ユニクロを変えたクリエイターは誰だ? 柳井正が「才能」に投資する理由

ユニクロを変えたクリエイターは誰だ? 柳井正が「才能」に投資する理由

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2019/03/19
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数あるファッションブランドの中で、なぜユニクロは突き抜けることができたのか。その理由の一つには、クリエイターの活用があるのではないか──。

柳井社長はクリエイターたちの才能をどのように活用し、どのようにブランドを構築してきたのか。ユニクロを変えたクリエイターたちとの出会いを聞く。

クリエイターの仕事は「翻訳者」

──外部の「クリエイティブな才能」との協業についてお聞かせください。ユニクロのブランドロゴを刷新したクリエイティブ・ディレクターの佐藤可士和さんとの協業や、2018年には、かつて雑誌『POPEYE』を編集長として率いていた木下孝浩さんをユニクロのクリエィティブ・コミュニケーション全般に携わる執行役員として招いたことが大きく報じられました。御社が「クリエイティブな才能」に注目したきっかけをあらためてお聞かせください。

私は、世の中にクリエイティブ・ディレクターと言われる人で、本当に力を持っている人はあまりいない、特に日本においてはほとんどいないと考えています。クリエイティブ・ディレクターとは、ビジネスと広告コミュニケーションをつなぐ翻訳者です。

私たちクライアントは「どういう思いでビジネスを展開しているか」を伝え、クリエイターはそれを踏まえて「だったら広告宣伝や店舗設計はこうなりますね」と提案する。マーケティングにおけるクリエイティビティは、クライアントの確固たる思いと優れた翻訳家たるクリエイターの両方の存在がなければ実現できません。

そのことを私に教えてくれたのは、今やファーストリテイリングのグローバルクリエイティブ統括を務めているジョン・ジェイです。彼との出会いは1998年、彼が米国の世界的広告会社ワイデン+ケネディの初代日本支社長として日本に来た直後です。そのころユニクロは、都心一号店として原宿店をオープンさせたばかり。

翌1999年には、ユニクロ・ブランド構築のブレーンとしてワイデン+ケネディと契約し、ジョン・ジェイがテレビCMのための画期的なアイデアを提案してくれました。このときの一連の仕事を通じて、広告やクリエイティブとは何たるか、イロハを彼から教わりました。

その後、ビジネスとしての付き合いは1年半ぐらいで途絶えてしまいましたが、彼との親交は続きました。会うたびに「うちに来てくれないか」と口説き続け、それが実ったのが2014年です。ユニクロだけでなく「GU」や「Theory」なども含め、ファーストリテイリンググループが持つブランドのグローバル化を進めてもらっています。

佐藤可士和との出会い「最初は乗り気じゃなかった」

──ジョン・ジェイさんとの親交が、御社がクリエイティブに力を入れていくきっかけになったのですね。それが佐藤可士和さんにもつながっていくのでしょうか。

日本には、ジョン・ジェイのように優れたクリエイティブ・ディレクターがいるとは思えませんでした。ジョン・ジェイはもともとデパートの小売部門にいたこともあり、ファッションや小売のビジネスに精通していましたが、日本のクリエイターや広告会社で、クライアントのビジネスを深く理解している人は少ない。ジョン・ジェイも、「日本のテレビCMは視聴者に敬意を示してない」と手厳しい意見を持っていました。

佐藤可士和さんとは、紹介者のご縁でお会いすることになったものの、そういう経緯があったものですから、日本のクリエイターには懐疑的な見方しかなく、お会いするのは正直、嫌々でした。ところがです。

可士和さんの事務所で、当時デザインされていたNECの携帯電話を見て一目惚れしてしまいました。私は携帯電話をまったく使わないのですが、その場で「これ買います」と衝動買いするほどの出来栄えでした。

その一件で、この人はクリエイティブを本当によく分かっていると可士和さんに惚れ込み、大きなクリエイティブの仕事を次から次へとお願いしました。彼との出会いは2006年2月ですが、9月にはファーストリテイリングとユニクロのロゴや書体を刷新し、11月にニューヨークのソーホーにオープンさせるグローバル旗艦店のクリエイティブ・ディレクションもお願いしました。1000坪もある大型店です。準備期間が1年もないなかで、彼と一緒に店舗をつくり上げました。

その後も可士和さんとは、ファーストリテイリングやユニクロのグローバルブランド戦略を一緒に議論してきました。ジョン・ジェイがファーストリテイリングに加入してからは、彼の力も借りて、ブランド価値をいかに高めるかを一緒に考えています。

──元『POPEYE』の木下さんにはどのような役回りを期待されているのでしょうか?

木下さんが手塩にかけて育てた『POPEYE』は、欧米のファッション誌を超えています。彼は自分の足と目で取材し、細部までこだわって雑誌をつくっています。美意識がすごい。欧米のファッション誌は完全に宣伝ですから、桁違いです。

そういう「編集者」の視点で、ユニクロの服やブランドに磨きをかけてほしい。何かをつくるということは、何を選んで何を捨てるかを決める「編集」みたいなものだと思いますから。特に、彼のファッションへの理解力には期待しています。私だけでなく、社内のみなが彼をお手本にしています。

2018年の秋、国内のニットメーカー島精機製作所さんと、パリでニットの展覧会を開催しました。その展示スペースやブックレットの編集を、木下さんにお願いしました。ほかにも、グローバルなブランド価値を高めていくうえで、日々私たちから発信する情報についても、彼の編集力を発揮していってほしいと思っています。

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