『これからも楽しくセクシーにプレーしたい』ガンバ大阪・遠藤保仁選手インタビュー

『これからも楽しくセクシーにプレーしたい』ガンバ大阪・遠藤保仁選手インタビュー

  • 進路のミカタ
  • 更新日:2019/11/05

日本人選手初の公式戦1,000試合出場を達成し、39歳の今もピッチの上で卓越したプレーを見せ続ける遠藤保仁選手。そんな遠藤選手はどんな高校生活を送っていたのでしょうか。そして高校時代に経験したことで現在に役立っているのはどの部分でしょうか。挫折からの立ち直り方や、普段の心がけなどについても伺いました。

高校時代は「目立ちたくない」と思って過ごした

―― 高校生のころはどんな生徒でしたか?

僕は3人兄弟の3番目で、全員同じ高校だったので、入学するときには理事長・校長・他の先生たちを全員知っているし、知られているという状態でした。先生たちからはよく話しかけてもらったのですが、ただ、そこで特別扱いされたという感じではなかったと思います。

高校時代は「目立ちたくない」と思って過ごしていました。サッカーの中では目立ちたいと思っていましたが、その他は極力後ろでコソコソしていました。授業中寝ていても目立たないから怒られませんでしたね(笑)。

高校生活は、朝6時に家を出て7時からの朝練に参加し、夜は21時から22時ぐらいに帰宅するという日常でした。学校に行って部活をして帰って寝るというのが高校時代のほとんどの過ごし方です。

勉強は体育以外ほぼ横一線の出来だと思います。得意ではなかったですね。それでも、どちらかと言えば歴史は好きでした。戦いの中の戦略が好きでしたから。今になると、数学と英語には興味を持てばよかったかと思います。数学は謎が解けていく感じがしますし、英語はサッカー選手としても、それ以外にも役に立ちますね。英語を話せるに越したことはありません。

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―― 高校時代、勝つために努力していたことはありますか?

チームワークですね。サッカーはチームスポーツなので、チームとしてどう勝つかというのを考えていました。自分がずば抜けてうまいからボールを集めろ、という感じではなかったですね。チームの何をどうすべきか考えていました。

チームの中では静かに後ろにいるタイプでした。また僕たちの時代は上下関係が厳しいころでしたが、たぶん自分が3年生のころ、下級生はそんなに上級生が怖くなかったと思います。僕も1、2年生ともよく話をしていましたね。

高校時代のおかげでアクシデントが気にならなくなった

―― プロ選手を目指したのはいつ頃でしたか?

中学2年生のときにJリーグが開幕して、兄がプロになり、そこでプロになるという自分の目標がより明確になりました。高校に入るときにはもう気持ちは固まっていました。兄がなれたから自分もプロになれるという心境ではなく、兄がプロの道に進んだので自分も行きたいという感じです。

ただし高校1年生のときからずっとレギュラーだったわけではなく、出場したりしなかったりしたので、まず高校でレギュラーになり、全国大会に出場してアピールしたいと思っていました。入学した当初は上級生に比べてフィジカルの差が大きく「やはり高校は違う」と思っていました。半年ほど経って、少しずつ自分の思うプレーが出せるようになってきましたね。それでも3年生に比べると差はあると思っていました。

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―― 高校生のころの経験で、プロになって生きたことはありますか?

メンタル面ですね。「心技体」とはよく言ったものだと思います。心は大切だと思いますね。

高校では厳しいことも経験して、精神面が鍛えられました。連帯責任で、自分とは全然関係ないのに怒られるということもありましたから。当時は仕方がないと思っていましたし、そのおかげでちょっとしたアクシデントは気にならなくなりました。

高校生の時にサッカークラブのユースチームでプレーしていた選手は、いい言い方をすれば「自己主張ができる」選手だと思います。高校の部活動でサッカーをしていた選手は「打たれ強い」という特徴があると思います。日本代表の時に非常に厳しい意見を浴びたこともあります。ですが、自分は責任を問われる立場なのだと思っていましたので、あまり気にはなりませんでした。

