「天理教って、いいところ」......? 喜捨精神、奉仕の心、“宗教あるある”に翻弄された私

「天理教って、いいところ」......? 喜捨精神、奉仕の心、“宗教あるある”に翻弄された私

  • サイゾーウーマン
  • 更新日:2018/07/12
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神殿での映画『ラストエンペラー』オープニング的な集いが終わると、神殿近辺に立ち並ぶ講義室へ移動します。

これは「自己啓発セミナー特有」の手法…!?

あらかじめ、世代別にひとクラス30人ほどに分けられており、わたしも事前に知らされていた該当教室に向かうと、教室の手前と奥に、長椅子が2本。適当に、空いていた奥の椅子に座ると、ふと気づいたらその椅子は全員男性。女性はみな、手前の椅子にずらり。やばい、間違った……。

ところでこれって、”宗教あるある”じゃないですか? 「婦人部」や「青年部」など、やたら男女で分けがち。そんなテンションに慣れていないわたしは、まるで仲間外れのごとく、講義開始を待つことに。

しばらくすると、講師が入室。俳優の和田正人サン似の、40代半ばの爽やかハンサムです。

「まずはみなさん、居住地順に並んでください」

挨拶もそこそこに、和田サンが言います。こ、これは……よく耳にする、自己啓発セミナー特有の……「初対面を強引にコミュニケーションさせる手法」ではないか!

「北海道、ここで〜す!」

「埼玉? あっ、群馬? じゃあ東京はこの辺?」

「関西多すぎやん! 空けてくれへんと俺入れないやんか(笑)」

固まった空気が、徐々にやわらかく、そして和気あいあいと。すごい、自己啓発セミナー的手法。

「はい! じゃあ次は身長順に並んでください」

2回目ともなるとみな慣れたもので、なんの疑問も持たずコミュニケーションを取りながら背の順になります。人間の順応性、半端ないって!

と、半ば強制的に空気があったまったところで、机を運び出しグループごとになるよう並べることに。そう、学生時代におなじみの、「班」です。あらかじめ分けられていたこの班で、教室でのグループ講習を受けることになりました。

メンバーは男性4人に女性4人。

男性陣は、横浜DeNAベイスターズ筒香嘉智選手と同じ顔をした男性に、キツネ目の天理高校教師、小指の爪だけが異様に長いメガネをかけたほっしゃんと、アルコ&ピースの酒井健太を世に埋もれさせた男性。

女性陣はわたしと、SPEEDのHITOEちゃんを100倍可愛くした独身OL、色白はかなげ女性に、クラスに中学時代にひとりはいた『花とゆめ』(白泉社)の発売日になると「えっこんなにしゃべる子だったの? しかもめちゃ早口」と仰天するような女性。

みんな当然というか、ゴリゴリの信者です。

筒香選手とHITOEちゃんは教会の子どもだし(わたしの夫と同じ立場)、高校教師は一段階上の大きい教会の子ども、ほかの3人も、親世代から信仰心を受け継いできた人たちです。

「姑が参加してほしいと言うので、参加しました。ズブの素人です。踊りもできません」

そう言うわたしの自己紹介に、「え!?」「なんでそんな人が参加を!?」「なにその勇気!?」と、目をむき驚くのでした。常に表情を変えないほっしゃん以外は。

で、この班で、いよいよ天理教のなんたるかを学ぶのか、と思いきや、ただただゲームをするだけ。ああ、この感じも自己啓発セミナー的手法……!

「時計を見ずに30秒を数えて挙手せよ」とか、「配られた、1〜50の数字が書かれた用紙を、順番通りに見つけよ」とかを、班ごとに競ったりします。

そうした時間が終わると、食堂へ移動。ご飯と質素なおかず、味噌汁を配膳してもらい、同じ班の女性と食べたいな……と、まわりを見渡すと、みんなかねてからの知り合いがいるようで、緊張感がほぐれた表情ですでにきゃっきゃと食べています。

やっぱりここでも、仲間外れ、か……。小学生時代の甘苦しい思い出が去来し胸を締め付けていると、トントン、と肩を叩かれました。振り向くと、ほっしゃんがヤカンを片手に、

「お茶のおかわり、いる?」

ほ、ほっしゃあああああああん!!!!(涙)

「あ、大丈夫っす」

コップになみなみ入っているお茶を恨めしげに眺めつつ、断るしかないのでした。

さて、午後からはだだっ広い講堂に集まり、今回の後継者講習会の宣伝VTRを見たり、青年部のリーダー的な男性のスピーチを聞きます。テーマは「心の向きを変えれば、人生はもっとわくわくする」というものだそうで、

「みなさんにも、人生をわくわくさせてほしいので、あります!」

と、リーダーが奈良弁混じりに解説しますが、正直何を話していたのかは1ミリも覚えておりません!

その後、また班でのなんやかんやがあり、夕方4時頃に1日目が終了。子どもたちを保育園へ迎えに行くと、楽しく遊んでいたようで、

「カレー食べてアンパンマン見た!」

と嬉しそうに話していました。

部屋に戻ると、さあここからが戦争です。同部屋のA子さんが、部屋について一息もつかず、全速力で風呂の準備を開始。

「ヤバイヤバイヤバイ!! マジで今行かないと風呂ヤバイことになるから! オラおめえも早く準備しろよ!」

肝っ玉母ちゃん然とした様子で、子どもを連れ全力疾走。え、そ、そうなの? B子さんはゆったりしているけど? Aさんに流されたわたしも風呂場へ急ぐと、確かに早く来た方がよかったようでした。広々ゆったりと入っていると、あとからあとから子持ち女性がなだれ込み、洗い場は大渋滞していましたから。

その後、夕食をとりに食堂へ。やはりご飯に質素なおかずに、お味噌汁を配膳してもらい、子どもはたっぷりのふりかけが使えることに喜んでいました。

食事も終え一息ついていると、ふと気づくことがあります。食事配膳や、交通整備、宿舎の受付や、風呂場で手伝い係は、同じように黒いはっぴを来たおばさんたちがやっているのですが、

「あの人たちは、天理で働いている人たちなんですか?」

Aさんにそう聞くと、なんてことのない顔をして、教えてくれました。

「全員、ボランティアだよ。『ひのきしん』っていうんだけど、お金なんて出なく、ただただお手伝いに来る人たち」

そういえば、夫からも聞いたことがあります。義母がこうしたイベントごとに必ず天理教本部に来て手伝うことや、小さい頃から近所の老人ホームの掃除などに夫を連れて行っていたことなど。

おばさんたちは、それが当然かのように、いやむしろ喜びであるように、嫌な顔ひとつせずに、わたしたちに接します。

そうした雰囲気は、おばさんたちだけではありません。たとえば象徴的なのはエレベーター。都会の駅のエレベーターなんか乗ってみてくださいよ。誰も「開」なんか押してくれないし、ひどいときには乗る目前で「閉」を押してくる人もいる。こちらが「開」を押しても、誰もお礼なんて言わないのが当たり前じゃないですか。

でもね、ここは違う。「開」を押すのは当たり前。なんならみな「開」を押したくて押したくてたまらなくてドア付近に立とうとして、「開」の奪い合い状態。降りるときには「開」を押している人に、心を込めてありがとう。

閉まるギリギリで乗り込んでも、誰も舌打ちしない。

なにここ、まるで天国じゃないですか……!

「いやあ、天理って、いいところですね」なんてラインを夫に送りましたが、まだ天理の表層しか見ていなかったことを、姉さん、このときは知る由もなく――。

(文・有屋町はる)

(隔週水曜日・次回は7月25日更新予定)

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