アマゾン率いる「もう1人のジェフ」、戦略を語る

アマゾン率いる「もう1人のジェフ」、戦略を語る

  • WSJ日本版
  • 更新日:2017/10/11
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アマゾン・ドット・コムのワールドワイドコンシューマー部門最高経営責任者(CEO)ジェフ・ウィルク氏は、どんなに懸命に働こうとも会社で2番目に重要な「ジェフ」でしかない。

それでもウィルク氏が統括する範囲は小売り、オペレーション、テクノロジー、マーケットプレイス(仮想モールサービス)とその出品サービスをはじめ多岐にわたる。社暦18年のベテラン社員であるウィルク氏の役割の1つは、顧客の要望やニーズに徹底的にこだわることだ。

ウィルク氏は入社当初は製造業界で培った専門知識を生かし、倉庫の運営効率化に携わった。それが結果的に、有料サービス「プライム」の会員を対象にした注文から2日間での配送を可能にした。プリンストン大学で化学エンジニアリングの学位を取り、マサチューセッツ工科大学(MIT)で経営学修士(MBA)を取得した同氏は、従業員の行動指針を示した「リーダーシッププリンシプル」も作成した。

同氏が現在取り組むのはアマゾンが今年買収した高級スーパーマーケットチェーン、ホールフーズ・マーケットとその従業員8万7000人の統合だ。また、北米に立ち上げる第2本社の候補地探しにも携わっている。

同氏は毎年、第4四半期になるとフランネルのシャツを着用する。倉庫でクリスマス商戦の注文をさばく25万人以上の従業員に対し、結束を示すことが目的だ。フランネルシャツ姿のウィルク氏に、ホールフーズに関する計画や本社を2分割する理由、ジェフ・ベゾスCEOと意見が対立したときのことなどについて聞いた。

主なやり取りは以下の通り。

――ホールフーズの買収や新本社の設置など、会社を変える大きな決断をどのように下しているのか

それが後戻りできることであるなら、イチかバチかやってみる方がいい。ドアを出てみて、その向こうの景色が気に入らなければ、また戻ってくればいい。決断が後で覆せないものであれば、多くの時間をかけて考慮する。決断がもたらすメリットについて議論する。

――アマゾンは社員に大失敗するよう促している。自身の大失敗について聞かせてほしい

キンドルをやるかどうか決断するにあたり、ジェフ(ベゾス氏)が自らのアイデアを取締役会に提示した。私は当時「われわれは小売り事業を築いたソフトウエア企業であり、ハードウエアについては何も知らない」と考えていた。私自身はハードウエアを作る企業の出身だったため、それがいかに複雑かを知っていた。「これ(キンドル)は手を出すべきではない」と私は言った。利益を出すのは難しい、発売日に間に合わないかもしれないなどと予想した。予想の多くは結局、当たっていた。しかし、それは重要ではなかった。ジェフは当時こう言った。「これが顧客にとって正しいことなんだ」。私は同意しなかったが、そのようにして良かったと思っている。

――ベゾス氏はあとで何と言ったのか

いったん決断してしまえば、次に進むだけだ。顧客のために見いだすべきチャンスを数えればきりがない。誰もが何度も間違いを犯すものだ。

――ホールフーズは地域に根ざした自由な社風で知られている。この新子会社を統合するにあたり、アマゾンは何を変えるべきか

われわれは過去何年にもわたって多くの買収を行っており、うまくいっている企業文化については尊重するよう最大限努めている。リソースやアイデア、アマゾンが構築したIT(情報技術)サービスなど、ホールフーズのような子会社を手助けできる方法はいくつかある。しかし、彼らの企業文化を変えたくはない。

――ホールフーズの慣行で採り入れたいと思うものは

実店舗の仕組みについて学べればと考えている。彼らは非常に大きな全米規模の食品や農産物サプライチェーンについて多くを知っている。食料品を効率良く高い質で顧客に配送する方法を彼らと共に勉強していきたい。

――アマゾンの企業文化は誰にでも合うわけではない。採用にあたって、その点をどう吟味するのか

面接では「リーダーシッププリンシプル」を使用し、候補者が会社に合うかどうかを評価している。顧客のための最適化、あるいは競合を出し抜く方法を決断すべき状況はたくさんある。競合に注意を払いたいが、われわれがこだわるべきは顧客だ。競合にばかり注意が向いているように思えたら、恐らくその人はアマゾンにはあまり合わないだろう。

――アマゾンは今や小売業者であり、クラウドサービス提供会社でもあり、映画制作会社でもあり、端末開発会社でもあり、宅配業者でもあり、テクノロジーの大手企業でもある。米国のオンライン消費の推定40%をアマゾンでの消費が占めている。アマゾンが大きくなり過ぎているとの意見については、どう思うか

それは非常に多様かつ水平に事業を列挙したただけにすぎない。横幅と深さには大きな違いがある。いま挙がった事業はどれも競争がし烈だ。世界の小売市場に占める当社のシェアは1%にも満たない。われわれの仕事は、そうした各分野で顧客のために発明し続けていくことだと考えている。うまく発明し続けていれば、顧客はわれわれを選び、われわれは勝ち組の一角を占めることができるだろう。それらどの分野もフットボールの試合のように勝者が1人と決まっているわけではない。

――本社を2つに分ける理由は

シアトルには多くの従業員がいる。実は向こう1年でここを200万平方フィート(18万6000平方メートル)拡張し、6000人増員する見込みだ。しかし成長を続けるには、スペースを確保することが重要だと考えている。また、そうすることで従業員が生活場所を選ぶチャンスを多様化できる。

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