エスカレートする経済摩擦、米中貿易戦争へ突入か

エスカレートする経済摩擦、米中貿易戦争へ突入か

  • JBpress
  • 更新日:2018/02/14
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ホワイトハウスの閣議室で議論に参加したドナルド・トランプ米大統領(2018年2月6日撮影)。(c)AFP PHOTO / MANDEL NGAN〔AFPBB News

米国の首都ワシントンで「貿易戦争」という物騒な言葉が頻繁に語られるようになった。

トランプ大統領がいよいよ中国に対して貿易戦争を挑む、という観測からである。実際にトランプ政権は中国の貿易のあり方を激しく非難して、懲罰的な行動をとり始めた。

米国はレーガン政権下の1980年代にも貿易戦争と呼べる強硬な言動をとっている。この時の相手は日本だった。このとき米国は、日本側の対米経済攻勢に激しい反発の姿勢をみせた。ただし、安全保障面では日本は同盟国だった。その同盟の絆が、貿易面での衝突を緩和するうえで大きな役割を果たした。

トランプ政権は日本や韓国との貿易不均衡も指摘している。だが、中国は日韓と異なり安保面で米国と競合し対立する状態にある。しかも貿易面での米中両国のやり取りの規模は、80年代の日米貿易よりははるかに巨大である。そのため、米中貿易戦争が本格的に始まるとなると、米国経済にも世界経済全体にも、その衝撃波は激しくなることが予想され、新たな国際危機さえ生まれかねない。

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太陽光パネルの輸入関税を引き上げ

トランプ政権による経済面での対中強硬策の1つが、1月22日に発表した中国製の太陽光パネルなどの輸入関税引き上げである。

中国は近年、巨額の太陽光パネルを米国に輸出してきたが、トランプ政権は太陽光パネルの生産や輸出に対する中国政府の補助が不公正だと訴えた。米国への輸出価格も不当に安いダンピングだと非難してきた。その結果、中国製の太陽光パネルに新たに最高30%までの懲罰的な関税をかけると発表したのである。

トランプ政権は同時に、家庭用洗濯機の中国や韓国からの輸入にも不当な点があるとして、関税を最高50%にまで引き上げるという措置を発表した。さらにトランプ政権は、中国から輸入されている鉄鋼とアルミニウムに対しても、不当廉価の調査や輸入量規制、関税引き上げを検討していることを明らかにした。

トランプ大統領は1月18日に、中国による偽造品製造、特許盗用などの知的所有権侵害行為を提起し、米国政府として近く対抗措置をとる方針を再強調している。2017年8月にトランプ大統領は、中国の知的所有権侵害について正式に調査を始めるよう米通商代表部に命じていた。今回の発言は、その調査結果に基づいて中国政府への経済制裁的な措置をいよいよ実行に移すという意向の表明である。

中国側が米国の動きに“報復”

そもそもトランプ大統領は、2016年の大統領選挙中から貿易面で厳しく中国を非難し、厳しい姿勢をとっていた。「中国は不正な経済や貿易の慣行により米国から巨額の不当利益を得ている」という趣旨の糾弾である

ただし大統領就任直後からは、北朝鮮の核武装阻止で中国の協力を求めたため、貿易面での中国糾弾は抑制するようになった。ところが中国が北朝鮮問題で積極的な対米協力はしないことが明白となった昨年夏以降、貿易面での本来の中国非難を再び表面に出すようになっていた。

2017年11月のアジア諸国歴訪でも、トランプ大統領は一連の演説で、経済面で許せない対象として「不正な貿易慣行、略奪的な国家産業政策、国有、国営企業の不当な補助」などを挙げて中国非難を鋭利にしていた。その背景には、米中貿易で中国の黒字が膨張を続け、年間3000億ドル以上にも達するという事態の悪化があった。

米国のこうした強硬姿勢に中国はどう対応するのか。

中国は、米国の巨大な市場への輸出拡大によって自国経済全体を豊かにしてきた。その事実を踏まえれば、米国との間で全面的な貿易戦争に突入することには当然ためらいがあろう。

だが、かつての日米経済摩擦の際に、日本側が米国との安全保障上の絆を守るため、結局は米国側の貿易面の要求を受け入れて大幅に譲歩をした経緯と比べると、中国にはその種の弱みはない。

この点でいま米側が注視するのは、中国政府が2月4日に発表した米国産のモロコシ類穀物に対する特別調査措置である。中国商務省は「米国から中国に大量に輸出されるモロコシ類穀物には不当廉売や政府補助の疑いがあり、懲罰的な相殺関税をかけることを検討し始めた」と発表したのだ。

この措置は、明らかに米国側の動きへの報復、あるいは警告だといえよう。米中間の貿易戦争は決して米国側だけが攻撃をかけているのではなく、中国側も対抗措置をとる構えが示されたのである。

米中間で貿易戦争が展開された場合、米国側も当然被害を受けることが予測される。中国への輸出の減少だけでなく、廉価な中国製品の輸入が減れば米側の国内消費が減り、インフレが助長されることはすでに明確である。同時に、世界第1と第2の経済大国の衝突は全世界の貿易の抑制につながる恐れもあり、グローバルな負の影響も予測されるのである。

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