文在寅の「無謀な論理」で、韓国はもう国際社会で「孤立化」している

文在寅の「無謀な論理」で、韓国はもう国際社会で「孤立化」している

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2019/08/26
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文在寅が踏み外す「国際ルール」

韓国はなぜ、いつまでも日本に謝まれと要求し、損害を償えと要求するのだろう。

国際法の原則に反し、国際常識に反している。そのあまりに「異常」な実態は、欧米など国際社会でも、だんだん認識されるようになりつつある。

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でも、韓国側はたぶん、常識外れな要求を繰り返していると、思っていないに違いない。むしろ、断固「正しい」主張をしていると信じているはずだ。

どうしてそうなるのか。韓国がこれまでも、そして文在寅政権になってから輪をかけて、国際社会のルールを逸脱し、感情的な国民世論のままにふるまってきたからだ。
韓国が、これまでの考え方と行動を改めること。問題の解決は、それにつきる。

このことを、日本国民は、心の底から理解する必要がある。ふらついてはならない。

そこで、戦争と賠償の関係について、じっくり考えてみよう。

戦争は、破壊活動である。人びとは巻き添えになって、人命が奪われたり、身体を損傷したり、財産が奪われたり壊されたりする。人類は歴史このかた、こうした経験をしてきた。そして、慣習法ができあがった。この慣習は、世界共通だ。

すなわち、「戦争によって生じた損害は、補償されない」である。

国際法の原則

あんまりだ、と思うかもしれない。でも第一に、被害が大きすぎて、補償し切れない。第二に、補償のことを考えていたら、戦争に集中できない。第三に、戦争するのは政府だから、裁判に訴えようにも、政府が取り合わない。

その昔から、戦争被害は泣き寝入りするしかなかったのである。

以上は、民間人が被害を受ける場合の話である。平時なら、誰かが誰かに損害を与えれば、賠償の義務が生じる。戦時には、その限りでない。戦争は、通常の民事法の原則が適用されない、除外事例である。

この原則は、近代戦でも生きている。空襲で家が焼かれようと、戦車が畑を踏み荒らそうと、誰も補償してくれない。それが敵軍であっても、味方の軍であっても。戦争は、国民全体が担う。その被害も、国民がそれぞれの場所で耐え忍ぶのである。

いっぽう、戦争の当事者はしばしば、利益をえたり、賠償を受け取ったりした。

領土を獲得する。敵の財産を戦利品として獲得する。敗れた敵国の住民を奴隷にしてしまう。賠償金を受け取る。戦争の費用を補ってあまりある場合もあった。

第一次世界大戦でも、この慣行は生きていた。敗戦国のドイツは、ベルサイユ条約で、領土を縮小され、重い賠償を課せられた。

これが、ドイツ国民に深い恨みを残した。そして、ナチスの台頭と、第二次世界大戦を招いた。この反省から、第二次世界大戦の戦後処理では、賠償を重視しない考え方が主流になった。

日本が勝った過去の戦争は、それより前だったので、賠償が当たり前だった。

日清戦争では、下関条約で、清国が台湾と遼東半島を割譲し、賠償金を支払った。三国干渉の横槍が入って、遼東半島は返却した。台湾のほうは、国際社会が承認した。

日露戦争では、勝利したものの、ポーツマス条約で、大きな戦果をえられなかった。そのため国民の不満が爆発した。

戦争は、国民の犠牲がなければ、戦えない。戦争に勝っても戦果が少ないと、満足できない。まして、犠牲を払ったのに敗戦となると、大きな精神的打撃と混乱に見舞われる。そんなときでも政府は、国民の心理にひきずられないで、国際法の原則に従って行動しなければならない。

第二次世界大戦の「日本の場合」

それでは、日本が敗れた第二次世界大戦の補償は、どう解決されたのか。

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1951年9月調印されたサンフランシスコ講和条約にはこうある。《この条約に別段の定がある場合を除き、連合国は、連合国のすべての賠償請求権…(中略)…を放棄する。》(14条(V)b)

同時に台湾と結ばれた日華平和条約には、こうある。中華民国は、《日本国民に対する寛厚と善意の表徴として、サン・フランシスコ条約第十四条(a)1に基き日本国が提供すべき役務の利益を自発的に放棄する。》(同議定書1(b))これは、蒋介石が「以徳報怨」で寛大に臨んだため、といわれている。

1972年の日中共同声明の五には、こうある。《中華人民共和国政府は、中日両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する。》これは、日華平和条約にならったものという。実際には、賠償にあたる経済協力が行なわれた。