―― 練習や食生活など普段から心掛けていることを教えてください。

サッカー以外でも楽しむことです。空いた時間があれば、家にいないで外に行くようにしています。最近はテラスのあるカフェで過ごすことに幸せを感じています。僕は周りの視線をほとんど気にしないので、普通の格好で外に出て、妻と一緒にダラダラと1~2時間テラスにいるのが心地いいと思っています。午前中に練習があるときはランチついでに一緒に外に出て、夕方に練習のあるときはモーニングを一緒に食べに出たりしています。結構楽しいですよ。

小さな喜びを積み重ねて大きな目標に進む

―― 挫折を味わったときにどう気持ちを整理しますか?

プロサッカー選手には、この選手に負けたくない、この選手を超えないと試合に出られない、というハッキリした目標があります。なので、そのライバルに勝つためにどうするのか、まず整理します。何がいけないのかを考えて、次に自分は何が得意なのか、何をすれば他の選手に負けないのかを考えた上でトレーニングするのです。僕はその繰り返しをやってきました。あまり大きなことは言えないのですが、その部分だけはしっかりやってきました。

それ以外には、いつも小さな喜びを見つけながらやっていました。「このプレーができるようになった」「この角度まで見えるようになった」など、自分にしか分からないことでも、そこに喜びを見つけています。楽しいことをしないと続かないですし、全部悪い方に考えても乗り越えていけないと思いますから。そんな小さな喜びを積み重ねて、大きな目標に進んでいくという感じです。

特に試合の時は「今日はこれをやってみよう」と考えながらプレーしています。監督に「ミスするな」と言われても自分が積極的にトライして失敗したことなら、監督が僕のミスだと思ってもあまり気にしていません。

今は、肉体的に落ちてきている部分を他のプレーでどう補うかという段階に入っています。ですから20代のときとはトレーニングの方法も変わっていて楽しいですよ。毎年同じようなサイクルで過ごしていますが、そこには変化があるので、それが楽しいんです。

ただ30歳を過ぎると周りの目は厳しくなりますね。年齢で判断される部分もあります。30歳を過ぎた選手と20歳の選手が同じぐらいのレベルなら、20歳の選手を使いたがる傾向があると思います。でも僕は年齢は関係ないということを証明したいと思います。それにデータを見ると若い選手と同じ距離は走っているんですよ。これからも楽しくセクシーにプレーしたいという気持ちでやっていきます。

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―― 高校生に向けてメッセージをお願いします。

僕たちの時代と今とでは普段の生活も環境も変わりましたし、僕たちのころと比べることはできないと思います。それでもあえて言うとすれば、「何かしら目標を持ったほうがいい」「一生懸命になることを持ったほうがいい」ということですね。

今はインターネットで何でもできる時代ですから、高校生はスマホを眺めている時間が多かったり、面倒くさいことをしなくなっていると思います。
ですが、それよりも直接人と接する時間を持ってほしいと思いますね。人と触れ合うことで相手の気持ちが分かったり、ものの大切さが分かったりします。僕の娘も高校生なのですが、学校が終わったらすぐ帰ってきてしまうので「遊んで帰ってこい」と言っています。

そして「目標を持って、目標に向かって一生懸命努力した」という経験をすることは、社会に出たときに必要になってくると思います。ときには挫折を味わっていいんじゃないですかね。チャレンジする気持ちは忘れないでほしいですね。

いつも飄々(ひょうひょう)とプレーしている遠藤選手のイメージどおり、インタビューの受け答えもずっと落ち着いた声のトーンでした。ですが語っていただいた言葉は決して淡泊ではなく、熱のこもった内容でした。その情熱と、家族と一緒に過ごす素敵な時間が、遠藤選手が長くプロサッカー選手生活を続けられている秘密かもしれません。

【取材協力】ガンバ大阪
【取材】森雅史/日本蹴球合同会社
【撮影】齊藤友也

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