ベルギー黄金時代のカギ握るカウンター無双のCF。ロメル・ルカク、モンスター級の破壊力【西部の目】

ベルギー黄金時代のカギ握るカウンター無双のCF。ロメル・ルカク、モンスター級の破壊力【西部の目】

  • フットボールチャンネル
  • 更新日:2017/11/13
No image

ベルギー代表のFWロメル・ルカク【写真:Getty Images】

不思議のベルギー。人材は豊富だが…

現地時間11月14日、日本代表との一戦を迎えるベルギー代表。アザール、デ・ブルイネら傑出したタレントを多く擁する“赤い悪魔”にあって、その最前線を務めているのがマンチェスター・ユナイテッド所属のロメル・ルカクだ。モンスター級の破壊力を備えるCFであるが、試合によっては存在感が希薄なことも。本領発揮の条件はなんだろうか。(文:西部謙司)

——————————

ベルギーは不思議なチームだ。個々の能力はそれぞれ素晴らしく高い。エース格のエデン・アザールがいて、ケビン・デブライネがいる。キープ力抜群のアクセル・ヴィツェル、ムサ・デンベレ、ハードワーカーのラジャ・ナインゴラン、突破力ならヤニック・フェレイラ・カラスコ。

GKはティボ・クルトワ、控えがシモン・ミニョレ。センターバックにはアヤックス時代からずっと一緒の兄弟みたいなヤン・ヴェルトンゲンとトビー・アルデルヴァイレルト。最近は負傷がちとはいえ重鎮ヴァンサン・コンパニ、トーマス・ヴェルメーレンもいる。

ほぼすべてのポジションに穴がない。全員がハイレベルで控え選手も全く実力に遜色なし。まさに黄金世代のまっただ中。ところが、このもの凄い埋蔵量の資源をあまり有効に使えていない。

2014年ブラジルワールドカップ、2016年ユーロ、ベルギーの戦い方は同じパターンを辿っていた。最初は圧倒的なボール支配と有無を言わせぬ個人技で押し込みまくる、そして敵陣での大渋滞を引き起こす。埒が開かなくなってマルアン・フェライニを投入してハイクロスを放り込む……ポゼッションもカウンターもできるメンバーなのに、なぜか最後は原始的な放り込み回帰。それでようやく気がつく。やっぱカウンターだな!

闘将マルク・ヴィルモッツ監督、察しの悪い男。ワールドカップでもユーロでもベスト8はベルギーの歴史を鑑みればそう悪い成績ではないのだが、どちらも予選と本大会の間に気づく時間はあったはず。しかも、ブラジルワールドカップでは戦術変更で成功したというのに、なぜか2年後のユーロでは忘れていた。

カウンターをやらせたらベルギーは強い。ロメル・ルカクがいるからだ。

モンスターかアーティストか

言葉は悪いがサッカー界にはバケモノが何人かいる。ルカクはその1人だ。

193センチ、94キロの巨体。これで足が速い。ボーンと蹴り出されたボールを広いスペースで奪い合うとき、ルカクは最強のFWである。でかいストライドでたちまちボールに追いつき、絡んでくるDFはぶっとばし、さっさとゴールを決めてくれる。草サッカーでこの人がいたら最強間違いなしだ。

ただ、豪華メンバーが揃ったベルギーが、そんな草サッカーみたいな縦ポン+行ってこいモンスター的な戦い方をしたくないのはわからんでもない。中盤にはとびきりのタレントがいて、FWにもナポリで開花したドリース・メルテンスがいる。

華麗なるパスワークでワールドカップ史上に名を残すチームにだってなれるかもしれないからだ。しかし、その夢は過去2度に渡って夢に終わっている。結局、頼むぞフェライニ! になるのなら、頼むぞルカク! のほうがまだスマートというものかもしれない。

ルカクにも責任の一端はある。カウンター無双のストライカーは、スペースがなくなると威力が半分以下になるからだ。相手にがっつり引かれたときのルカクは、燃料切れの巨大ロボみたいに佇むだけだ。

ボールが入ってくれば体を張ったキープはできるし、空中戦もかなり強い。しかし、小さなスペースで敵のマークを外す動きがほとんどない。パスワークにもあまり絡めない。前線の蓋になってしまうルカクは、ベルギーがポゼッションで行き詰まる原因の1つといっていいだろう。

渋滞中にもかかわらず、強引にドリブルで何とかしようとするアザールやカラスコもどうかと思うが、前線にアクションを期待できないのがそもそもの原因なのだろう。

堅守速攻のマンUか、それとも華麗なるナポリか

闘将からチームを引き継いだロベルト・マルチネス監督には、赤い悪魔を同じニックネームのマンチェスター・ユナイテッドにするか、それともヨーロッパで最も美しいプレーをするナポリにするかの選択がある。ナポリにするならCFはルカクではない、メルテンスで決まりだ。メルテンスは狭い地域をパスワークで破るにはうってつけのFWである。

もしマンUで行くなら当然ルカクがエースだ。今季のマンUはルカクのためのチームといっていい。ルカクを生かすカウンターを軸とした堅守速攻。守備が強くなければ話にならず、カウンター連発で間延びが予想される中盤を埋めるために、ネマニャ・マティッチを獲得した。

相手に引かれたときにはヘンリク・ムヒタリアンやフアン・マタがクリエイティブ部門を担当、それでダメならドリブラー投入、さらにベルギー同様のフェライニ投入。ジョゼ・モウリーニョ監督らしい重層的な戦術構成になっている。それもこれもルカクありきだ。

ベルギー代表はたぶんマンU型だと思う。ルカクの控えにはミッチー・バチュアイ、ディヴォク・オリジと似たタイプがいる一方、メルテンスのバックアップが見当たらない。遅攻がそもそも不発だったのはアザール、ナセル・シャドリ、ケビン・ミララス、アドナン・ヤヌザイなどドリブラーばかりでパサーが少なかったという事情もある。守備強化のために監督とひと悶着あったナインゴランを定着させ、速攻がダメなときはデブライネと協調できるクリエイターの投入で格好はつきそうだ。

いずれにしても多士済々、興味津々のベルギーでルカクはカギを握る存在といえる。

(文:西部謙司)

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

海外サッカーカテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
英国で生まれた“神トラップ弾”に世界が驚愕 「まるでベルカンプ」「不可能」「常識外」
伊サッカー連盟会長、辞任を表明。責任問われ「全てのイタリア人に謝罪する」
スペイン紙、W杯の“死の組”を予想。ポット4からは日本代表が選出
インテルのエース 風格見せる
こんな異様な光景見たことない!? リヨンの“白きデモ”に賛辞「美しい」「歴史を作れ」
  • このエントリーをはてなブックマークに追加