1956年の日ソ共同宣言には、こうある。《ソヴィエト社会主義共和国連邦は,日本国に対し一切の賠償請求権を放棄する。》

また、日本とソ連は、1945年8月9日以来の《戦争の結果として生じたそれぞれの国,その団体及び国民のそれぞれ他方の国,その団体及び国民に対するすべての請求権を,相互に,放棄する。》国家賠償と個人請求権の、両方を放棄している。

要するに、戦勝国は足並みを揃えて、日本に対する賠償や請求権を放棄している。

それはなぜか。

「日韓基本条約」に書かれていること

第一に、戦勝国は、勝利したので、態度に余裕があった。第二に、巨額な賠償要求は敗戦国に不満を残し、再度の戦争を招く、という教訓があった。第三に、日本は経済が壊滅していて、賠償の能力がないと思われた。

それにしても、これらの条約が、過去の慣例に比べて寛大で、敗戦国への恩恵であったことは間違いない。

そのほか、東南アジアの国々は、戦争当時、交戦国の植民地だった。そのあと順次、独立した。日本はそれらの国々に対し、個別に、賠償にあたる経済協力を行なったことも、忘れてはならない。

それでは、日韓基本条約には、どうあるのか。

韓国は、交戦国でもないし、戦勝国でもない。なので、平和条約ではなく、基本条約が結ばれた。それでもこの条約には、日本の敗戦と、大日本帝国の解体を受けた、戦後処理の側面がある。

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賠償や補償について定めているのは、同条約付属の、韓国との請求権・経済協力協定である。

それによれば、《両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、…(中略)…完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。》(第二条1)とある。

要するに、韓国と日本のあいだに、この条約以降、賠償や個人請求権は、一切存在しなくなった。はっきりそう書いてあり、それ以外に解釈のしようがない。

日本は韓国に手紙を出したが…

なお、同協定には、念のため、将来、日本と韓国でこの条約の理解が異なった場合の、仲裁委員会の定めがある。

解決できない紛争が生じた場合、一方の政府から他方の政府に、仲裁を要求する公文書が届いてから三十日以内に、《各締約国政府が任命する各一人の仲裁委員と、こうして選定された二人の仲裁委員が当該期間の後の三十日の期間内に合意する第三の仲裁委員又は当該期間内にその二人の仲裁委員が合意する第三国の政府が指名する第三の仲裁委員との三人の仲裁委員からなる仲裁委員会に決定のため付託するものとする。》(第三条2)

要するに、日韓両国の一名ずつの仲裁委員と、第三国の仲裁委員の三名で、仲裁委員会をつくります、である。

さらに念を入れて、つぎの規定もある。

《いずれか一方の締約国の政府が当該期間内に仲裁委員を任命しなかつたとき、又は第三の仲裁委員若しくは第三国について当該期間内に合意されなかつたときは、仲裁委員会は、両締約国政府のそれぞれが三十日の期間内に選定する国の政府が指名する各一人の仲裁委員とそれらの政府が協議により決定する第三国の政府が指名する第三の仲裁委員をもつて構成されるものとする。》(第三条3)

要するに、どちらかの国がへそを曲げて仲裁委員を出さない場合、第三国に仲裁委員を決めてもらって、仲裁委員会をスタートさせます、である。

そして、両国政府は、この《仲裁委員会の決定に服するものとする。》(第三条4)

日本は今回、徴用工の件そのほかで、仲裁への移行を要求する手紙を、韓国に出した。韓国は、応じなかった。せっかく念を入れた規定があっても、なんにもならなかった。

韓国が、こうした態度なのは、いわゆる慰安婦の問題や、徴用工の問題など、日本に非難すべき点があり、それを追及するのが正義だと考えているためだろう。

「個人請求権」はどうすべきか…その答え

ではそもそも、平和条約や基本条約で、個人請求権を放棄させるのは正しいのか。

戦争の最中には、さまざまな人権問題が起こる。平和条約は、戦争の当事者(国家)の責任を確定し、戦後の国際秩序を構築するものである。さまざまな人権問題のすべてに目を配ることはできない。

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典型的な例は、ユダヤ人虐殺(ホロコースト)であろう。

ユダヤ人は、ニュルンベルク法によって、ドイツ国籍があっても市民権を奪われた。そして、域外(ポーランド)に移送された。ポーランドやそのほかの占領地域にも、大勢のユダヤ人がいた。収容所に送られ、ガス室で殺害された。

