人間ドックから美容整形まで、日本の医療を求める中国人 日中医通佳日 代表取締役CEO 日中医療交流促進協会 代表理事 徐磊氏

人間ドックから美容整形まで、日本の医療を求める中国人 日中医通佳日 代表取締役CEO 日中医療交流促進協会 代表理事 徐磊氏

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  • 更新日:2017/11/13
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インバウンドは観光やグルメだけでなく医療や美容、スポーツにまで広がっていることは当連載でもこれまで紹介してきた通りだ。とくに、医療インバウンドに関しては、今後大きな市場になっていく可能性が高い。インバウンドの医療通訳・翻訳を養成する日本医通佳日(ETEM)のCEOであり、一般社団法人・日中医療交流促進協会(JCMEA)の代表理事もつとめる徐磊(じょ・らい)氏に話を聞いた。

日本医通佳日代表取締役CEOであり、日中医療交流促進協会代表理事の徐磊氏

――株式会社と一般社団法人の両方をやられているのですね。まず、日本医通佳日の事業内容を教えていただけますか?

徐氏:爆買いの後、医療問題がクローズアップされてくるだろうと考えて、2015年に日本医通佳日を立ち上げました。中国は急激に経済成長しましたが、医療機関の数は限られており、常に混雑していて、医療水準の面でも日本に比べて遅れているといえます。また、最新の設備を導入している病院もあるのですが、まだ熟練したスタッフが十分いるとはいえません。そうした中、健康に対する意識の高い富裕層が欧米に健康診断や精密検査に出掛けるようになり、日本にも訪れています。しかし、日本のどの病院を訪れたらいいのかわからない、そして日本語で説明ができずに困っている中国人が多いことなどから、日本の医療機関の紹介や医療専門通訳・翻訳のサービスを始めました。

――具体的にはどのように紹介しているのでしょうか?

徐氏:医療関係者などのご紹介を経て、主に東京を中心とした医療機関、約20数軒と提携しています。この中には美容整形外科が半数以上含まれています。そこに、中国人の患者をご紹介しています。紹介の手段としては、弊社が中国語で発信しているウェイボーやウィーチャットを見て申し込んできた個人の方や、北京、上海、福建省にある弊社のビジネスパートナーから紹介されてくる方もいます。申込者の希望の日程や検査したい内容など詳細などをうかがって、その方の症状に適した病院をご紹介しています。

――どのような検査を希望する方が多いのでしょうか?

徐氏:一般の医療に関しては、いわゆる健康診断、人間ドッグ、がん検診、PET-CT、MRIなどの総合的な検査を希望する方が多いですね。中国である程度病気が判明していて、その分野でより詳細な検査を希望する方もいます。年齢は30~50代の男女が多く、出身地は北京、上海だけでなく、内陸部などさまざまな都市に広がっています。これまでの紹介実績は、たとえば、がん研有明病院、東京医科大学病院、甲状腺専門病院である伊藤病院(渋谷区)、さとう消化器内科クリニック(豊島区)、西台クリニック画像診断センター(板橋区)など、総合病院や有名専門クリニックを含め、多数あります。

美容整形外科では、アンチエイジングの治療を希望する方が多く、ヒルアロン酸注射やボトックス注射、美容整形手術などを行っています。提携先は自由が丘クリニック、ドクタースパ・クリニック(渋谷区)、赤坂MORIクリニックなどで、ほかに、美容と関連性のあるヘア・メイクサロンにもご案内しています。

健康診断や美容整形手術は、どの場合もすべて、弊社から医療専門の通訳が随行します。医療、美容についての専門用語をマスターした専門通訳をつけますので、お客様に安心していただけますし、もちろん提携先病院のお医者さんやスタッフにも喜ばれています。診療のあとは、診断結果などのレポートも必要に応じて翻訳してお渡ししています。2015年から2017年9月までの総患者数は延べ数千人に上っています。

