「働き方改革」を実現するために中小企業がやるべきこと

「働き方改革」を実現するために中小企業がやるべきこと

  • @DIME
  • 更新日:2017/08/14

「働き方改革」が加速し、2019年にはいよいよ法改正。2017年は各企業で残業削減、人事評価制度の見直しなど、さまざまな施策をトライすべき時期だという。

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2017年7月19日に開催された「あしたの働き方改革シンポジウム2017」では、株式会社あしたのチーム代表取締役社長 高橋恭介氏の進行の下、働き方改革の先駆者である経営層たちが、今後、中小企業やベンチャー企業の経営者たちがどんな取り組みをすべきか、そして実際に彼らが行った施策を述べるパネルディスカッションを行った。今回は、注目の内容をピックアップして紹介する。

■2017年は「働き方改革元年」 法改正へ向けて

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株式会社あしたのチーム代表取締役社長 高橋恭介氏

2019年に控えている法改正では、長時間労働の抑制、脱時間給、生産性向上、同一労働・同一賃金などが考えられている。

パネルディスカッションに参加した、株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室淑恵氏によれば、2017年は「働き方改革の元年」だという。2019年春に施行される法改正に向けて、社内で統一した理解が必要である点、そして2018年に労使で労働時間の上限の結び直しをするのに備え、2017年は「どこまで残業時間を減らせるのか」を本気で取り組み、検証する年にしなければならない点を指摘した。

また、2019年春の法改正後は、長時間労働の上限を何時間で取り結んだかが各メディアで発表され、会社比較が行われるはず。妥協で結んだ企業はどうしても他に見劣りしてしまい、この人手不足の現状、入社数にも影響が出ると小室氏は注意喚起した。

参議院議員/弁護士/弁護士法人法律事務所オーセンス 代表弁護士/弁護士ドットコム株式会社 代表取締役会長の元榮太一郎氏は、法改正は非常にいい第一ステップであること、そしてこの第一次改革が、今後第二、第三と進んでいくにしても、まずは一歩進めることは喜ばしい。そしてPDCAという試行錯誤の中で、制度を進化させていくということは素晴らしいことだと述べた。

■「残業減らすと一時的に業績は下がる」は誤解!下がった企業はゼロ

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株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長 小室淑恵氏

働き方改革の中でも、特に長時間労働是正について、各企業は真剣に取り組まなければならない時期に来た。しかし、残業削減をすると、「業績が下がるのではないか?」と懸念し、一歩を踏み出せない企業も多いようだ。

しかし小室氏はそれを否定する。

「最近うれしいことは、コンサルに入らせていただいた企業さんの業績がとにかく上がっているということ。残業時間を減らすと一時的に業績が下がるといわれますが、一時的にでも業績が下がったという企業さんはなかったのです。

残業が減ると、むしろ業績が上がっているのです。なぜなら、長時間労働のある状態が、すでに大問題だらけだからです。例えば、人間の集中力には限界があるため、長時間働き続けるとミスが増えます」

また小室氏は、残業削減施策を始めても「すぐに定量的変化は望まないこと」とアドバイスする。そして、「4ヶ月くらい経つと社内が明るくなってきます。その後に実際に労働時間が減るという変化が現れてきます」と付け加えた。

■「働き方改革」に関する経営者たちの取り組み

パネルディスカッションに参加した経営者たちは、実際、働き方改革に関して、どんな取り組みをしているのか。世の中では、過剰サービスの見直し、残業規制、フリーアドレス制、テレワーク、IT化、AI活用などが進む中、それぞれの施策が語られた。中でも残業削減、生産性向上、人事評価制度など、興味深いものをピックアップしてみる。

●無駄話&喫煙NG!でも給与UPを明示
株式会社千葉ジェッツふなばし代表取締役社長 島田慎二氏

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株式会社千葉ジェッツふなばし代表取締役社長 島田慎二氏

「私の会社は、バスケやスポーツ好きで来る社員が多く、この業界全般がそうですが、好きだからこそ長時間労働・低賃金で働きがちです。そこで、日本一労働時間が短く、平均給与の高いチームにしたいと思い、8時間で最大の生産性を上げる環境づくりに取り組みました」

島田氏は、無駄話の禁止、会議は15分、仕事中の喫煙、プライベートのケータイ通話、SNS禁止などで無駄を是正し、朝、ファイリングやPC上の15分の整理整頓を社員に徹底させたという。

一見、禁止事項ばかりが目立つが、同時に「生産性を上げて8時間で仕事をするなら、その分給与に乗せてやる」と言ったそうだ。「短い時間で給与が高い」という、いい会社づくりが目的だからこそ、実現できたことだという。

