボルンの広告会社が世界最大級の国際広告賞「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」でグランプリを受賞した数は10点(グランプリに選ばれるのは、世界中から集まる作品の中でおよそ10000作品に1つという割合です!)。その中でも私のお気に入りは「DUMB WAYS TO DIE(おばかな死に方)」という、地下鉄の人身事故防止キャンペーンです。通常このようなキャンペーンでは「危険だから注意しましょう!」というネガティブなメッセージをポスターで掲出することが多いです。ですが今作では色々なおばかな死に方をするキモカワなキャラがテーマソングを歌うミュージックビデオを中心に、「見たくなる」「話したくなる」ポジティブなコンテンツをつくりだすことに成功しています。このように広告の枠にはまらずに自由な発想の作品が生み出され続けているメルボルンは、私を含む多くのクリエイターにとって憧れの地です。

DUMB WAYS TO DIEのミュージックビデオ。再生回数は1.3億を超える。以前、アメリカ人の小学生に「これ知ってる?」と見せられたほど、世界中に広がった人気作品だ。

メルボルニアンは働かない?

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若者に人気のあるフィッツロイエリアのカフェにひしめく人々。なんと平日の朝11時。

クリエイティブな作品を連発するメルボルニアン(メルボルンのローカルの人々)たちの生活からヒントをつかむべく街にくり出すと、すぐに見慣れない光景が広がりました。ビジネスマン風の男性2人組、クリエイター系の若者グループ、大きなランチプレートをはさむ老夫婦...。平日の昼間から、ストリートにひしめく数多くのカフェを老若男女が埋めつくし、何やら熱心に語りあっているのです。彼らが手に持っているのはフラットホワイト(オーストラリアやニュージーランドなどでポピュラーなエスプレッソベースのコーヒー)かと思いきや、ビールやワインもちらほら。こんなところを同僚に見られたら、と思うと日本ではなかなか真似できません。人々に話をきいてみると、メルボルンはカフェカルチャーの街で、1日に3、4回カフェに通う人も珍しくはないとのこと。さらに普段は17時過ぎには仕事を終えて帰宅してしまうとか。

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カフェ以外でも昼夜問わずとにかく何かを語りたがる人々。暇なのか?

さぞかし働きものであろうと思われたメルボルニアンたちは、予想と裏腹に休みまくっていたのです。「休みまくっていいものつくれるなんて、ずるい!」と小物丸出しの感想を抱いた私は、元同僚で、現在はレオ・バーネットメルボルン支社に勤めるデイビッド・オッフェンバック-アボット氏に連絡を取り、メルボルニアンの「休み方」に隠された秘密を探ることにしました。

カフェカルチャー=おしゃべりカルチャーだった

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アメリカ出身の広告マン、デイビッド氏。筆者が営業時代に仕事を教わった最初の先輩でもある。客観的な視点で、東京とメルボルンの違いを語ってもらった。

メルボルニアンは17時を過ぎると、仕事を終えてビールを飲みにでかけたり、家で時間を過ごしていますね。家に仕事を持ち帰っている人はほとんどいません。その分、朝は少し早めに出社してるかも。といっても9時出社で、着いたらすぐにカフェにでかけちゃう人もいます(笑)。日本人とメルボルニアンは仕事での時間の使い方が違います。日本人はチームメンバーがそれぞれ役割を持って、一生懸命考えたり準備することに時間をかけて、打ち合わせでもじっくり長く話しあって、決まらなければまたやりなおし、という感じ。メルボルニアンは、会議室の中でも外でもとにかくみんながどんどんしゃべって、自然に物事が決まっていきます。仕事と関係ない雑談をしているうちに盛り上がって新しいアイデアが生まれることも珍しくありません。

なるほど、日本のカフェは1人で仕事をしている人が多いけど、メルボルンではおしゃべりしている人ばかり。そんなおしゃべりカルチャーだからこそ、カフェで街が賑わい、活気の中から新しいクリエイティブが生まれているのかもしれません。

人口とクリエイティビティは反比例する!?

