【短期連載】<SXSW>漫遊記 第四回、「デイ・パーティーの楽しみ方と醍醐味」

【短期連載】<SXSW>漫遊記 第四回、「デイ・パーティーの楽しみ方と醍醐味」

  • BARKS
  • 更新日:2018/04/17
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<SXSW>のミュージックフェスティバルが開催される3月の第3週、オースティンの町はライヴミュージックの坩堝と化す。それは毎晩、大体8時に始まるミュージックフェスティバルに加え、パーティーという名のライヴが文字通り、朝から晩まで、町のあちこちで行われるからだ。

◆SXSW (サウス・バイ・サウスウエスト) 画像

夜のミュージックフェスティバルだけでは物足りない音楽ファンは、デイ・パーティーをハシゴして、一つでも多くのライヴを見ようと町中を駆けずり回る。もちろん、中には一つのパーティーに腰を落ち着けて、ビールを飲みながらのんびり過ごしているファンもいるだろう。しかし、日本からわざわざ参加している筆者は、高い旅費をかけてきているんだから、のんびりなんかしていられない。無数にあるデイ・パーティーのスケジュールを網羅している『Showlist Asutin』というありがたいウェブサイトをチェックして、スケジュールをやりくりしながら体力の許すかぎり、あちこちのパーティーに足を運ぼうと考えている……のだけれど、ここ数年は、悲しいかな、その体力が…なんて話はさておき、デイ・パーティーも<SXSW>のオフィシャルのもの、アンオフィシャルのもの、レーベル主催のもの、メディア主催のもの、バンド主催のもの、レストラン主催のものといろいろあるのだが、そのほとんどがフリーライヴというところがうれしい。

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▲Licha's Cantina 画像2点

前述したように、そういうさまざまなパーティーが朝から晩まで開催されるわけだが、その中で一番早い時間に始まるのが、オースティンのラジオ局KGSRが毎年、4日間に渡ってダウンタウンにあるブティックホテル、Wホテルから公開生放送している『Live Morning Broadcast during <SXSW>』だろう。2018年も午前6時から毎日7~9組のアーティストが出演したが、アルバムリリース前にもかかわらず、<サマーソニック>に抜擢されたUK期待の新人ペイル・ウェーヴス、全米規模のブレイクの真っ只中、<フジロック・フェスティバル>出演が決まったナサニエル・レイトリフ&ザ・ナイトスウェッツをはじめ、熱心な音楽ファンなら気になる顔ぶれが揃っていた。

が、人気という意味で、豪華なアーティストを毎年ブッキングしているのが、ダウタウンにあるレコードショップ、ウォータールーレコードが店の駐車場で4日間開催している『Waterloo Records Day Parties』とサウス・コングレス地区にあるバンガロースタイルのホテル、ホテル・サン・ホセの駐車場でやはり4日間開催される『South X San Jose』だ。もし、今後、<SXSW>に参加しようという音楽ファンがいるなら、その2つはマストとしてオススメしたい。

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▲『Waterloo Records』

元々、インストアイベントだったが、店に入れないほど客が集まるため、2010年から駐車場でやるようになった『Waterloo Records Day Parties』には2018年、スーパーチャンク、アンドリューW.K.他23組、後者にはオッカーヴィル・リヴァー、アルバート・ハモンドJr.他30組が出演した。2018年、筆者は『South X San Jose』には参加できなかったが、ウォータールーレコードでキャロライン・ローズとクリス・キャラバ(Vo&G)率いるダッシュボード・コンフェッショナルの演奏を見ることができた。

そのダッシュボード・コンフェッショナルは2018年2月、9年ぶりにリリースした7作目のアルバム『Crooked Shadows』の曲を中心に演奏したが、一番盛り上がったのは、やはり2000年代のエモブームをリードしていた彼らが2003年に放ったヒットナンバー「Hands Down」。観客が大声で歌うサビのシンガロングを聴きながら、エモに夢中になっていた当時を思い出して、思わず胸が熱くなった。

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▲ダッシュボード・コンフェッショナル@『Waterloo Records Day Parties』画像4点

その他、筆者がルーシー・ダッカスを見たフラッド・マガジン(音楽を中心にしたカルチャー雑誌)主催の『Flood Fest』や音楽ブログのブルックリン・ヴィーガン主催の『Lost Weekend』もインディー・ロック好きなら外せない毎年恒例の人気パーティーだ。

『Lost Weekend』では、サッカー・マミー他を見ることができたが、一番印象に残っているのは、来日経験もあるスペインのガールズ・ガレージバンド、ハインズだ。

