武蔵小杉は何位...?  大人気なのに実は「住みづらい街」ランキング

武蔵小杉は何位...? 大人気なのに実は「住みづらい街」ランキング

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2019/02/11
No image

世間から羨望の眼差しで見られているような「大人気」の街でも、「住んでみたら意外と不便だった」というケースは多く存在する。せっかく引っ越したのに、想像していた暮らしと違う……。定年後の終の棲家がこのような街なら、悔いても悔やみきれないのではないか。今回、本誌は「住みたい街ランキング」で名前の挙がっている人気の街の実態を徹底取材。実は「住みづらい街」のランキングを作成した――。

土日も外出できない

定年後、妻と二人で神奈川県鎌倉市に引っ越したという60代男性はこう嘆く。

「歴史と自然の豊かな街での生活に憧れていたんですが、まさかここまで落ち着きのないところだとは……。

土曜、日曜は道路が混みすぎて外出しようとすると時間がかかって仕方ない。かと言って歩いて街を散策しようとすれば、すさまじい人混みに目がクラクラします。小町通りなんて、平日でも外国人だらけで落ち着きません。

結局、妻と二人、テレビの前でダラダラと過ごす毎日。ゆったりとした暮らしであることに違いはありませんが、ちょっと想像とは違いますよね……」

男性は、「現役時代」は都内の証券会社に勤務するサラリーマンだった。家族を支えるために厳しいノルマをこなし、身を粉にして働き続けた40年間。

定年後は、自分と、家庭を守り続けてくれた妻へのプレゼントとして、憧れの街へと引っ越し、老後生活を送るつもりだったという。

だが、夢にまで見ていた鎌倉での暮らしは、想像していたようなものではなかった。夕暮れがせまると観光客もまばらになるが、最近では「民泊」も増え、夜も落ち着かない雰囲気だ。生活圏は都内に住んでいた頃よりも、かえって狭くなってしまった。

「この一軒家が、檻に思えることもありますよ」

男性はこう嘆息するのだった―。

SUUMOやHOME’Sなど、毎年不動産情報サイトによって発表されている「住みたい街ランキング」。ランクインの常連と言えば、鎌倉や横浜、吉祥寺など。「オシャレ」「洗練されている」「落ち着いた暮らしができそう」などのイメージがその理由だ。

だが実は、冒頭のように、世間から羨望の眼差しで見られているような「大人気」の街でも、「住んでみたら意外と不便だった」というケースは多く存在する。

せっかく引っ越したのに、想像していた暮らしと違う……。定年後の終の棲家がこのような街なら、悔いても悔やみきれないのではないか。

今回、本誌は「住みたい街ランキング」で名前の挙がっている人気の街の実態を徹底取材。さらに、不動産コンサルタントや住宅ジャーナリスト各氏の協力のもと、実は「住みづらい街」のランキングを作成した(表はページ末に掲載)。

まずは、冒頭で登場した鎌倉だ。HOME’Sが18年1月に発表した「定年後に住みたい街ランキング」で堂々の1位。古き良き街並みや、それを活かした飲食店や雑貨店などが人気を集めている。

だが、鎌倉は国内外から毎年2000万人以上の観光客が訪れる街。車道や歩道は大混雑する。家の扉を開けて、少し歩くだけで人がたくさんいれば、買い物に出かけるだけでも疲れてしまう。

本誌が作成した「住みづらい街」ランキングでは、なんと3位にランクインする結果となった。

さらに、鎌倉には「住みづらい」理由がもう一つある。不動産コンサルタントの長嶋修氏が話す。

「駅前にあるのは名物の鳩サブレーなど、お土産屋さんばかりです。スーパーマーケットなど、日用品を買うことのできる店は少ないので、観光で訪れるのは楽しいかもしれませんが、生活するのは不便でしょう」

No image

Photo by GettyImages

鎌倉と同様の理由で本当は「住みづらい」と指摘されるのが、浅草だ。「定年後に住みたい街ランキング」で15位の浅草も観光地としての人気が高く、浅草のある台東区は、年に830万人もの外国人観光客が訪れる。

