マックはV字回復で無敵状態の一方、モスは6年間ずっと深刻な客離れ抜け出せない理由

マックはV字回復で無敵状態の一方、モスは6年間ずっと深刻な客離れ抜け出せない理由

  • Business Journal
  • 更新日:2019/06/25
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モスバーガーの客離れが止まらない。5月の既存店客数は前年同月比1.6%減だった。4月が4.8%減で、3月こそ前年を上回ったものの、2月までは17カ月連続で前年を下回っている。通期ベースでは、2019年3月期が前期比6.7%減で6年連続のマイナスだ。それに合わせて既存店売上高も低調で、19年3月期は7.5%減と大幅な減収となっている。

モスは競争激化で苦戦を強いられているが、昨年8月に長野県の店舗で起きた食中毒事故が追い打ちをかけた。これによりイメージが悪化し客足が遠のくようになったが、その傷がいまだに癒えていない状況だ。

運営会社のモスフードサービスの直近本決算は深刻なものとなった。19年3月期の連結決算は売上高が前期比7.2%減の662億円、本業のもうけを示す営業利益は86.1%減の5億円とそれぞれ大きく落ち込んだ。最終的なもうけを示す純損益は9億円の赤字(前期は23億円の黒字)に陥った。食中毒事故の影響によるフランチャイズ(FC)加盟店の収益減少を補填するためのFC営業補償金11億円を計上したことが響いた。

こうしてモスバーガーがもたついている間に、最大のライバルであるマクドナルドは着実に業績を伸ばしている。5月の既存店売上高は前年同月比3.1%増で42カ月連続のプラスとなった。14年に発覚した鶏肉偽装問題で業績は急降下したが、15年末からは業績は上向くようになり、直近本決算の18年12月期の全店売上高(直営店舗とFC店舗の合計売上高)は5242億円と鶏肉問題前の水準(13年12月期5044億円)を上回っている。

マクドナルドが復活できた理由はいくつか挙げられるが、特に今回強調したいのは「マーケティング」と「店舗改装」だ。

マクドナルドはマーケティングで成果を出すことに成功した。「マクドナルド総選挙」と名付けた商品の人気投票や、「マック」と「マクド」のどちらのほうが愛着があるのかを決めるキャンペーンなど、意外性のある施策を次々と打ち出していったが、その多くで話題を呼ぶことに成功した。

店舗改装を進めたことも大きい。鶏肉問題で悪化した業績を回復させるため、マクドナルドは15年に「ビジネスリカバリープラン」を発表、14年に25%にとどまっていた「モダン」な店舗の割合を18年に90%にする目標を掲げた。この計画に沿って年間約500店を改装し、計画通り18年に90%を達成した。このことが収益向上に貢献している。

●モス、復活のための施策

マクドナルドは復活に向けてほかにもさまざまな施策を講じ成果を出してきたが、今回なぜ「マーケティング」と「店舗改装」に焦点を当てたかというと、モスも復活に向けてマーケティングと店舗改装に力を入れていく考えを示しているからだ。

モスは5月10日、19~21年度の中期経営計画を発表、「モスバーガーの復活と新生」を目標に掲げ、「マーケティングの見直し」と「店舗改装の推進」を実施していく考えを示している。

マーケティングに関しては、もちろん、これまで手をこまぬいていたわけではない。代表的なものとしては「ご当地メニュー」の打ち出しが挙げられる。02年に和歌山県産のゆずを使った「ゆずドリンク」を店舗限定で販売。10年には「モス日本全国うまいものめぐり」と銘打ち、全国を5つのエリアに分けて地元の素材や名物料理を取り入れたメニューを販売している。ここ数年では「地域密着キャンペーン」を掲げてご当地メニューを次々と発売した。最近では、淡路島産のタマネギと瀬戸内産のネーブルを使用したハンバーガーや志布志市産の茶葉を使用したシェイクを今年5月に発売している。

ご当地メニューを販売することは、もちろん悪いことではない。ただ、かつては斬新だったご当地メニューも、今となっては多くの飲食店が取り入れるようになり、目新しさはなくなっている。そのため、ご当地メニューだけでは大きな集客は望めないだろう。マクドナルドはそのことをよく理解しており、たとえば昨年8月から「ご当地グルメバーガー祭 2018」と銘打ってご当地バーガー3品を期間限定で販売しているが、モスほど大々的には打ち出しておらず、“数あるキャンペーンのうちのひとつ”という位置付けにとどめている。

モスのマーケティングは、マクドナルドと比べると見劣りしている感が否めない。そうした状況を打破するため、モスは「マーケティングの見直し」を進める考えだ。

店舗改装も進めていく。時は少しさかのぼるが、モスは16年2月発表の16~18年度の中期経営計画において「店舗体験価値」を高めるために店舗改装を進める方針を掲げている。新たな店舗デザイン「ナチュラルモダン」を引っさげ、居心地が良い空間の提供を目指した。17年3月期は家具交換など小規模なものも含めて約100店で改装を実施。18年3月期は約80店、19年3月期は約60店を改装した。今後は、全国一律の店舗デザインを改め、立地や店舗形態に合わせた店舗デザインやデジタル技術を活用した店舗デザインで出店・改装を進めていく考えだ。

海外における出店も強化する。1991年に海外1号店を台湾に出店。その後、進出国を拡大、8つの国・地域に371店(18年3月末時点)を展開するまでになった。今期(20年3月期)中にフィリピンのマニラ周辺に同国1号店を開業する計画を6月6日に発表している。新たな国・地域への進出は12年の韓国進出以来、7年ぶりとなる。28年3月期までに50店の出店を目指す。4月にはタイで現地企業と合弁契約を結ぶなどアジアでの展開を加速している。今期は29店純増の400店を見込む。

モスは5月10日に今期の業績予想を発表。売上高が前期比5.6%増の700億円、営業利益は3倍の16億円を見込む。純損益は10億円の黒字(前期は9億円の赤字)とした。国内では食中毒事故で損なったブランドイメージと業績を回復させ、海外では出店を加速し、目標を達成したい考えだ。

だが、6月13日に表沙汰となった「使用期間」切れ食材使用問題が水を差すかたちとなってしまった。モスは福岡市内の1店舗で使用期間切れの食材を使用していたと発表。同社のマニュアルでは調理後の焼き肉の使用期限は5分だが、実際には数時間保温し、客に提供していたという。モスは「直ちに健康に影響を与える品質劣化の可能性は低い」と釈明しているが、イメージダウンは免れられず、これによりさらなる客離れが懸念される。信頼を取り戻すためにも管理体制の見直しが必須で、課題は山積だ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

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