日本でも爆売れ『反日種族主義』の著者が語る「韓国文化の恥ずかしい問題」

日本でも爆売れ『反日種族主義』の著者が語る「韓国文化の恥ずかしい問題」

  • 文春オンライン
  • 更新日:2019/11/14
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「反日種族主義~日韓危機の根源」李栄薫 編著

慰安婦、徴用工における韓国反日歴史観のウソを立証した画期的な「反日種族主義」の日本語版「反日種族主義~日韓危機の根源」が日本発売されるやベストセラーのトップにおどり出た。これまで自国を支配してきた歴史観を正面から否定する挑発的な論であるにも関わらず韓国で11万部という異例のベストセラーとなり、いまも売れ続けている。著者で執筆グループのリーダー、李栄薫氏(前ソウル大教授)は韓国の学会で最も政治的な歴史認識戦争に知力を尽くして挑みかかった人物だ。李氏に韓国人、そして日本人に問いかけたかったことを聞いた。

【写真】韓国の街角に貼られているポスターには「NO安倍! 強制徴用を謝罪して賠償せよ」の文字が

◆◆◆

――韓国で「反日種族主義」は7月に発売されたばかりですが、日本語版を出される意味はどこにあるのでしょう。

李 いま普通の日本人は、韓国人はだいたい皆が反日と考えていると思います。実際は韓国にはそうではない国民が多いことを伝えたい。それが日本語版の意義です。韓国人がどのような歴史的矛盾の病理にかかって苦しんでいるか、それに関してもっと日本人が理解してくれたらと思います。いろいろな問題が生じても、もっと合理的な解決ができるようになるのではと思います。

韓国人は自分自身がどのような民族であるかを、もっと国際的に客観化することが必要です。「韓国人は嘘つきである」というのは韓国人にとって気分がよくないかもしれないが、それを知ることには意味があります。気分はよくないはずですが、ハハハ。しかし韓国人はこれを克服する必要があります。

この本は、日本のいわゆる左派とか進歩的知識人に反省を促す意味もあります。いままで慰安婦、徴用工の問題は、日本の左派と韓国の左派が連携してきました。それは結果的に両国の関係を悪化させる役割しかなかったのです。左派は連携しますね、日本の左派は政治的です。彼らの説は日韓関係を悪化させるのに非常に役に立ちました。

――韓国の民族史観を引っ張ってきたのは韓国の歴史学者自身でした。ですから日韓歴史問題の根っこは深いのだと思います。これまでも韓国の学者で既存の対日史観を批判したために社会的な制裁を受けた方々がおられます。韓国社会から受け入れられず「親日派」として激しい指弾を受けました。しかし、今回の「反日種族主義」はベストセラーになりました。なぜでしょう。

李 私たちの本は韓国の政治に危機感を持っている国民に受け入れられました。マジョリティではないが、我々に対する支持率は30~40%ぐらいだろうと思います。いずれにしても意外に数多い人たちが、危機感を持っているのだと思います。この本がベストセラーになったのは、ある意味では歴史的な現象だと思います。反発はまだまだ生じるでしょうが、われわれはそれに対応していきます。この論争を持続させて、韓国人の歴史認識を問題にしていきます。あくまでも私は、研究者として希望を持っています。

――この本のなかで、慰安婦問題が反日種族主義の核心部分だと主張なさっています。その理由をお聞かせください。

李 私は韓国で韓国古文書学会を創立し、会長をつとめました。2012年、韓国学事業研究所の古文書調査チームから連絡がありました。ある日、チームのメンバーが「京畿道坡州(パジュ)の個人博物館を調査するが、一緒に行きましょう。慰安婦の資料があるらしい」と言うので、すぐに「私もいくよ」といいました。で、はじめて朴治根(パクチグン)という人物の日記をみつけました。1916年から57年まで約40年間の日記帳でした。朴という人はシンガポールやビルマ(現ミャンマー)で慰安所を経営していました。

1942年から44年の日記は慰安所に関するものでした。戦争のために朴さんは大邱で旅館を運営しましたが、それは慰安所でした。そして妻と一緒に20人の若い女性をつれてビルマに行って2年間、慰安所を経営しました。私は日記を現代語に翻訳しました。そして落星垈経済研究所の研究員たちと1年間にわたって慰安婦に関するゼミを開いて研究しました。

日記をみれば、慰安婦たちは自分の意志で仕事をやめて廃業し自分の故郷に帰っていました。それ以前、研究者たちは、「慰安婦は奴隷で自由に戻ることはできない」としていました。日本の吉見義明の説でした。私もその説に立っていました。しかし、私の発掘した資料では慰安婦たちは自由に行ったり来たりしていました。慰安婦の業者たちは女性を募集するのに苦労していました。インドネシアやスマトラ(現インドネシア)からも女性たちが来ました。日記は具体的でした。性奴隷などではない、戻る自由、戻る権利もありました。そのような女性たちをどうして奴隷といえますか。

あとは文玉珠(ムンオクチュ)さん。文さんには回顧録があります。回顧録まであるのに文玉珠さんは奴隷と規定された。これもウソです。(文玉珠は極貧の育ちから慰安婦となり、ビルマ戦線の慰安所で働いた。闊達な女性で日本人の恋人もでき大金も稼いだ。のちに韓国挺身隊問題対策協議会(2018年、日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯に名称変更)に説得され慰安婦として名乗り出たことで韓国社会から蔑視されて失意のなかで死亡。回顧録は失意のなかで日本人作家の森川万智子に自身の体験を語り、出版された)

