アレックス・カーも心酔 デザートにキンモクセイ? パンチの効いた「創作素食」

アレックス・カーも心酔 デザートにキンモクセイ? パンチの効いた「創作素食」

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  • 更新日:2018/01/14
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「佛跳牆(フォーチュウチャン)」/香りをかぐと、修行中のお坊さんも跳んでくる、という話にちなみ、別名「ぶっとびスープ」。冬虫夏草、クコ、キノコなど薬膳で使われる食材と季節の野菜を使い、3日かけて作る(撮影/楠本涼)

京都在住の松永智美さんは、ジュエリー作家でありながら「素食研究家」でもある。ナタデココで作ったイカや、こんにゃくのあわびなど、松永さんが生み出すヘルシーで美しい「創意素食」に魅了される人が増えている。

【「ぶっとびスープ」に使う珍しいキノコと野菜はこちら】

素食はもともと修行僧のための食事であり、信仰心に基づいている。そこには、「三厭(さんえん=鶏、肉、魚)」「五葷(ごくん=ネギ、ニラ、ニンニク、ラッキョウ、タマネギ)」を使わない、という基本的なルールがある。それらはいずれも、人間の気を高ぶらせてしまう材料とされている。

代わりに、素食では野菜、キノコ、豆類を中心に、体に負担をかけない素材を使う。ゆえに、健康にいい。

「日ごろ、お肉をおなかいっぱい食べている方は、物足りないと思われるかもしれませんが、素食を取り入れることで、身体を休めることができます。私自身、お肉をおいしく食べるために、研究しているようなところがあります(笑)」(松永さん)

健康面での効用の一方で、「謙虚に食と向き合う」という精神的な意味合いも大きい。

京都の町には、洗練を極めた料理店がひしめく。日本の食文化の粋ともいえるが、美食、飽食の風潮に乗って、その技巧が行き着くところまで行ってしまった感もある。

そんな時代にあって、動物性の食材を使わない、という素食の制約が、「食すること」の原点を意識させてくれる。

「創意素食」の活動は現在、折々に企画される法要や茶事、イベントなどが中心になっている。

これまでに、唐招提寺における高僧のための食事会、京都国立博物館茶室での茶事、古民家を再生した料理店での食事会など、文化的感度の高い場所で料理を提供してきた。

材料、メニュー、食器など、しつらえはそれぞれの場面に合ったものを毎回考える。「art&eat」と松永さんが呼ぶ通り、見て、味わって、五感が刺激される“食べるアート”である。

格式ある場面の一方で、和菓子や自然派ワイン、中国茶などとのコラボレーションイベントにも力を入れる。

祇園のアンティークギャラリー「昂-KYOTO-」のオーナー、永松仁美さんは、老舗「鍵善良房」の和菓子と素食のイベント「智美と善也の素食の世界」をコーディネートした。

「素食では、デザートにキンモクセイのようなパンチのきいた素材が使われます。そこを和菓子と組み合わせたらどうだろう、と取り組んでみたら、『はっきりしつつ、奥ゆかしい』という新しい感覚が出現しました。そんな発見が楽しくて」(永松さん)

京都・亀岡に住む東洋文化研究者、アレックス・カーさんは、自邸の庭を愛でる宴で、松永さんに「創意素食」を依頼した。「美しい紅葉を眺めながら、特別な食事をしてみたかったのです」と、アレックスさんは言う。

松永さんの「創意素食」は、人々が集まっても、決して賑やかに発散する料理ではない。

「お席ではいつも、ガラスのカップにたっぷりのお茶を用意して、ウォーマーで温め続けます。そのお茶とともに、『見立ての妙』を話題にして、みなさんがゆっくりと会話を交わす。その穏やかな光景が、いちばんの特徴ではないでしょうか」(松永さん)

非日常の空間ではもちろんのこと、会社での会議など、白熱の中で、いったん心を落ち着かせたい場面にも、向いているのではないか。素食を研究しながら、そのような要請にも応じていきたいと彼女は言う。(ジャーナリスト・清野由美)

※AERA 2018年1月15日号より抜粋

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