法人減税で米国は賃上げ、日本も減税しているのになぜ賃上げが進まないの?

法人減税で米国は賃上げ、日本も減税しているのになぜ賃上げが進まないの?

  • THE PAGE
  • 更新日:2018/02/16

米国の税制改革を受けて、大手企業が続々と賃上げや投資拡大を表明しています。日本でも法人減税が行われていますが、こうした反応は見られません。両国にはどのような違いがあるのでしょうか。

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給与を10%引き上げると表明したJPモルガン(写真:ロイター/アフロ)

金融大手の米JPモルガン・チェースは、1月23日、米国内で総額200億ドル(約2兆2000億円)の投資を実施するとともに、行員の給与を10%引き上げると表明しました。このほかスーパー大手のウォルマートが最低時給を引き上げたり、通信大手のAT&Tが臨時ボーナスを20万人に支給するなど、法人減税分を従業員に還元する動きが活発です。

日本では、消費増税やサラリーマンの所得税増税など、個人に対しては増税が続いていますが、法人税については、かなり積極的に減税が行われています。

2012年以前における日本の法人税率(実効税率)は40%近くありましたが、政府は段階的に減税を進めており、現時点における実効税率は30%を切っています。税金が安くなったわけですから、米国企業のように社員に対する還元が進んでもいいように思えますが、現実はそうなっていません。主な理由は二つあります。ひとつは、表面上の税率と実際の税率が乖離していること、もうひとつは日本独特の雇用慣行です。

あまり知られていませんが、日本には租税特別措置法という法律があり、一定の要件を満たせば実質的に法人税率を大幅に引き下げることができます。この適用を受けている法人は圧倒的に大企業に集中しており、実は法人税は大企業を中心に、すでにかなり下がった状態にあります。ここから表面上の税率が引き下げられたとしても、実質的にはあまり変わりませんから、企業は従業員に積極的に還元しようとはしません。租税特別措置法の存在は日本の税制があまりフェアではないことを象徴しているともいえます。

終身雇用が大前提であることも賃金を抑制させます。企業は従業員の雇用を半永久的に保障する必要があるため、将来に備えて、できるだけ賃金を安くしようとします。日本企業で長時間残業が多いのも、繁忙期において人を増やさず、残業で乗り切るためです。

労働市場における流動性が高まれば賃金は一気に上昇する可能性が高いですが、日本では終身雇用を見直そうという動きは見られません。日本企業は常に過剰人員を抱えた状況にありますから、法人減税が行われて手元資金が増えても、従業員の昇給にはつながりにくいというのが現実でしょう。

(The Capital Tribune Japan)

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