朴治根の日記を発掘して翻訳しながら、慰安婦たちが小規模な営業者である、自分が営業の主体であったことが分かりました。慰安婦は債務を返済すると祖国に戻ることができると。私の立場は変わりました。慰安婦たちは、性奴隷などではなかった。

ソウル大の図書館には1964年から1967年までの韓国の至る所にいた米軍慰安婦の調査論文があります。そのほかに民間の慰安婦に関する修士論文もいくつかあります。これらも全部集めました。彼女たちの悲惨なありかたは日本軍慰安婦より厳しく悲しかった。(調査で)女性たちに日本軍慰安婦と米軍慰安婦のどちらがいいかときいたら、日本軍慰安婦といいます。日本軍慰安婦は何より暴力から保護されました。所得水準もいいです。重要なのは妊娠から保護されました。それは重要なことです。米軍慰安婦は流産を強要されました。出産した子供たちは米国に移送されました。毎年1000人ぐらいの赤ちゃんが米国に移送されて行ったのでした。

この事実を知って私は本当にびっくりして怒りがこみ上げました。自分の歴史のなかにこのような悲惨な悲しい歴史を持っているのに、どうして28年間も日本軍慰安婦だけを外交問題にして両国関係を悪化させてきたのか。自分の内部には目を閉じて、敵対的な種族に対して批判するという均衡のない立場です。それが種族主義なのです。本当に、恥ずかしい問題なのです。

――韓国挺身隊問題対策協議会の運動が種族主義を拡大させたのではないですか。

李 彼らは基本的に政治団体です。左派の政治団体で対立関係を作ることが目的なのです。このようなめちゃくちゃな運動体に、韓国政府は何もすることができなかった。韓国政府の外交権より強い団体です。このような政府は、政府ではありません。慰安婦問題で韓国政府は内部から解体されたと思います。私はそのことを韓国の国民に伝えたかったのです。

――現在の日韓関係の悪化は慰安婦問題、徴用工問題が核心部分です。こうした政治問題に学者としてできることとは何でしょう。

李 私はこの2つの問題で韓国政府が内部から解体されたと思っています。そのうえでさらに、この2つの問題によって韓国人の「種族主義」の歴史認識はどんどん強くなってきました。そして文在寅政権が成立したのです。危ない、とおもいます。私はあくまで研究者ですから研究者として、その危険性を国民に告発するだけです。それ以上、私にはできないです、ハハハ。

――それでも経済史学者として韓国の歴史認識を批判する先頭に立っておられます。歴史観の偽装や創作だけでなく、その背景にある「反日種族主義」についてはどのような考察から思いつかれ、さらに発展的に展開されたのですか。

李 私は2016年、自書の「韓国経済史」を完成しました。構想から執筆まで約14年かかりました。古代史から全般的に検討して書き直しました。私が研究者として誇りをもっている本ですが、この過程で、今までの韓国史に関する通説と私が新しく再編した韓国史がいかに大きな差を持っているか思い知るようになりました。この格差は何かと。何か根本的な問題があると。私の学問は近代的な実証に基づいています。しかし、これまでの韓国史(歴史認識)には根本的な問題があるとの疑問を抱くようになりました。

ただ単純に保守とか進歩とか左右とかではない。また大韓民国を否定するとか、そのような政治的な問題ではなく、もっと根本的な文化的な問題があることに気がついたんです。それで探しあてたのが種族主義でした。われわれ韓国人の心のなかですね、流れている心性とか文化として常軌的に流れているものは何だろうか。それが種族主義でした。

一種のシャーマニズム、宗教的な流れが強い集団的な心性なのです。民族主義とか反日感性とか、いろいろな歴史の認識を背景とする文化があった。それが種族主義だと気づいたのです。2、3年前のことです。我々韓国人の集団的な心性を分析するのは非常に意味があると思いました。そのときからこの本を構想し始めました。

――種族主義を背景に韓国の歴史認識を考えるということですね。

李 そうですね、すべての国民は歴史的文化的に集団の心性があります。いままではそこまで韓国の学者は気がついたことがないです。日本もそのような心性があると思うのです。

――あると思います。天皇制、神道などには日本人の心性があると思います。

李 私は経済史学者ですが、考察の幅を広くしました。これは普通の民族主義ではなく一種の病理的な精神現象としての種族主義だ。そのように思うようになりました。そして具体的な説明をしたのがこの本なのです。

予想通り激しい反発がありますが、それは当然のことだと思います。自分の文化の弱点とか、恥ずかしい点をそのまま指摘したのです。しかし私は、韓国人がそれを乗り越えなければならない、それは先進的な市民とか自由人になるために、世界人になるために必要なことだと思っているのです。

久保田るり子 産経新聞編集局編集委員 國學院大學客員教授

成蹊大学経済学部卒、産経新聞入社後、1987年韓国・延世大学留学。1995年防衛省防衛研究所一般課程修了。外信部次長、ソウル支局特派員、外信部編集委員、政治部編集委員を経て現職。編著書に「金日成の秘密教示」(扶桑社)「金正日を告発する―黄長燁の語る朝鮮半島の実相」(産経新聞出版)

(久保田 るり子,李栄薫)

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