制服を着た自衛官を見かけることがない東京は異常な都市である

制服を着た自衛官を見かけることがない東京は異常な都市である

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  • 更新日:2016/10/21

「いま誇るべき日本人の精神」(ベスト新書)を上梓。日本人は戦後いかに変わり、そして大事なものを失ってしまったのか。また日本人が本来もつ美徳とは何なのか。保守派の重鎮である加瀬英明氏から話を聞いた。

東京は世界のなかで、きわめて異常な都市になっていると、思う。
一つは、飼い犬を散歩させている善男善女と、よく行きかうが、雑種の犬を見かけることがない。犬といえば、どれもブランドの純血犬ばかりである。

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もう一つは、アメリカであれ、フランスであれ、インドネシア、中国であれ、どの国の首都であっても、その国の軍人が制服を着用して市街を闊歩していたり、レストランで食事をしているところを、見かけるものだ。ところが、東京で制服を着た自衛官に、出会うことはない。

どうして、ブランドの犬ばかりなのだろうか。制服を着た自衛官を見かけることがない国民が自衛隊に親しみを抱かないのも、制服の自衛官が身近にいないからだ。これでは、 少年男女が自衛隊に憧れるはずがない。
日本が過保護のペットのような国に、なってしまったのだろうか。ジャングルのような世界のなかで、ひとり歩きしたら、すぐに肉食獣の餌食となってしまおう。

◆言葉のすり替えで誤魔化した現実

日本国民は「連合国」を「国際連合」、「敗戦」を「終戦」、「占領軍」を「進駐軍」と呼び替えるように、現実を誤魔化して、それがあたかも現実であるように、すり替えることに、長けている。

明治に入るまでは、四つ足―獣肉を食べることが、許されなかった。そこで、猪を「山(やま)鯨(くじら)」と呼んで賞味し、兎が鳥だということにして、「一羽、二羽」と数えて、自分を騙した。
江戸時代の遊里だった吉原は、徳川幕府が江戸を開いた時に、遊女を集めた売春地区―郭(くるわ)としてつくったが、葦が群生していたことから、もとの地名が「葦原」と呼ばれていた。
売春という悪事を働くのだから、じつにふさわしい地名だったが、それでは「悪(あ)し原」に通じてしまうから、吉原に改めた。
いまでも、宴席が終わる時に、「これでお開きにします」という。「開く」といえば、開宴を意味しているはずだ。だが、「終わる」というと縁起が悪いので、験を担いでそういうのだ。

このような例は、多い。猪を山に棲んでいる鯨に見立てたり、僧侶が酒を「般若湯」と呼んで、嗜んだり、獣肉を口にしたり、酒を飲むために、言葉を擦り替えたり、験を担いでいるのなら、害がないからよい。
しかし、いい替えることによって、現実から目を塞ぐことになると、躓いて、怪我することになってしまう。
本来、自衛隊は軍である。それなのに、軍を「自衛隊」といい替えているのは、仏僧が酒を「般若湯」だと呼ぶのと変わりがないといって、笑っていられない。
自衛隊と呼ぶことによって、軍の紛い物にして、それでよしとしているのでは、国が危ない。

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