続いて同社のマネジメントの1人であるジェイソン・ウィリアムズ氏から興味深い話を聞くことができました。

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レオバーネット・メルボルンのクリエイティブを統括し、近年の同社の活躍の立役者となったジェイソン氏。

東京って人口は何人だっけ? え、1300万人!? メルボルンは、その3分の1しかないよ(笑)。面積は広いけど、小規模。そしてまだまだ成長中の若い街。だから、僕たちには"ローカルコミュニティに属している"という意識があると思う。僕は、チームメンバー全員がTHINKER(考える人)として遠慮なく意見交換するべきだと思っていて、そのためには普段から近い関係を築けていることが大事なんだ。メルボルンのコミュニティにはそれが自然にある。もしメルボルンが大きくなったらそういった空気は薄れてしまうだろうし、僕たちのオフィスもこれ以上大きな規模にはしたくないと思っているよ。人が多すぎると、クリエイティビティを保つことが難しくなるんだ。

チームや組織に人が多くてうまくいかない。これは会社勤めのアラサーが、一度は経験したことがある悩みといえるでしょう。限られた時間の中、関係者が多いほど人間同士の関係が希薄になる。人としての関係が希薄になれば、組織における役割に応じて無難に物事を判断するようになる。結果的に、無難だがクリエイティビティに欠ける決定が行われる。このようなスパイラルが、知らず知らずのうちに私たちの日常からクリエイティビティを奪っているのではないでしょうか。

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ジェイソン氏との会話で使ったメモ。人口が少ない場所では人間同士の親しい人間関係が生まれ、東京のように人口が極端に多くなると関係は希薄化するという傾向を図にした。

大都市でメルボルニアン的な生活は可能か?

では、東京在住の私を含む大都市生活者は、移住する以外にはメルボルニアン的な生活はできないのでしょうか?全ては無理でも、少しずつを取り入れることはできるかもしれないと考え、前回の記事で触れた「変住」のアイデアをを考えてみました。

1. 好きなカフェの近くに引っ越す

お気に入りの店に通っていると、店員や客と顔なじみになることがあります。そのような人とは、好きなものや趣味など何らかの共通点があって、話もはずむものです。思い切ってその近くに引っ越すことで、ローカルのコミュニティに加わるきっかけが生まれるかもしれません。私自身、『KAIDO』という旅をテーマにした図書を取り揃えたカフェの近くに引っ越したことをきっかけに、普段から旅人と情報交換したり、地域の伝統行事に参加して、そこからアイデアのヒントを得ることが増えました。

2. 毎朝、1トピックと1杯のコーヒーを同僚と楽しむ

メルボルニアンのおしゃべりのトピックは多岐に渡ります。特に社会問題や政治へのアンテナが日本人に比べて敏感で、それらの関心の幅と知識の深さは、彼らの発想力を支える1つの要素と言えるでしょう。気心の知れた同僚を誘って、今まで話さなかったようなトピックをふることで、思いもよらない意見が飛び出してくるかもしれません。

3. ビールはグラスで注文する

私は、仲間との楽しい飲み会でついつい飲み過ぎてしまい、笑っていた記憶だけが残っていることが多いです。せっかくいい話ができても、内容を忘れてしまってはもったいないですよね。メルボルンではpotという小さなサイズのジョッキでビールを飲む人が多く、酔うことよりもちゃんと話をすることを楽しんでいる印象です。実際にpotを注文してみると、すぐ飲み終わらないようにゆっくり飲みたくなり、ビール自体もしっかり味わうことができました。

移住先としても、もちろん魅力的

世界一周旅行の1都市目の滞在地にして、移住候補地として私たちはすっかりメルボルンが気に入ってしまいました。ここまでに挙げた点はもちろんのこと、アジア圏に対する差別をまったく感じない、食事が美味しい、育児手当などの生活補助が手厚い、といったところが魅力です(細かいことは書ききれず、また機会があれば)。

次回はニュージーランドでのキャンプ生活を通しての学びについて書く予定です。

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中島琢郎(なかじま・たくろう)|Facebook

エクスペリエンス・デザイナー/キャンパー/バンドマン

外資系広告代理店ビーコンコミュニケーションズ(米国の総合広告代理店レオ・バーネットの東京オフィス)にて、営業部門・デジタル戦略部門を経てクリエイティブ職へ。学業や仕事の合間を縫って30カ国・100都市以上を旅行した経験から、世界の誰がみてもいいね! と思えるユニバーサルなアイデアの実現を目指して広告やサービスを企画・制作している。カンヌ国際クリエイティビティフェスティバルの「ヤングカンヌ」(28歳以下の国際コンペ)での2年連続日本代表選出や、シンガポール・チョンバルエリアの魅力を紹介する「Keppel Land Live」のレポーターなど、国内外で活動の幅を拡大中。16人編成バンド・画家にてパーカッションを担当。どんなことでもお気軽にご連絡ください。連絡はこちらまで。

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