その結果、商店街はいつも多くの外国人が往来し、大混雑してしまっている。『ライバル駅格差』(イースト・プレス)著者の小川裕夫氏が話す。

「18年6月から住宅宿泊事業法が施行され、民泊が整備されました。外国人観光客に人気のある浅草エリアは、当然民泊の利用者も増加していくことが予想される。住んでいれば、突然隣の家が騒がしくなる、なんてこともあり得ます」

さらに小川氏は、浅草のこんな意外な一面についても指摘する。

「浅草に『人情味のある下町』というイメージを抱いている人も多いと思います。しかし、それは古くからの仲間に対してで、余所者には意外に厳しいそうです」

新しく建ったマンションの住民と古くからの住民との間に軋轢が生まれることはよくあるが、この街も例外ではない。

結果、浅草は「住みづらい街」ランキングで11位に。観光名所として名を馳せている町が、必ずしも住みやすいとは限らないのだ。

では、人気の高い高級住宅街はどうだろう。

「ニコタマ」こと二子玉川は、住みたい街ランキングの常連の一つ。渋谷まで田園都市線で10分という好立地ながら、多摩川などの自然環境にも恵まれている。

15年にオープンした蔦屋家電や、二子玉川ライズといったショッピングモールなど、オシャレな商業施設が揃っている。住んでいるだけでステータスになる、とさえ言われるほどだ。

SUUMOが公開する「住みたい街ランキング2018関東」では16位に入っている。

自由が丘のホームレス

しかし、この街もまた、「住みづらい街」ランキングでは8位にランクインしている。5年前に一軒家を購入し、一家で転居したという50代の住民男性は「想像と少し違いました」と不満を漏らす。

「確かにオシャレなお店は多いのですが、閉店の時間がとにかく早い。夜10時ごろに入れなくなってしまうお店が多すぎます。閑静といえばそうなのですが、物足りなさを感じることがあります。

よく住民のプライドの高さについて話題になることがありますが、実際に住んでみると、想像以上でした。

『お子さんはどちらを受験されるんですか?』『休みはどちらに行かれるんですか?』というように、会話の中で『富豪自慢』のきっかけ探しをしてくるご近所さんばかり。正直、休みの日にお隣さんに挨拶するのも億劫ですよ」

さらに、災害リスクの観点からも、ニコタマは安心して住みやすい街であるとは言い難い。不動産エコノミストの吉崎誠二氏が話す。

「二子玉川の住宅地は、多摩川に向かって下がっていく傾斜の地に作られています。当然、水は低地に溜まっていくため、大雨が降ったりすれば、水害への警戒が必要になります」

ニコタマと同じく、オシャレなベッドタウンとして発展し、人気を集めるのが自由が丘だ。高級感あふれる街並みに憧れを持つ人は多い(SUUMOの「住みたい街ランキング」では13位)。

住民に話を聞くと、この街もまた、世間のイメージと実際の生活との間にギャップがあるようだ。

「ロータリーがある自由が丘駅の正面口は、バスの往来が激しいのに、出入り口は一車線の道路が一本ずつ。予備校が多いので、通学する子どもも多い。狭い道がごちゃごちゃになって、駅まで行こうとすると想像の倍くらい時間がかかります。

さらに悪いことに、中国人向けの旅行ガイドに、自由が丘が観光地として紹介されることが多いそうなんです。正直、わざわざ訪れるほどの観光地ではないと思うんですが……。

案の定、中国人観光客が路上を彷徨っているので、余計に混雑が酷くなっていますよ」(住民の30代女性)

さらに、最近再開発が進み、新興住宅が多く建てられた駅の南口もまた、大きな問題を抱えていると、この住民は嘆く。

「私の家は南口側にあるのですが、最近になって緑道が整備されて、自然と街並みが組み合わさった美しい風景の街になったんです。

でも、道の脇にベンチを多く設置したのが良くなかった。このベンチが、軒並みホームレスの『家』になってしまっているんです。

人数も多く、夜中に飲み会を開いたりするので、治安が良くありません。先日も、近所でボヤ騒ぎが起こったりしたようで、正直不安です」

住みたい街ランキングと言えば、吉祥寺の名前が思い浮かぶ人もいるだろう。今年度のランキングでは3位となったものの、14年までは10年連続の首位を誇っていた

「ザ・住みたい街」は、中央線沿線の文化と落ち着いた住宅地、井の頭公園などの自然のバランスが人気を博している。

No image

Photo by GettyImages

だが、実際に住むとなると、年を重ねた人、特に家庭を持っている人はこの街では「邪魔者扱い」されてしまうかもしれない。「住みづらい街」ランキングでは7位となった。

「吉祥寺は、昔から流行を先取りしたような街でした。少しマニアックな音楽や映画などについて熱く語りたがるような若者が多く住んでいます。

所帯持ちだと、彼らの熱量についていけず、どこかシラけて居心地の悪さを感じてしまう一面もあるかもしれません」(前出・吉崎氏)