これは、戦争のさなかに起こったが、戦争の一部ではない。国防軍ではなく、ナチスの親衛隊が実行した、犯罪行為である。このことが戦後、明るみに出た。

ホロコーストの被害を受けた人びとには、請求権があるだろう。請求の相手は、ナチス・ドイツだろうが、国家そのものが消滅した。解決は、困難な問題となった。

原爆は、やや異なるが、もうひとつの例である。

原爆投下は、戦争の一部である。ただ、原爆は前例のない出来事で、あまりに悲惨で、後遺症も残る。被爆者に請求権はあるのだろうか。あったとしてもサンフランシスコ講和条約によって、アメリカにそれを求める道は閉ざされている。

そこで日本政府は、被爆者援護法をつくって、被爆者を個別に救済することにした。被爆者手帳を交付し、医療や生活の支援をする。朝鮮半島の人びとや戦争捕虜も被爆した。これらの人びとにも、被爆手帳を交付するようになった。

通常の戦後処理が予想していない出来事がみつかれば、平和条約・基本条約の枠外で、解決するしかない。

なんでもかんでも「無効」だという文在寅政権

いわゆる慰安婦問題は、こうしたケースだ。

世界的に女性の人権が重視されるようになって、この問題に注目が集まった。韓国は、政府間交渉、ついで仲裁を求めた。日本は、日韓基本条約で解決ずみ、という原則で臨んだ。結局、日韓基本条約の枠組みの外で、解決をはかる以外になかった。

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そこで、日本政府の出資と民間の基金をもとにして、アジア女性基金が設けられた。基金は、韓国の慰安婦の人びとに支援を行なった。しかし、韓国の世論はこれを歓迎せず、韓国政府も支持しなくなった。基金は2007年に解散した。

問題は蒸し返された。朴槿恵政権で日韓の協議が進み、2015年12月、慰安婦問題日韓合意に達した。岸田外相と尹外相が共同記者会見を行なって、《最終的かつ不可逆な合意》に至った。

日本政府が10億円を拠出し、韓国政府が「和解・癒やし財団」を設け、元慰安婦の人びとに補償を行なうとした。しかし、この合意もほごにされ、2018年11月、文在寅政権は財団を解散してしまった。

文在寅政権は、慰安婦問題日韓合意は、朴槿恵政権と安倍政権による、法的拘束力のない「政治的合意」だとする。日韓基本条約も、請求権の放棄を求めた部分は、無効だという立場である。それどころか、1910年の日韓併合条約さえも、無効だとする立場だ。

ちなみに、日韓併合条約が無効だとは、文政権に限らず、韓国の歴代政権の一貫した立場である。気持はわかるが、議論として無理がある。

日韓基本条約を結ぶ際、この点が問題になり、日韓併合条約は《もはや無効であることが確認される》(第2条)という表現に落ち着いた。日本は、「もはや」無効、すなわちかつては、合法で有効だったとの立場だ。なお日韓基本条約は、英文が基本で、already null and void としっかり書いてある。先人の苦労がしのばれる。

韓国によると、日韓併合条約は無効で、日本の植民地統治は不法である。よって、徴用工は、強制による苦役であって、その補償を求めることは無条件に正義である。このような論理によって、繰り返し繰り返し、日本に謝罪と補償を求めているのだ。

これを、どう考えればよいか。

「異常すぎる考え方」とは戦う必要がある

主張の当否以前に、交渉の仕方と考え方が、国際法の原則を踏み外している。世界中でこんなやり方をする国を、ほかにみつけるのはむずかしい。

それがどんなに異常であるか、たとえるとこんな具合だ。

あなたは学生で、アパートを借りる契約をした。月額7万円で、陽あたりのよい201号室だ。ところが入居して3カ月すると、家主がやってきて、こう言う。あなたのお父さんと私の妻が小学校の同級生で、昔さんざんイジメられたんです。謝ってもらってもいない。だから陽あたりの悪い104号室に、すぐ移りなさい。

エッ、とあなたは思う。そんなこと、契約と関係ないじゃないか。いったん約束したのだから、201号室に住む権利があるはずだ。

契約が契約である利点は、いったん合意が成立すれば、ほかの事情がどうあろうと、あとからどんな事情が生じようと、契約が絶対のものとして、双方を拘束することだ。

このように考えて、行動しなければ、近代社会ではない。国際政治を営むこともできない。議論の余地はない。数学で言えば、公理のようなものだ。

韓国は、蒸し返すべきでないことがらを、蒸し返している。

本人はそれが、正義のつもりなのかもしれない。けれども、国際法の原則は、合意された条約は、覆してはならない、ということだ。この原則が、国際社会の正義でもある。個々人が勝手に思い描く正義で、国際社会を動かそうとしてはいけないのである。

条約よりも、自分たちの正義が優先する。幼稚な考え方だが、危険な考え方でもある。国際社会を守るためにも、こういう考え方と戦わなければならない。

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