【阪神】掛布二軍監督の退任によって、金本監督が背負い込むもの

【阪神】掛布二軍監督の退任によって、金本監督が背負い込むもの

  • 文春オンライン
  • 更新日:2017/09/15

掛布雅之という人はどうしていつもこういう運命を辿るのか

今週の文春野球コラムでは鳥谷敬の2000安打について書こうと思っていたのだが、その後によもやのビッグニュースが飛び込んできたため、やむをえずネタ替えをすることにした。阪神・掛布雅之二軍監督の退任発表である。

これにはまず、激しい落胆と悲嘆が襲ってきた。きっと私だけではなく、多くの阪神ファンがそうだろう。1970年代~80年代にかけて一世を風靡したミスタータイガース。その絶大な人気と背番号31のカリスマ性は今も健在で、さらに二軍監督としての若手育成についても少しずつではあるが、着実に成果を上げつつあった。だから、表面的には今季限りで(たった二年で)退任する理由が見つからず、ネット上には阪神ファンの惜しむ声や悲しむ声、さらには球団に対する怒りや疑念などがあふれかえった。

球団が発表した人事について、ここまで極端にファンからの反発が飛び交うのは、阪神ならではといったところだろう。阪神という球団は、これまでにも幾度となく傍から見たら不可解な決断を下してきた。とりわけ掛布雅之という人物は球団史に残る屈指の大スターでありながら、その処遇についてはなんとなく釈然としない後味の悪さが常につきまとっていた。ミスタータイガースは、どうしていつもこういう運命を辿るのか。

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掛布二軍監督と金本監督 ©時事通信社

球団社長の会見で感じたキナ臭さ

去る9月10日、阪神・四藤慶一郎球団社長が会見を開き、掛布二軍監督の主な退任理由について「全体としての若手の底上げができた」「今後のファームについての将来的な展開を考えていくなかで、世代交代を考えていく必要がある」などと説明した。
これも私としては不可解だった。若手の底上げができたと本気で思っているなら、いくらなんでも早計すぎる。確かに、阪神の若手は以前に比べると成長しているが、高いレベルで見るとまだまだ育成途上だ。そもそも若手の底上げという積年の重要課題をたった二年で完了できるわけがない。掛布二軍監督ご自身も、やり残したことが多々あるだろう。

また、世代交代というのも解せない。球団の中長期的な展望として次代の指導者育成も念頭に置いているなら、なぜ一昨年オフに掛布二軍監督を誕生させたのか。次代の指導者育成のためなら、指導者経験が豊富なベテランにひとまず二軍監督を任せ、そこからバトンを受け渡すのが通例だが、ご存知のように当時の掛布二軍監督は正式な指導者としては初就任だった。退任理由のひとつとしては、つじつまがあっていないように思う。

とはいえ、阪神がこういう奥歯に物が挟まったような公式発表をするとき、そこにはいつも必ず裏事情があった。だから、今回もキナ臭さを感じずにはいられない。

掛布二軍監督の退任は金本監督の要望を球団が受け入れた結果?

そんなことを考えていたら、やっぱり複数のマスコミが「掛布二軍監督退任の真相」と銘打った記事を次々に発表した。それらによると、金本知憲一軍監督と掛布二軍監督の育成方針のちがいが大きいという。選手をスパルタ式に鍛えたい金本監督に対して、選手の自主性を重んじる掛布二軍監督。両者にはドラフト下位から大打者に成り上がったという共通点こそあるものの、指導方針は対照的で、並び立つことができなかったようだ。

さて、ここからは報道が真実だと仮定して書くが、要するに掛布二軍監督の退任は金本監督の要望を受け入れた結果ということになる。阪神は金本監督を選択したのだ。

果たして、こうなったら私の脳裏を巡るのは金本監督についてである。

思えば一昨年オフに金本監督が就任したとき、主要なコーチ人事も彼主導で行い、ドラフト指名についても彼の要望を通したとされる。そして、なにより掛布二軍監督の誕生を希望したのも、他ならぬ金本監督ご自身だったという。つまり、金本監督は掛布二軍監督を自ら要望し、その退任も自ら要望したということになるわけだ。

いくら金本監督が阪神にとって大功労者のOB(外様ではあるものの)とはいえ、監督としての実績はないため、チーム編成などにここまで大きな影響力をもち、しかも掛布雅之という生え抜きの大スターに関してまで口を挟めるのは異例中の異例だろう。かつての阪神では2002年に就任した星野仙一監督がいわゆる全権監督に近かったとされるが、当時の彼には中日監督としての実績があった。金本監督とはわけがちがう。

金本監督はここまで大きな責任を一人で背負いこんで大丈夫なのか?

そんなことを考えていると、私は今後の金本監督に不安と危うさを感じてしまう。
監督がこれだけの要望を球団に通すわけだから、当然それ相応の責任は生じてくる。少なくとも、チーム成績と若手育成の両面で“早期の結果”が求められるだろう。実際、これで来年の結果が芳しくなかったら、内外からの金本監督批判は免れない。掛布雅之というビッグネームの退任は、それだけ大きな意味をもつはずだ。

それにしても金本監督は、ここまでの大きな責任を一人で背負い込んで大丈夫なのだろうか。また、阪神球団はそこまで金本監督に責任を集約させて平気なのだろうか。

球団が監督の要望を受け入れている以上、本来その結果についての責任は球団にあるはずなのだが、なにか事が起こったとき、世間の矢面に立つのはいつだって監督だ。今回のことで金本監督が全権に近い影響力をもち、それが掛布雅之二軍監督の退任にまで結びついてしまったということが、真偽はともかく広く発信されてしまった以上、今後の金本監督に対する周囲の目はより厳しいものになるだろう。

繰り返すが、金本監督はそんな状況に自らを追い込んで本当に大丈夫なのか? 阪神球団は金本体制にそこまで依存して、いつか梯子を外さないと言えるのだろうか?

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※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/4143 でHITボタンを押してください。

(山田 隆道)

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