さらに、住むことができる場所が駅周辺部に少ないことも、吉祥寺が住みづらい要因の一つ。

駅前は所狭しと商業施設や商店街が位置しているため、そこから10分以上歩かなければ、住宅街にはたどり着くことができない。つまり、引っ越す前に魅力に感じていた街と、実際に住む場所がズレてしまうかもしれないのだ。

強風で髪がぐちゃぐちゃ

東京以外の街も見てみよう。「定年後に住みたい街ランキング」で2位に輝いた横浜は、意外にも「住みづらい街」ランキングで5位に入った。経済評論家の平野和之氏が解説する。

「まず、一口に横浜と言っても、地域がかなり広い。本当に住みやすいと言えるのは北側のほんの一部のエリアだけです。

みなとみらいや青葉区、港北ニュータウンなどは人気が高いですが、その辺りの地域の平均的な世帯収入はおよそ900万円とも言われ、家賃だけでなく、高級スーパーばかりなので、物価も高くなっています。

ならばそれ以外の地域に、と思われるかもしれませんが、横浜の南側は意外と中心部まで移動に時間がかかり、途端に利便性が悪くなる。人口転出も多く、将来的に過疎化が懸念されるエリアもある」

No image

Photo by GettyImages

しかし、その「ほんの一部」であるはずのみなとみらい地区のタワーマンションに住む50代の女性でさえ、こう話す。

「この辺りはとにかく風が強いんです。海沿いだし、30階建てのビルが立ち並んでいるので、ビル風が一年中吹いている。散歩をしていると髪型がぐちゃぐちゃになってしまう。

特に冬は冷たい風が吹きつけるため、犬の散歩に行くだけで顔が痛くて仕方ありません。

あと、スーパーが近くにないんです。歩いて5分ほどの場所にある別のマンションの1階に一つスーパーがありますが、品揃えが悪いうえに値段が高い。仕方がないので、大きな買い物以外は近くのファミリーマートで我慢しています」

神奈川県内でも有数の住みたい街、たまプラーザに至っては、「住みづらい街」ランキングで4位にランクインしてしまった。

「たまプラーザは、'80年代に雰囲気のあるお屋敷街として人気を集めました。この雰囲気を守るために、未だに建坪率(敷地面積に対する建坪の割合)や建物の高さに制限があります。

建坪に制限があるということは、余った土地に庭を保有しなければならないことも多い。使わない庭のために固定資産税や相続税を取られるケースもあります」(前出・小川氏)

さらに、たまプラーザでいま問題になっているのが住民の高齢化だ。特に郊外では、若年層が多く転出し、空き家が増加しているという。

「住民も70歳以上が中心となっている地区もあります。このままだと、ゴーストタウン化してしまうのは間違いありません」(前出・長嶋氏)

せっかく住んでも、数年後にはご近所さんがほとんどいなくなってしまう、なんてことになりかねないのだ。

その二つの街を抑えて、「住みづらい街」の神奈川県内でトップ、それどころか首都圏トップの不名誉に輝いてしまったのが武蔵小杉だ。

近年、急速に開発が進み、高級タワーマンションが乱立した武蔵小杉は、「改札にたどり着くまでに数十分かかる」という通勤ラッシュの過酷さが話題になっている。

それでも、駅周辺の商業施設や、ヘルスケア施設の充実度の高さから、「住みたい街ランキング2018関東」では6位。依然として人気の高さを誇っている。

武蔵小杉の災害リスク

だが、武蔵小杉は若いファミリー層を呼び込むことを主眼にして開発されている。若者向けのショッピングモールができる一方、昔ながらの飲食店や雑貨店などは淘汰されつつある。年輩者が行きつけの店で、ひとり杯を傾けるという楽しみ方は難しい。