――般社団法人・日中医療交流促進協会の活動について、教えてください。

徐氏:主に医療・美容通訳士の養成講座と日中医療交流活動の2つを行っています。医療・美容分野に特化した通訳はまだ不足しているのが現状です。医療通訳は、どのような検査や病気の通訳でも等しく重要で、命に関わることですが、とくに顔の美容整形手術の場合、わずかな通訳ミスが、一生取り返しのつかない事故につながりかねませんので、責任重大です。そこで、通訳を派遣するだけでなく、業界全体の品質向上と信頼のために、2016年から医療通訳士を育成する講座をスタートしました。現在は東京以外に名古屋、福岡など日本各地向けの遠隔通信講座も行っています。

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通訳士になるための講座

講座の受講者は在日歴10年以上の中国人をメインの対象者としていますが、日本人の受講者もおり、いずれも中国語、日本語が堪能な人たちです。主にインバウンド業界で仕事をしてきた人、一般の通訳として仕事をしてきた人、今後、医療通訳をやってみたいと思っている人などが申し込んできています。日本語の基礎を教えるのではなく、医療・美容分野の専門用語のみを指導し、実際に医者と患者とのやりとりを想定した実習なども行っています。また、診療科ごと、手術ごとに関連する専門用語も詳しく学べるようにするなど、実践型の授業を特徴としています。美容整形手術の場合は、部分麻酔のこともあり、そうした場合は通訳が手術室に入ることもあります。

講座の場合、週末に授業を行い、10回で1コース、講師は日本の医学博士号を持つ中国人や日本人の医師や専門家が担当します。卒業試験も実施しており、協会では合格点に到達した人だけを認定しています。

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通訳講座の卒業式

――通訳士のレベルを重視するのは大事なことですね。

徐氏:インバウンド業界の場合、とくに爆買いなどで急速に業界が盛り上がったこともあって、医療現場での通訳、ガイド、翻訳の品質、レベルがバラバラだという問題がありましたが、もしいい加減な通訳がいた場合、業界に対する悪評が広まってしまい、やがて業界全体が衰退していくことにもつながりかねません。業界を盛り立てて、信頼できる質の高い通訳を揃えることが、お客様や医療機関に対しての責任はもちろん、業界全体の信頼にもつながり、とてもいいことだと思います。

また、協会では中国に住む通訳士にも遠隔で授業を行っています。日本国内にいる中国人だけでなく、中国でもこうした仕事に興味のある人がいて、勉強したいという要望がありましたので、遠隔で授業を生中継しています。受講者は主に上海と南京にいる中国人で、東京と同じように、中国で卒業試験を受ける仕組みです。これまで、日中両国で同講座を受けた全受講者の約8割が合格し、現場で活躍しています。

――医療交流はどのような活動を行っていますか?

徐氏:日本の医師と中国の医師の交流会や意見交換会などを行っています。たとえば、今年1月には上海の復旦大学付属華山病院で中国人と日本人の医師の交流会を行い、情報交換をしました。中国の医師たちは日本の医療水準や技術、経営全般について関心があり、現状を知りたいですし、日本の医師も中国の医療状況を把握したり意見を聞いたりしたいと思っていますので、直接交流は非常にいいことだと思います。この活動は中国のメディアでも報道されました。今後も、希望に応じて、さまざまな病院、医師同士の交流を推進していく予定です。

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医療交流会の様子

また、今年9月には上海の日系百貨店に日本人のメイクアップアーティストを招き、デモンストレーションを行って「ジャパン・ビューティー」のメイクの仕方を紹介したり、日本での美容整形の安全性を解説したりしました。日本と比べ、中国の美容整形業界はまだ歴史が浅く、これまでは韓国などに手術に行く女性が多かったのですが、最近は日本の美容整形の安全性が注目され、日本で美容整形手術を受けたいという女性が増えています。とくに20~30代の若い女性は美容に対して貪欲で、意識も高いので、今後ますます美容のために日本にやってくる女性は増えていくと思います。

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