●自由を与え、生産性を高める環境づくり
参議院議員/弁護士/弁護士法人法律事務所オーセンス 代表弁護士/弁護士ドットコム株式会社 代表取締役会長の元榮太一郎氏

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参議院議員/弁護士/弁護士法人法律事務所オーセンス 代表弁護士/弁護士ドットコム株式会社 代表取締役会長の元榮太一郎氏

「テレワークに適しているエンジニア・デザイナーには、自由な時間に働いていいとしています。また社員には、『20%ルール』と称して20%は自分のやりたいこと、例えば自身のスキルを磨くための勉強などに使うことを推奨しています。これにより、『自分の好きなことを20%許してもらっている会社で働いてるんだから、残りの80%は一生懸命働こう』という意識が出てくるのではと思っています。

エンジニアは、営業とは別の静かな部屋で集中できる環境で仕事をしてもらうようにしています。仮眠室や一人でこもれる部屋も用意しました。社員が『生産性の高い仕事している』と実感しながら働くための環境づくりが大切だと考えています」

●リーダーに言えない不満を露出「カエル会議」
株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長 小室淑恵氏

「コンサルに入らせていただいている中で、取り組んでもらっているものの一つが『カエル会議』です。みなさんに、自分が課題に感じていることを10分でふせんに書いてもらい、“いっせいのせ”で貼るというもの。本社からの『ノー残業デー』はなかなか実施しませんが、自分の課題なら取り組むことができます。

なぜふせんに書いて、いっせいのせなのかというと、口頭だとリーダーの意見にひっぱられるからです。『部下:会議長いです』『リーダー:いや長くない』『部下:そうですよね。長くないですよね』となってしまいます。でもふせんに書いて“いっせいのせ”なら自分の率直な意見を伝えられます。8人中7人『会議長い』と書いたら、長いということ。短くする取り組みをすればいい。これにより、それぞれの企業における働き方改革ができるのではないでしょうか」

●「どんな人生にしたいか」を上司と共有
株式会社ベアーズ取締役副社長 高橋ゆき氏

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株式会社ベアーズ取締役副社長 高橋ゆき氏

「人事評価は愛情の表し方の一つと思っています。ベアーズでは、表面的な評価にならないように、評価制度の中にライフプランを導入しています。

社員に『どんな人生にしたいか』を書いてもらい、上司に共有してもらっています。上司たちには、部下を『どういう暮らしのために、どんなキャリアを積んで、どんな仕事をして、どれくらい給料を入手できる人材』に育てるかを考えるよう指導しています。

縁あって入ってきた社員にイキイキと活躍できる環境を用意することが、社業を伸ばす鍵だと思っています。『働き方改革』は、社員の人生まるごとを通じて、その企業の業務効率を上げていけということをメッセージされているようにしか聞こえません。そうではなく、人生の物差しで人事評価制度を考えていける日本にしたいと思っています」

●管理職の評価に「時間当たり生産性評価」を入れる
株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長 小室淑恵氏

「人事評価制度の取り組みで今年一番多いのは、管理職の評価に『時間当たり生産性評価』を入れること。プロジェクトをやったら、A管理職は81点、B管理職は81点と点数をつけます。ここに、部下の総労働時間の平均と有給消化の数を指数にして入れるということをやると、長時間労働を部下に徹底的にさせてこの成果を上げているのか、それともちゃんと時間の管理をしながら、サスティナブルなサイクルを作って、同じ成果を上げているのかで、点数が変わるのです。Aが71点に落ちて、Bが91点に上がったりします。

ただ今年は、いきなり給与に反映させるわけではなく、まずはフィードバックするということをやっています。管理職に、『あなたは通常だったら81点なんだけど、こういう指数を入れて71点に落ちる。ちょっと考えてみて』と。すると管理職は『人が少ないんです』とかいろんな不満があると思いますので、『今年は一緒にそれを解決していきましょう。ただ来年からはそれがあなたの給料に跳ね返りますよ』というようなことを予告するなんてことをやったりしています」

こうした「働き方改革」の取り組みをしていてビジネスに勝てるのかと不安になるかもしれない。しかし小室氏によれば、「これからのビジネスの最大の阻害要因は、人が採れないこと」だという。そしてより「人が採れる」企業になるということは、ビジネス上勝つ最低限の条件になるという。今後の各企業の取り組みに期待が高まる。

(取材協力)
株式会社あしたのチーム
https://ashita-team.com/

取材・文/石原亜香利

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