さらに、ニコタマと同様、多摩川沿いに位置する街であるため、災害時のリスクも指摘される。

「先の西日本豪雨のようなことが東京で起こった場合、大打撃を受ける可能性があります」(住宅ジャーナリストの山下和之氏)

埼玉に目を向けてみよう。「住みたい街ランキング2018関東」で、埼玉県勢トップの8位にランクインしているのが大宮だ。駅東口にはルミネや高島屋が、西口にはそごうなどがあり、東京都心に比べても買い物の利便性は引けを取らない。

そこから5分ほど歩くだけで住宅街にたどり着くことができるうえ、「ナンギン」の愛称でお馴染みの酒場町・南銀座には個性的な飲食店が多く立ち並ぶ。

そんな大宮は、「住みづらい街」ランキングにも埼玉県から唯一ランクインしてしまった。60代になってから大宮に移り住んだという住民の女性が話す。

「東口にある、埼玉県道214号線が渋滞しやすくて困っています。大宮は近くに自治医大さいたま医療センターという大きな病院があるので、何かあった時に便利だと思い引っ越したのに、車だと病院まで30分以上かかることもある。結局、20分かけて徒歩で通院しています」

No image

Photo by GettyImages

一般的に、足立区は住みづらいというイメージがあるかもしれない。だが、実はそんなことはないという声もある。

今回のランキングで14位の北千住は駅前の開発の影響で人気が急上昇しており、タワーマンションの建設で物価が高騰。他方、昔ながらの街並みも残ったまま。

新しい地域と古い地域、それぞれの良さを残しつつ開発が進んでいるので、一般的なイメージとは異なり、同じ北千住でも下町のほうは非常に住みやすい街になっているという。『足立区のコト。』(彩流社)著者の舟橋左斗子氏が話す。

「治安の悪さを心配される方も多いと思いますが、犯罪件数を人口比で考えると、23区内で15位と、他の区と比べて多いわけではありません。

私自身も、娘が3歳の頃から一人で買い物に行かせたりしていましたが、危険な目に遭ったことは一度もありません」

最近人気のある街は繁華街なら繁華街、住宅街なら住宅街と、クッキリと線引きがされており、これが住みづらい原因となっている。

北千住は昔ながらの飲食店が繁盛しているような区画がありながらも、自然豊かな公園を抱えた、落ち着いた雰囲気の住宅街も残る。坂も少ないので、定年後の移住を考える価値はある。

前出・長嶋氏が住みやすい街として挙げるのは千歳烏山だ。

「世田谷区のなかではあまり目立つ街ではありませんが、商店街が栄えている、というのは重要なポイントです。二子玉川や自由が丘は大資本による急な開発によってこぎれいだが、画一的な『意識の高い』街になってしまいました。

商店街がしっかりと地元に根付いているような街は、開発が進んでも、急激に街にある店や、住民層が変化することはない。千歳烏山はまさにこの典型です。都心へのアクセスが良好な割に、下町のような温かさもあわせ持っているのです」

住みたい街ランキングは、どうしてもイメージ先行で選ばれた街が多くなってしまう。想像と違ってガッカリする老後を過ごさないためにも、住民の声を聴いて、自分に合った「住みやすい街」を選ぼう。

No image

SUUMO、HOME’Sが発表した「住みたい街ランキング」の中から人気上位30位の街を選出し、小川裕夫、榊淳司、長嶋修、平野和之、山下和之、吉崎誠二の各氏が評価。それを基に本誌編集部がそれぞれ10点満点で算出、ランキングを作成

「週刊現代」2018年8月11日号より

No image

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

コラム総合カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
エッチは週に20回! 「性欲が強すぎる彼女」の性事情に悲鳴
母親のLINEを覗いたら... 信じられない事実に「気持ち悪い」と言葉を失う
知らないほうがよかった、元乗務員が飛行機のブランケットや枕を使わない理由
「今夜も食事だけ...?」交際中の彼女を決して家に誘わない29歳男が隠し持っていた、ある秘密
【今週のコーデまとめvol.49】5年目OLみそ❤︎甘めカジュアル派の7days
  • このエントリーをはてなブックマークに追加