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▲ハインズ@『Lost Weekend』画像4点

2017年、<SXSW>で計17公演を行い、関係者を驚かせた彼女たちは<SXSW>参加3度目となる2018年も6日間で計14公演を敢行。どんだけライヴが好きなんだ?!と思わずにいられないが、筆者が見たライヴでは本番前のマイクチェックでいきなりメンバー全員で歌い出してしまい、観客が拍手喝采するという前代未聞のオープニングから「Let’s have a fun!」という掛け声とともに演奏になだれこむと、とことん演奏を楽しむ天真爛漫さで観客を魅了していった。

この1年、世界各地を回りながら音楽業界の荒波にもまれてきた彼女たちが、相も変わらずバンドを心底楽しんでいる姿を見ながら、演奏する楽しさを失っていったバンドを<SXSW>で何度か見たことがある僕はなんだか心が洗われるような、救われるような気持ちになったのだった。

◆レポート(2)へ

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▲ダウンタウンの再開発

年々、町の再開発がものすごい勢いで進むオースティンのダウンタウンでは、南部の田舎町ならではのレイドバックした雰囲気がかなり失われてしまったが、毎年<SXSW>に来るたび、1999年に初めてオースティンを訪れた時に味わったそのレイドバックした雰囲気を味わうことができるルーツミュージック系のパーティーに最低でも一つは参加したいと考えている。

2018年は6thストリートを、IH-35という高速道路を越えて、5分ほど東に行ったところにあるメキシカンレストラン、リチャズ・カンティーナで『The Brooklyn Country Cantina』とサウス・コングレス地区にあるルーシーズ・フライド・チキンというレストランで『8th Annual Lucy’s South By South Austin Fried Chicken Revival』という2つのパーティーに参加することができた。

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▲『The Brooklyn Country Cantina』画像7点

2018年で10周年を迎えるという『The Brooklyn Country Cantina』には前述したレイドバックした雰囲気とともに2017年、見逃したノース・カロライナの女性アウトロー・カントリーシンガー、サラ・シューク&ザ・ディスアーマーズを見たいと思って出かけていったのだが、ニヒルなサラのライヴを堪能したあとにはローレン・ルース・ワードといううれしい新発見も! ジャニス・ジョプリンの再来なんて言ってもいいロサンゼルスの女性シンガーの迫力満点の歌声とエネルギッシュかつエキセントリックなパフォーマンスにノックアウト。歌いながら観客に握手を求め、訴えかける彼女の姿がいまだに目に焼きついている。

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▲サラ・シューク&ザ・ディスアーマーズ@『The Brooklyn Country Cantina』画像3点

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▲ローレン・ルース・ワード@『The Brooklyn Country Cantina』画像3点

そして、ダウンタウンから市バスで15分ほど南に──老舗クラブのコンチネタル・クラブや前述したホテル・サン・ホセを越えて行ったところにあるルーシーズ・フライド・チキンは、もう何年も行きたいと思いながら行きそびれていた店だ。8年目を迎えるという2018年のパーティーにはライアン・アダムスのバンドでギターを弾いていたこともあるメンフィスのシンガーシングライター、ジョン・ポール・キースが出演するというので、足を運んでみた。

オールディーズ風のロックンロールをエネルギッシュに演奏しながら、艶やかな歌声の魅力のせいか、全然古臭く感じられないジョン・ポールの魅力もさることながら、納屋を模したステージをはじめ、店の雰囲気も集まっているお客さんたちも、フライドチキンもオースティンの地ビールもウェイトレスもナイスの一言だった。

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▲『Lucy's Fried Chicken』画像4点

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▲ジョン・ポール・キース@『Lucy's Fried Chicken』画像3点

店に着いて、さあ、ここでどうやって過ごそうかと考えていると、日本人がポツンといることを不思議に思ったのか、白人男性から「演奏しにきたのかな。それとも音楽ファンなのかい?」と声をかけられたから、「ただのファンですよ」と答えると、「そう。俺、マイクって言うんだ」と握手を求めてきたマイクは「楽しい一日を」と笑顔で去っていった。

すると、今度は白人の女性から「そこのあなた。こっちに来て、お座りなさいよ」とステージに近いところにあるテーブル席を勧められ、「ありがとうございます」とちょっと困惑しながら、イスに座ると、彼女はバケツに入ったフライドチキンを持ってきて、「頼みすぎちゃったから、どうぞ。さあ、取って取って。ペーパータオルはそこにあるから」と見ず知らずの日本人にとてもフレンドリーにしてくれたのだった。

よっぽど心細そうにしているように見えたのかしら? そんなことを思いながら、でも、以前の<SXSW>では、こういうふれあいがけっこうあったよなと思い出して、筆者はまた一つ、<SXSW>の楽しい思い出が増えたことをうれしく思った。

撮影・文◎山口智男

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