<箱根駅伝>留学生ランナーが変える箱根予選会地図。過去最多の9名出場

<箱根駅伝>留学生ランナーが変える箱根予選会地図。過去最多の9名出場

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  • 更新日:2017/10/13
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2018年の箱根を目指す予選会には留学生が9人も出場予定だ(写真は2017年箱根駅伝イメージ)

前回は7分の3だったが、今回は9分のいくつなのか? 2018年正月に開催される第94回箱根駅伝の予選会が10月14日に東京・立川市の陸上自衛隊立川駐屯地、国営昭和記念公園20キロコースで行われる。参戦する大学は49校(上位10位までが本戦の出場権を得る)。そのエントリーを見ると、留学生を擁する大学が9校もあった。これは過去最多だった前回を2校も上回るものだ。

前回は創価大、拓大、日大、東京国際大、日本薬科大、武蔵野学院大、桜美林大の7校が留学生ランナーを起用して、創価大、拓大、日大の3校が予選会を突破した。その一方で、日本人選手だけで臨んだ中大が、日大に44秒届かず落選。最多14回の総合優勝を誇る超名門が、最多連続出場を「87」で途切れさせている。

今回は前回の7校に加えて、正月の箱根駅伝で17位に終わった山梨学院大、今季からケニア人選手が入学した国士大が留学生をエントリーしている。箱根駅伝の「国際化」といえば響きはいいが、予選会に出場する留学生の大半はケニア人。いずれも、その「走力」を見込まれて、奨学生として来日している。

13年前、箱根駅伝で12回の優勝経験を持つ日大にケニア人留学生が入学したときには、多くの関係者が驚いた。だが近年は、箱根駅伝の出場を果たすには、留学生の力が必要不可欠な時代になりつつある。

9月上旬に行われた日本インカレでは、5000mでレダマ・キサイサ(桜美林大)が13分35秒19で、1万mでサイモン・カリウキ(日本薬科大)が28分20秒50で優勝。箱根や全日本大学駅伝に出場したことのない大学の留学生が「大学一」に輝いた。しかも、ふたりは昨年の大会で長距離2冠に輝いたパトリック・ワンブィ(日大)を抑え、日本人トップにそれぞれ12秒と24秒という差をつけている。

日本インカレでは優勝した留学生と日本人トップで5kmあたり12秒というタイム差がついており、20kmだと単純計算で48秒差にもなる。その実力差は予選会でもハッキリしている。前々回はトップ3を留学生が占めて、前回は2区で区間賞に輝いた鈴木健吾(神奈川大)が3位に食い込んだ以外は、上位6位までを留学生が占拠した。今回も日本人選手が留学生に真っ向勝負するのは難しく、留学生の集団がハイペースで進み、その後方で日本人が大集団を形成することになるだろう。

では、留学生を擁する9校のうち何校が予選会を突破できるのか。

総合力の高い山梨学院大はトップ通過の候補で、創価大と拓大も通過が有力視されている。創価大は正月の箱根駅伝で12位。前回の予選会は3位で、そのメンバーで卒業したのは2名のみ。前回、個人総合4位に入ったムソニ・ムイルが成長しており、「集団走」の準備も抜かりはない。拓大はロードに強いチーム。例年、予選会にはしっかり合わせており、昨年も7位で通過した。前回、個人総合6位のワークナー・デレセで貯金が計算
できるため、他の選手たちは確実に走る戦略で臨んでくるだろう。

ボーダー付近にいるのが、国士大、日大、東京国際大だ。国士大は前回3年ぶりに予選会を突破するも9位通過。今季はポール・ギトンガが加入したが、他の留学生のような爆発力は発揮できていない。

前回10位通過の日大は個人総合トップの快走を見せたパトリック・ワンブィがいるものの、日本人選手の戦力がダウンしている。東京国際大は前回、モグス・タイタスの途中棄権が響き、15位に沈んだ。今季は11年テグ世界陸上5000m代表の渡邊和也が入学。近年は故障が続いていたが、予選会のエントリーにはこぎつけている。留学生と実績抜群の30歳ルーキーでタイムを稼げるか。

前回は、留学生が上位で走った日本薬科大が21位から18位、同じく桜美林大が30位から25位と躍進。留学生が不発に終わった武蔵野学院大は27位だった。この3校は戦力を考えると、今回の予選通過は難しいが、日本人選手の強化が進めば、来年は突破ラインに絡んできてもおかしくない。そして、新たに留学生を採用すると噂される大学も存在する。

おもしろいことに、前回の箱根駅伝は留学生を擁する大学4校すべてがシード権に届かなかった。1区間の距離が長く、10区間もある箱根駅伝は留学生ひとりで、すべてをひっくり返すのは難しい。しかし、箱根の予選会は一斉スタートということもあり、留学生パワーは大きくなる。

近年の予選会は、各々をフリーで走らせる大学は少なく、エース級がフリーでタイムを稼ぎ、その他の選手は「集団走」に近いかたちで、確実に20kmを走らせる形がスタンダードだ。留学生がいると、この戦略が非常にフィットする。留学生が上位で走ってくれるため、実力のない日本人選手たちは無理をする必要がなくなるからだ。稼ぐチャンスをつぶすかわりに、失速するリスクを回避。メンタル的にも楽に走ることができるため、チーム全体で考えるとプラスになることが多い。そうなると、留学生で“大量貯金”の期待できるチームは有利になる。

日本インカレの1万mは留学生が11連覇中。大学長距離界も、インターハイ5000mでケニア人留学生が25連勝している高校長距離界と状況が似てきた。
箱根駅伝は予選会を含めて、留学生の起用は各校1名という規定はあるものの、高校駅伝のように起用区間の制限はない。しかし、このまま留学生の参加が増え続けると、留学生不在の大学は予選会を突破するのが困難になるのは明らかだ。

今回の予選会は、名門・中大が本戦に返り咲きできるかに注目が集まっている。が、その裏には留学生を擁する大学の“走り”がカギを握っているともいえるだろう。

(文責・酒井政人/スポーツライター)

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